老後を考えた際に、歯を失ったときの治療法は一体どれがベストなのか迷いますよね。
特にインプラントは、インターネットなどで
メンテナンスの手間がかかるから、老後を考えると選択肢に入れないほうがいい。
外科手術があるから、高齢者には不向き。
といった意見を目にする機会があり、「老後を考えると、インプラントはデメリットが大きいのかな?」と悩んでしまう方も多いと思います。
そこで本記事では、日本口腔インプラント学会所属の歯科医師・田口が、「老後を考えた際のインプラントのメリット・デメリット」について本音で解説をしていきます。
では、さっそく本文にうつっていきましょう!
【執筆・監修者】田口 耕平
日本接着歯学会
日本口腔インプラント学会
日本補綴歯科学会・専門医
国際口腔インプラント学会・認定医
日本糖尿病協会登録歯科医
北戸田COCO歯科 院長
【詳しい経歴はこちら】
1:老後を考えた際のインプラントのデメリットは大きい?
結論からお伝えすると、老後を考えて他の治療法と比較した際に、インプラントのデメリットが特別大きくなることはありません。
ただし、
①メンテナンスや清掃はどの治療法でも生涯必要
②歯医者選びを慎重に行わないと長持ちしないケースがある
③高齢(60代以上)でインプラントを入れる際は注意点あり
の3点への理解を深めておいたほうが、より歯を失った際の治療法を選びやすいです。
それぞれどういうことかお話していきますね!
1-1:メンテナンスや清掃はどの治療法でも生涯必要
第一に、「インプラントはインプラント周囲炎になりやすく、メンテナンスの必要性が高いから老後には不向き」といわれることがあります。
これは半分正解で、半分不正解の答えです。
というのも、歯を失ったあとに選べる治療法の中で、老後にメンテナンスが不要になる治療法はないからです。
どの治療法を選んだ場合でも、メンテナンスや清掃を行わなければ、お口の環境が損なわれて他の健康な歯も含め虫歯や歯周病が進行します。
また、取り外し式の入れ歯であっても、歯科医師による定期的な調節や日々の洗浄が必要なのです。
ただし、インプラントがインプラント周囲炎(歯周病のような病気)になりやすいのもまた事実。
どの治療法を選んでも、お口の健康のために数ヶ月に一度のメンテナンスや日々の清掃を欠かさないようにしましょう。
1-2:歯医者選びを慎重に行わないと長持ちしないケースがある
第二に、老後を考えた際にインプラントは歯医者選びが非常に重要になります。
というのも、保険適用の治療であるブリッジや入れ歯とは異なり、インプラントは歯医者(歯科医師)によって経験や知識の差が出やすい治療法だからです。
中には、インプラント治療に対応していない歯医者もあります。
またインプラント治療に対応していても、施設が整っていなかったり安価なインプラントメーカーの製品を使っている歯医者もあるのです。
そのため、老後まで長くインプラントを使いたいとお考えの場合には、
- 3DCTなど検査設備
- 医院内の感染対策や清掃状況
- 使用しているインプラントメーカー
- インプラント以外の治療への取り組み
- 働いている歯科医師やスタッフの質
の5点をチェックし、契約を進める前に信頼できる歯医者か否かをチェックするのがおすすめです。
細かなチェックポイントについては、以下の記事を合わせて参考にしていただけるとわかりやすいと思います。
1-3:高齢(60代以上)でインプラントを入れる際は注意点あり
第三に、「高齢者だからインプラントが不向き」という事実はありませんが、高齢者(60代以上)の方がインプラントを入れる際には、いくつかの注意点があります。
というのも、若者に比べて高齢者には、
- 持病があり、薬を服用している人が多い
- インプラントを埋め込む土台の顎骨量が減っている
などの特徴があるからです。
そのため、高齢の方がインプラント治療をする際には、
- 内科医との連携が可能
- 顎骨を増やす手術が可能(骨造成や骨移植など)
の2つの条件を満たした歯医者を選ぶ必要があります。
当院でも全身疾患や顎骨の状態を理由に、他院でインプラント治療を断られてしまった方に対応できる適切な環境をご用意しております。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
2:老後を考えた際のインプラントの4つのメリット
老後を考えた際のインプラントのメリットは、
①【食事】噛める食材が多く、食の楽しみが増える
②【健康】認知症や身体機能低下のリスクを軽減できる
③【見た目】顎骨がやせ衰えにくく見た目も老化しにくい
④【使用感】ズレが気にならないから、違和感なく喋れる
の4つです。
それぞれどういうことか、お話していきますね!
