入れ歯を作ったけど、痛くて全然つけていない
何度も調整してもらってるけど、痛みや違和感が治まらない
など、入れ歯が痛いことに悩んでいる患者さまは多くいます。
中には、長年痛いのに我慢をして入れ歯を使っている方も珍しくありません。
そこで本記事では、総合歯科診療を行う北戸田COCO歯科・院長の田口が、以下内容を中心に入れ歯が痛い原因や対処法についてさまざまな角度から解説していきます。
ぜひ、本記事を読んで、入れ歯の痛みを解消する方法を知ってくださいね!
では、さっそく本文にうつっていきましょう^^
【執筆・監修者】田口 耕平
日本接着歯学会
日本口腔インプラント学会
日本補綴歯科学会・専門医
国際口腔インプラント学会・認定医
北戸田COCO歯科 院長
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目次
1:入れ歯が痛い5つの原因
入れ歯が痛いのは、大きくわけて以下5つの原因が関係しているケースが多いです。
①入れ歯に慣れていない
②入れ歯自体に問題がある
③患者さまのお口の状態に問題がある
④入れ歯の管理・衛生状態に問題がある
⑤部分入れ歯の金具による問題がある
具体的にどういうことか、一つひとつお話していきますね!
1-1:入れ歯に慣れていない
入れ歯が痛い1つ目の原因は、「入れ歯に慣れていないことで発生する痛み」によるものです。
というのも、人工歯である入れ歯は、歯ぐきや口蓋(こうがい:口の中の上側の部分)などの粘膜の上にのせて使います。
そのため、入れ歯に慣れるまでは、身体が入れ歯を異物だと判断してしまう影響で
- 歯や歯ぐきが締め付けられるような感覚を覚えたり
- 入れ歯が歯ぐき当たって痛いと感じたり
- 噛んだときに通常よりも痛みを感じたり
してしまうケースがあるのです。
そのため、新しい入れ歯による痛みを解消する場合には、この後に紹介する『2-1:新しい入れ歯は1ヶ月を目安に使ってみる』の対処法を実践してみてください!
1-2:入れ歯自体に問題がある
入れ歯が痛い2つ目の原因は、「入れ歯自体に問題がある」ケースです。
具体的には、
- 入れ歯の噛み合わせが合っていない
- 入れ歯と歯ぐきがしっかり吸着していない(外れやすい)
- 経年劣化で入れ歯の形状が変化して、お口に合わなくなってきている
などの場合には、入れ歯使用時に痛みを感じやすくなります。
そのため、入れ歯を作ってからしばらく経っているのに痛みがある場合には、この後に紹介する
のいずれかの対処法を実践してみるのがおすすめでしょう!
1-3:患者さまのお口の状態に問題がある
入れ歯が痛い3つ目の原因は、「患者さまのお口の状態に問題がある」ケースです。
具体的には、
- 歯ぐきが極端に薄い
- あご骨が減っている
- あごの関節が不安定
- 唾液量が少ない
- あご骨にこぶ(骨隆起)がある
などの身体的特徴がある患者さまの場合は、どんなに入れ歯を新製したり調整したりしても痛みが発生する場合があります。
そのため、上記の特徴を持つ患者さまが入れ歯の痛みを解消するためには、この後に紹介する
の2つの対処法を検討してみるのがおすすめです。
1-4:入れ歯の管理・衛生状態に問題がある
入れ歯が痛い4つ目の原因は、「入れ歯の管理・衛生状態に問題がある」ケースです。
というのも、入れ歯の管理・衛生状態に問題があると、入れ歯が原因で
- お口の中に口内炎ができたり
- 入れ歯の周囲の歯が虫歯や歯周病になったり
- 入れ歯が変形して合わなくなったり
する問題が発生してしまいます。
そのため、入れ歯の管理・衛生状態が原因で痛みが発生している場合には、この後に紹介する『2-4:入れ歯の正しい管理・清掃方法を覚える』で対処していく必要があります!
1-5:部分入れ歯の金具による問題がある
入れ歯が痛い5つ目の原因は、「部分入れ歯の金具による問題がある」です。
これは、部分入れ歯を支えるための金具が
- 土台となる歯を強く締め付けすぎていたり
- 土台の歯が弱っていたり
する場合に、取り外し時や噛んだときに歯が動かされて痛みが発生しているケースになります。
そのため、部分入れ歯の金具による痛みを解消するためには、この後に紹介する
の3つの対処法のいずれかを実践するのがおすすめです。
では次に、入れ歯が痛いときにおすすめの6つの対処法を紹介していきますね!
2:入れ歯が痛いときの6つの対処法を歯科医師が解説
入れ歯が痛いときにおすすめの対処法は、以下の6つです。
①新しい入れ歯は1ヶ月を目安に使ってみる
②歯医者で入れ歯を調整または新たに作る
③入れ歯安定剤を利用する
④入れ歯の正しい管理・清掃方法を覚える
⑤自費診療の材質の入れ歯を検討する
⑥入れ歯以外の治療の選択肢を検討する
それぞれ具体的にどのように対処すれば良いのか、解説していきますね!
