若いのに、歯を抜くことになってしまった。
老後まで歯を使っていかなきゃいけないのに、やばい!
と不安になっている方。
たしかに、20代~30代の若いうちに、「歯を抜く・失う」のはショックな出来事ですよね。
実際に「厚生労働省/平成28年歯科疾患実態調査」によれば、20代~30代で歯を失う人の割合は、
- 20~24歳:2.9%
- 25~29歳:8.1%
- 30~34歳:11.5%
- 35~39歳:20.5%
と、それほど多くないことがわかります。
しかし、逆に言えば、このタイミングで正しい歯への基礎知識を身に着けていただければ、今後は残りの歯の寿命を延ばすことが可能です。
そこで本記事では、総合歯科診療を行う北戸田COCO歯科・院長の田口が、以下内容を中心に若いのに歯がない人が知っておくと役立つ情報を紹介していきます。
①若いのに歯がない人が知らないとやばい3つの基礎知識
②若いのに歯がない人が知っておきたい治療法6選
③若いのに歯がない人が歯医者選びを間違えるとやばい理由
人生100年時代だからこそ、老後も使う必要がある歯を長持ちさせる正しい方法を知っていきましょう!
では、さっそく本文にうつっていきますね^^
【執筆・監修者】田口 耕平
日本接着歯学会
日本口腔インプラント学会
日本補綴歯科学会・専門医
国際口腔インプラント学会・認定医
北戸田COCO歯科 院長
【経歴はこちら】
目次
1:若いのに歯がない人が知らないとやばい3つの基礎知識
若いのに歯がない人が知らないとやばい基礎知識は、以下の3つです。
①歯が抜けたままだと様々な問題が発生する
②治療法によっては残りの歯の寿命も縮めてしまう
③抜けた原因への対策なしでは老後が悲惨な結果になる
それぞれどういうことか、ご説明していきますね!
1-1:歯が抜けたままだと様々な問題が発生する
若いのに歯がない人が知らないとやばい基礎知識1つ目は、「歯が抜けたままだと様々な問題が発生する」です。
というのも、歯が抜けた人の中には稀に、
痛みや腫れもないし、時間ができてから歯医者にいこう!
奥歯1本だし、放っておこう。
と考え、歯が抜けたままの状態で過ごされている方がいます。
しかし、この考えは非常に危険です。
というのも、歯は1本だけでも抜けたままの状態にしておくと、
- 噛み合わせや歯並びが悪くなる
- 抜けた歯の部分を補うために、他の健康な歯にもダメージが出る
といった問題が発生し、抜けた部位以外(お口全体)にも悪影響が広がるケースが多いからです。
長期的にみると、全身や見た目にも問題が発生します。
そのため、歯がない部分がある人は早めに歯医者に行き、天然歯(自分の歯)代わりになる人工歯を入れたほうが良いのです!
1-2:治療法によっては残りの歯の寿命も縮めてしまう
若いのに歯がない人が知らないとやばい基礎知識2つ目は、「治療法によっては残りの歯の寿命も縮めてしまう」です。
歯を失ったときには、天然歯(自分の歯)代わりになる人工歯を入れます。
しかし、このときに選ぶ人工歯(治療法)を深く考えずに選択してしまうと、長い目でみたときに残りの健康な歯の寿命も縮めてしまう可能性が高くなります。
なぜなら、天然歯(自分の歯)代わりになる人工歯には、それぞれ
- 自立型(インプラント、歯牙移植、オールオン4・6)
- 依存型(ブリッジ、入れ歯、接着ブリッジ)
があり、依存型の治療法の場合は、歯がない部分を周囲の歯の力を借りて補うからです。
「周囲の歯の力を借りる」ということは、健康な歯に負荷をかけることにも繋がります。
結果的に依存型の治療法は、お口全体の歯の寿命を短くしてしまう確率が高くなるのです。
若い人は特に、人工歯を入れてから老後まで歯を長持ちさせる必要があります。
治療の選択によって、耐久性や周囲の歯への影響も変わってくるので、歯を失ったあとの治療法選びは慎重に行いましょう!
治療法別の詳しい説明は、この後の「若いのに歯がない人が知っておきたい治療法6選」で紹介しています。
1-3:抜けた原因への対策なしでは老後が悲惨な結果になる
若いのに歯がない人が知らないとやばい基礎知識3つ目は、「抜けた原因への対策なしでは老後が悲惨な結果になる」です。
歯を失ったあとに、どんなに高額な質が良い人工歯を入れても、歯が抜けた原因である
- 虫歯
- 歯周病
への対策を変えないと、老後は悲惨な結果になる可能性が極めて高いです。
具体的には対策をしないと、
- 次々に歯を失い
- せっかく入れた人工歯も長持ちしない
可能性が高くなり、老後までほとんど歯が残せず、食事やおしゃべりなどに問題が発生しやすくなります。
ですので、歯を失い人工歯を入れた後には、「歯に問題が起きたら歯医者に行く」から「歯に問題が起こる前に予防する」に思考をチェンジしていきましょう!