2-1:【食事】噛める食材が多く、食の楽しみが増える
老後を考えた際のインプラントの1つ目のメリットは、「噛める食材が多く、食の楽しみが増える」です。
というのも、以下の表をみてわかるとおり、食材を噛む力は歯の状態によって大きく異なります。
▼治療法別の噛む力の目安
歯の状態 | 噛む力 |
---|---|
全て自分の歯 | 100% |
インプラント | 70~85% |
ブリッジ | 60~70% |
部分入れ歯 | 30~40% |
総入れ歯 | 10~20% |
そのため、老後に歯を失っても若い頃と同じように食事を楽しみたい場合には、治療の選択が非常に重要になるのです。
自分の歯やインプラントの作りが周囲の歯の力を借りない自立式であるのに対し、ブリッジや入れ歯は周囲の歯の力を借りる依存式の作りになっています。
構造上、どうしても治療法によって噛む力に差が出ます。
食事を楽しみたい方は、インプラント治療を検討してみるのがおすすめでしょう!
2-2:【健康】認知症や身体機能低下のリスクを軽減できる
老後を考えた際のインプラントの2つ目のメリットは、「認知症や身体機能低下のリスクを軽減できる」です。
「噛む行為」は、なにも食事を楽しむためだけに必要なものではありません。
実は全身の健康状態にも、深く関係しています。
例えば、歯を失い噛む力が弱まると、認知症の発症リスクは最大1.9倍も増えるというデータ※が出ています。
また、硬い食材が噛めなくなると、必然的に顎骨が痩せ細り咀嚼機能が落ちるため、どんどん食べられる食材が柔らかいものに変わっていってしまうのです。
すると、結果的に若い頃のような栄養バランスを考えた食事が難しくなり、全身の健康状態にも悪影響を及ぼします。
ただ長生きするだけでなく、健康で満足度の高い人生を送るためには「しっかり噛める歯」を保つ必要があります。
老後の健康寿命を延ばしたい方は、ぜひインプラント治療を検討してみましょう!
2-3:【見た目】顎骨がやせ衰えにくく見た目も老化しにくい
老後を考えた際のインプラントの3つ目のメリットは、「顎骨がやせ衰えにくく見た目も老化しにくい」です。
『2-1:【食事】噛める食材が多く、食の楽しみが増える』でもお伝えしたとおり、インプラントは他の治療法に比べてしっかり噛むことができます。
そのため、歯を失った際にインプラントを入れると、歯茎の下にある顎骨がやせ衰えにくくなり、
- 歯茎が退縮する
- 頬がこけてたるみ、ほうれい線やシワが濃くなる
などの見た目の老化現象が現れにくくなるのです。
よく噛んで顎骨に刺激を与え、顔周りがやせ衰えるのを防ぎ、見た目の老化防止を目指しましょう!
2-4:【使用感】ズレが気にならないから、違和感なく喋れる
老後を考えた際のインプラントの4つ目のメリットは、「ズレが気にならないから、違和感なく喋れる」になります。
まず、入れ歯とインプラントを比べた場合の喋りやすさの違いは顕著です。
というのも、
- 入れ歯:取り外し式の人工歯
- インプラント:固定式の人工歯
といった構造上の違いがあり、どうしても入れ歯は
する関係で、発音が不明瞭になりやすいと言えます。
そのため、老後も歯を気にせずおしゃべりを楽しみたい方は入れ歯よりインプラントを選ぶメリットが大きいです。
また、入れ歯とブリッジを比べた場合の喋りやすさは、どちらも固定式の人工歯になるため大きな差は出ないケースが多くなります。
ただし、失った歯の本数が多い場合には、
といった違いが出る影響で、ブリッジでも発音障害が出るケースがあるので注意が必要です。
3:老後を考えた際のインプラントのメリット・デメリットの結論
それでは最後に、老後を考えた際のインプラントのメリット・デメリットの重要なポイントを簡単におさらいしていきます。
老後を考えて他の治療法と比較した際に、インプラントのデメリットが特別大きくなることはありません。
ただし、
①メンテナンスや清掃はどの治療法でも生涯必要
②歯医者選びを慎重に行わないと長持ちしないケースがある
③高齢(60代以上)でインプラントを入れる際は注意点あり
の3点への理解を深めておいたほうが、より歯を失った際の治療法を選びやすいです。
次に、老後を考えた際のインプラントのメリットは、
①【食事】噛める食材が多く、食の楽しみが増える
②【健康】認知症や身体機能低下のリスクを軽減できる
③【見た目】顎骨がやせ衰えにくく見た目も老化しにくい
④【使用感】ズレが気にならないから、違和感なく喋れる
の4つがあげられます。
上記の点から、老後のQQL(生活の質)を上げたいとお考えの方には、インプラントに投資をする価値があるといえるでしょう。
以上、今回は「老後を考えた際のインプラントのメリット・デメリット」についてお話しました。
ぜひ、他の治療法ともよく比較検討の上で、ご自身にあった治療法を選んでくださいね!
また、当院ではインプラント以外の治療法も幅広く選択いただける環境をご用意しております。
どの治療法を選んだらいいか迷った場合には、遠慮なくご相談いただければ幸いです^^