2-1:新しい入れ歯は1ヶ月を目安に使ってみる
入れ歯が痛いときにおすすめの1つ目の対処法は、「新しい入れ歯は1ヶ月を目安に使ってみる」になります。
というのも、入れ歯の大きさや個人差にもよりますが、新しい入れ歯は完全に慣れるまでに1ヶ月ほどかかるケースが多いからです。
ただし、違和感や痛みがあるからといって、入れ歯を外している時間が長くなってしまうと、新しい入れ歯に慣れるまでにさらに時間がかかってしまいます。
そのため、新しい入れ歯を入れてから1ヶ月は、少しでも早く入れ歯に慣れるためにご自身でも以下のようなトレーニングをしましょう。
入れ歯をつけたまま、飲食や会話をする練習を行う!
具体的には、入れ歯をつけたまま、
・水をむせずに飲めるように練習
・柔らかく小さい食材を咀嚼する→少しずつ硬く大きい食材にもチャレンジ
・鏡の前で何度も音読して、発音しやすいように口に馴染ませる
ができるようにするのがおすすめです。
→極力、入れ歯を外したまま生活しないようにすることが早く慣れるポイントになります!
入れ歯は完成して終わりではなく、使用後の調整が必須な人工歯です。
特に新しい入れ歯を入れてから1~2週間後の調整は非常に重要になるので、上記トレーニングも併用しながら歯医者で調整してもらうのを忘れないようにしましょう!
2-2:歯医者で入れ歯を調整または新たに作る
入れ歯が痛いときにおすすめの2つ目の対処法は、「歯医者で入れ歯を調整または新たに作る」になります。
というのも、入れ歯は一度作ったら、そのまま使い続けられる性質の人工歯ではありません。
新しい入れ歯に慣れた後も、
- お口の中の変化に合わせながら、約3~6ヶ月に1回調整する
- 入れ歯の平均寿命である約4~5年を過ぎたら、必要に応じて新たに作る
のように歯医者で定期検診を受けながら、調整や作り直しをしていかないと、お口の中の状態に合わなくなり痛みや違和感が強くなってしまうのです。
でも、なぜお口に合わせて作ったはずの入れ歯が、時間が経つと調整が必要になってしまうんですか?
良い質問ですね!
実は入れ歯は歯ぐきの上にのせているだけなので、正しく使っていても通常の歯と比べて、土台となるあご骨への刺激が足りなくなってしまいます。
その影響で、時間経過とともにあご骨が痩せて、入れ歯が合わなくなってしまうのです。
なるほど!
だから、定期的な検診で調整していく必要があるんですね!!
はい。
また、保険の入れ歯は材質的に経年劣化が早い人工歯のため、適切なタイミングで新たに作り替えていく必要があることも覚えておいてください!
わかりました!
入れ歯は”一度作ったらそれで終わりではない”ことを頭に入れておきます^^
2-3:入れ歯安定剤を利用する
入れ歯が痛いときにおすすめの3つ目の対処法は、「入れ歯安定剤を利用する」になります。
これは入れ歯が合わずかたついてしまい、噛んだときなどに痛みが発生しているときにおすすめの対処法です。
ただし、入れ歯安定剤には、
- グラつきが改善され、食事がしやすくなる
- クッションの役目を果たし、噛み締めたときの痛みが改善する
- 入れ歯と歯ぐきの隙間が埋まるので、会話しやすくなる
といったメリットがある一方で、
- 安定剤がこびりつき、不衛生になりやすい
- 安定剤の影響で口が乾燥し、細菌が繁殖しやすくなるケースがある
- 無理やりグラつきを解消することで、適切な噛み合わせにならないケースがある
といったデメリットがあります。
そのため入れ歯安定剤は、歯医者に調整に行くまでの一時的な使用に留め、長期使用は避けるのがおすすめです!
2-4:入れ歯の正しい管理・清掃方法を覚える
入れ歯が痛いときにおすすめの4つ目の対処法は、「入れ歯の正しい管理・清掃方法を覚える」です。
具体的には、担当医の指示に従いながら、以下の管理・清掃方法をご自宅で実践していただくと、入れ歯の管理・清掃方法の問題で痛みが発生するのを予防できます。
・入れ歯を落として排水溝に流さないよう、洗面器の上で入れ歯を清掃しましょう。
・入れ歯専用歯ブラシなどを使用して磨きましょう。
・歯磨き粉を使用すると研磨剤で入れ歯が傷付いてしまうので、使用は控えてください。
・入れ歯や金具の内側、残っている歯との接触面は特に汚れが付きやすく取りにくいです。念入りに磨きましょう!