詳しい予防方法については、こちらのページで紹介しているので、あわせて参考にしてみてくださいね!
では次に、「若いのに歯がない人が知っておきたい治療法6選」を紹介していきます。
2:若いのに歯がない人が知っておきたい治療法6選
若いのに歯がない人が知っておきたい治療法は、大きくわけて以下の6つです。
①ブリッジ
②入れ歯
③インプラント
④接着ブリッジ
⑤歯牙移植
⑥オールオン4・オールオン6
どの治療法にも一長一短があり、患者さまによって最適な治療法は異なります。
まずは、この後に紹介するそれぞれの治療法のメリット・デメリットをご確認くださいね!
歯医者によって、選べる治療法が異なりますのでご注意ください。※当院では、すべての治療法に対応しております。
2-1:ブリッジのメリット・デメリット
ブリッジとは、歯を失った部位の両隣の歯を削り、固定式の連結した被せものをいれる治療法です。
- 保険適用で治療費を安く済ませたい
- 外科手術を受けたくない
- 治療期間を短くしたい
- 固定式の人工歯を希望している
方には、メリットの大きい治療である一方で、
- 隣接した歯を大きく削る必要がある
- 土台の歯に負担がかかり、歯が割れやすい
- 土台の歯の状態が悪いと、適応しにくい
- 寿命が短く再治療のリスクが高い
といったデメリットもあり、長期的コスパや耐久性を重視したい方には不向きの治療法になっています。
2-2:入れ歯のメリット・デメリット
入れ歯(義歯)とは、歯を失った部位に取り外し式の人工歯を入れる治療法です。
- 保険適用で治療費を安く済ませたい
- 抜けた歯の本数が多い
- 外科手術を受けたくない
方には、メリットの大きい治療である一方で、
- 違和感が大きく慣れるまでに時間がかかる
- 硬いものを噛みにくい
- お口の変化に合わせて、都度調整が必要
- 保険適応のものは、特に見た目が良くない
- 部分入れ歯は、金具が他の歯への負担になる
- 入れ歯の範囲が大きいと、発音しにくくずれやすい
- 寿命が短く、長持ちしにくい
といったデメリットがあり、使用感・見た目・耐久性を重視したい方には不向きの治療法になっています。
2-3:インプラントのメリット・デメリット
インプラントとは、歯を失った部位のあご骨に人工歯根を埋め込み、周囲の歯の力を借りない自立した固定式の人工歯を入れる治療法です。
そのため、
- 初期費用の安さより、見た目や使い心地を重視したい
- これ以上は歯を失いたくない
- 老後もしっかり噛んで食事を楽しみたい
- 再治療が少なく、長く持つ歯を入れたい(約10~15年以上)
など、長期的コスパを優先し、歯への投資価値を感じている方にメリットが大きい治療法です。
一方で、
- 保険適用外のため治療費がかかる
- 治療期間が数ヶ月かかる
- 外科手術が必要になる
- 定期メンテナンスの必要性が高くなる
- 歯科医師(歯医者)の違いで治療結果に大きな差が出る
といった5つのデメリットもあります。
そのため、使い心地や耐久性よりも、初期費用を安く済ませて外科手術なしで治療期間を短くしたいとお考えの方には不向きな治療法だといえます。
2-4:接着ブリッジのメリット・デメリット
接着ブリッジとは、従来のブリッジとは異なり、両隣の健康な歯の裏側を少し削って人工歯を接着させ、歯がない部分を補う治療法のことです。
従来のブリッジとは異なり、
- 健康な歯をほぼ削らずに済む
- 二次的な虫歯になりにくい
- 歯の神経を残せる
- 審美性が高い
といったメリットがあるため、治療期間が短く患者さまの負担が少なくなっています。
一方で、
- 従来のブリッジよりも外れやすい
- 誰でも選べる治療法ではない(適応条件が限られている)
- どこの歯医者でも受けられる治療法ではない
といった、治療できる歯医者(歯科医師)や適応条件が限られている点がデメリットです。
2-5:歯牙移植のメリット・デメリット
歯牙移植とは、歯を失った部位に噛み合わせと関係ない歯(親知らずなど)を移植する治療法です。
他の治療法とは異なり、治療に自分の歯(天然歯)を使用するため、
- 歯根膜があり、人工歯よりも食感や温度を感じやすい
- 歯根膜があり、噛み合う歯のダメージを軽減できる
- 手術負担が少ない
- 歯牙移植した歯も矯正治療で動かせる
といったメリットがあり、歯を失う前と同じような感覚で移植した歯を使用できます。
一方で、
- 治療の難易度が高く、どこの歯医者でも受けられる治療ではない
- 一定条件を満たさないと、歯牙移植の治療は受けられない
- 人工歯ではないため、虫歯のリスクが残る
- 移植には健康な歯が必要なため、高齢者には不向きなケースが多い
といった治療できる歯医者(歯科医師)や適応条件が限られている点がデメリットです。
2-6:オールオン4・オールオン6のメリット・デメリット
オールオン4・6とは、「歯をほとんどまたはすべて失ってしまった方」「総入れ歯に不満がある方」に選ばれているインプラントを4本~6本埋入する治療法のことです。
- 固定式のため、会話や食事への影響がほとんどない
- 入れ歯特有の痛みや違和感がない
- 天然歯に近い自然な見た目になる
- 顎骨が痩せにくくなる
- 手術後すぐに仮歯が入り、噛めるようになる
といった入れ歯にはないメリットがある一方で、
- 保険適用の総入れ歯よりも治療費が高い
- 外科手術が必要になる
- 総入れ歯より適用範囲が狭い
- 治療を行える歯科医師が限られている
- 治療後のメンテナンスを積極的に行う必要がある
といった治療できる歯医者(歯科医師)が限定されていたり、治療費が高くなってしまう点がデメリットになっています。
では次に、「若いのに歯がない人が歯医者選びを間違えるとやばい理由」を紹介していきます。
3:若いのに歯がない人が歯医者選びを間違えるとやばい理由
若いのに歯がない人は、治療を受ける際の歯医者選びが非常に重要になります。
というのも、老後まで使える歯を入れるためには、
- 患者さまのお口全体のバランスや将来的なリスクを考えた上で
- 最適な治療方法を提案してくれる
専門的かつ総合的な視点を持った歯医者で治療を受けるのが1番だからです。
一口に歯医者といっても、それぞれ治療方針や積極的に取り組んでいる診療内容が異なります。
そのため、
- 正確な診断・検査が可能な設備を完備している
- 専門的な知識や経験を有した歯科医師が在籍している
- 幅広い選択肢の中から治療法を選べる総合歯科診療を行っている
歯医者を選ぶようにしましょう。
一方で、
小さいときから通っている歯医者だから
家から近いから
という理由だけで歯医者を選んでしまうと、場合によっては患者さまにベストな治療を受けられない可能性が高まるので注意してくださいね!
当院では、長期目線の治療を行うために総合歯科診療をご提供しております。
当院の詳しい説明はこちらのページからご覧いただけますので、ぜひ参考にしてくださいね!
4:若いのに歯がない人が知らないとやばい基礎知識のまとめ
それでは最後に、若いのに歯がない人が知らないとやばい基礎知識について、重要なポイントを簡単におさらいしていきます。
若いのに歯がない人が知らないとやばい基礎知識は、
①歯が抜けたままだと様々な悪影響が発生する
②治療法によっては残りの歯の寿命も縮めてしまう
③抜けた原因への対策なしでは老後が悲惨な結果になる
の3つです。
その上で歯がない場合には、
①ブリッジ
②入れ歯
③インプラント
④接着ブリッジ
⑤歯牙移植
⑥オールオン4・オールオン6
の6つの中からそれぞれのメリット・デメリットを比較し、ご自身に適した治療法を選び、歯がない部分を早めに補うことが重要になります。
また、若いのに歯がない人は、
・お口全体のバランスや将来的なリスクを考えた上で
・最適な治療方法を提案してくれる
専門的かつ総合的な視点を持った歯医者で治療を受けるのが1番です。
歯医者によって受けられる治療法も異なりますので、歯を失ったときの歯医者選びは慎重に行うようにしましょう!
以上、今回は「若いのに歯がない人が知らないとやばい基礎知識」についてお話しました。
若い頃に歯を失っても、そのあとに適切な治療を受け、定期的なメンテナンスに通う習慣を身に付ければお口の中の健康状態を大幅に改善させられます。
その際に、歯医者選びはかなり重要なポイントになりますので、ぜひ本記事を参考に信頼できる歯医者を見つけてみてください!
もちろん当院で、お口の健康状態をサポートしたり、抜歯後の治療法についてご相談にのったりすることも可能です。
些細なことでも大丈夫ですので、お困りの際は遠慮なくお問い合わせくださいませ!