・入れ歯の清掃は、毎日(可能であれば毎食後/最低1日1回)欠かさず行ってください。
・就寝前に入れ歯洗浄剤等で入れ歯をしっかり除菌しましょう。
・必ず流水等で洗ってから、保管してください。
・就寝時に入れ歯を外すかつけたままにするかは、担当医の指示に従ってください。
・取り外した入れ歯は、乾燥するとひび割れや変形が起こります。そのため、取り外す際は保存容器の水のなかに浸して保管してください。(※水は毎日交換してください。)
・変形や変質の原因となるので、熱湯やアルコールでの消毒は避けてください。
2-5:自費診療の材質の入れ歯を検討する
入れ歯が痛いときにおすすめの5つ目の対処法は、「自費診療の材質の入れ歯を検討する」です。
というのも、
- 材料
- 素材
- 治療工程
に制限がある安価な保険でつくる入れ歯にこだわらなければ、
- フィット感が良く
- 長持ちする
- 見た目も良い
自費診療の入れ歯を入れることで、
が原因で発生している痛みを解決できる可能性が高いからです。
ただし、どんなに良い自費診療の入れ歯を入れても、患者さまのお口の中は入れ歯の使用に伴いあご骨がやせ衰え、時間が経つと入れ歯が合わなくなってしまいます。
そのため、土台となるあご骨が痩せるのを根本的に防ぎたい場合には、この次に紹介する『2-6:入れ歯以外の治療の選択肢を検討する』の対処法を実践するのがおすすめです。
2-6:入れ歯以外の治療の選択肢を検討する
入れ歯が痛いときにおすすめの6つ目の対処法は、「入れ歯以外の治療の選択肢を検討する」になります。
というのも、歯を失った際には以下のように、入れ歯のデメリットを補える治療の選択肢が他にも多数あるからです。
→残っている歯が多い方向け:ブリッジ(連結した被せ物)
→残っている歯が多い方向け:インプラント、歯牙移植、接着ブリッジ
→残っている歯がほぼない方向け:オールオン4・オールオン6
ただし、どの治療法にも一長一短があります。
また、
- 患者さまのお口の状態
- 担当医の技術・経験に応じた対応できる治療範囲
によって選べる治療法も異なるため、まずは以下4記事をあわせて参考にしながら、それぞれの治療法についての理解を深めるのがおすすめです。
もしご自身でどの治療法を選ぶか迷われた場合には、当院のような総合歯科診療を行っている歯医者でぜひ一度ご相談ください。
丁寧な検査・診断を行ったうえで、数ある選択肢の中から患者さまにベストな治療法をご提案いたします。
3:入れ歯が痛いときには使用せず放置しても問題ない?
入れ歯が痛いときには使用せず放置するのは、次の通院で調整するまでの間など一時的かつ短期間であれば問題ありません。
というのも、お痛みが強い状態で無理をして入れ歯を使用してしまうと、
- 口内炎や傷ができたり
- 入れ歯が変形したり
する問題が発生してしまう可能性があるからです。
ただし、いくら入れ歯が痛いと言っても、そのまま長期間入れ歯をつけずに放置して、歯がない状態のままにしておくのはおすすめしません。
なぜなら、入れ歯はつけていない期間が長くなればなるほど、
- お口の中に合わなくなり、入れ歯を調整しても装着できなくなってしまう
- 歯がない部分への噛む刺激がなくなり、あご骨がやせ衰えるのが進行しやすくなる
- 歯がない部分の噛み合う歯が伸びたり、隣の歯が傾いてくる
- しっかり噛めないので、胃腸への負担が大きくなる
- 歯がない部分が気になって、おしゃべりが楽しめなくなる
などの問題が悪化してしまうからです。
そのため、入れ歯による痛みが発生している場合には、先ほど紹介した『2:入れ歯が痛いときの6つの対処法を歯科医師が解説』を実践したうえで、歯がない状態が短くなるように対処したほうが良いでしょう!
4:入れ歯が痛い原因や対処法のまとめ
それでは最後に、入れ歯が痛い原因や対処法について重要なポイントを簡単におさらいしていきます!
入れ歯が痛いのは大きくわけて、
①入れ歯に慣れていない
②入れ歯自体に問題がある
③患者さまのお口の状態に問題がある
④入れ歯の管理・衛生状態に問題がある
⑤部分入れ歯の金具による問題がある
の5つが原因になっているケースが多いです。
そのため、それぞれの原因にあわせて
①新しい入れ歯は1ヶ月を目安に使ってみる
②歯医者で入れ歯を調整または新たに作る
③入れ歯安定剤を利用する
④入れ歯の正しい管理・清掃方法を覚える
⑤自費診療の材質の入れ歯を検討する
⑥入れ歯以外の治療の選択肢を検討する
の6つの対処法を実践することで、痛みを解消したり予防したりできる可能性が高くなります。
また、入れ歯が痛いときは一時的かつ短期的に歯医者にいくまでの間、入れ歯を外すのは問題ありません。
ただし、入れ歯が痛いからといって長期間入れ歯を外したままにすると、さまざまなトラブルが発生してしまうので、放置せず早めに歯医者へ相談に行くようにしましょう!
以上、今回は入れ歯が痛い原因と対処法についてお話しました。
当院では総合歯科診療を行っているため、入れ歯の痛みが強い方にも丁寧な検査・診断を行ったうえで、ベストな治療法をご提案することが可能です。
今まで何度入れ歯を調整しても痛みが取れなかったなどお困りの際には、遠慮なくお問い合わせくださいませ^^