今回は、インプラントの安全性について
⇒ 本当に安全なの?
⇒ 手術で痛い思いをしそうで怖い
⇒ 入れても長持ちしないんじゃないの?
⇒ 失敗された人もいるんでしょ?
といったマイナスイメージを持っている方に向けて、
インプラント学会所属の歯科医師が、インプラント治療にはリスクがあるか否かを本音で徹底解説していきます。
とはいえ、「先生はインプラントで儲かるから、良いことしか言わないんじゃないの?」と信用がない状態のままでは、お話になりませんよね。
ご安心ください!
そもそも、当院では患者さまに特定の治療だけを強くオススメすることはありません。
● 公的機関のデータに基づいて
● インプラント治療を正しく理解してもらう
ことを意識して、最後までわかりやすく説明させていただきます。
まずは、「インプラントって実際どうなの?」というフラットな視点で本記事を読んでみてくださいね!
【執筆・監修者】田口 耕平
北戸田COCO歯科 院長
【経歴はこちら】
1:インプラントとは?材料と人体への安全性
インプラントとは、
☑ 虫歯
☑ 歯周病
☑ 事故
など、何らかの理由で失ってしまったあなたの歯の代わりになる“人工歯”です。
材料であるチタンは金属の中でもアレルギーが起こりにくく、他の医療機関では
● 脳神経外科:頭蓋骨の代用
● 整形外科:人工関節
などでも使用されています。
そういった点から、人体への安全性は、特に問題がないと言えるでしょう。
過去にアクセサリー等で金属アレルギーの症状が出た経験がある方は、治療前に担当医に相談をしておくと安心でしょう。
1-1:インプラント以外の治療法の安全性は?
歯がない場合の治療の選択肢は、インプラント以外だと以下の2つの治療法が基本になります。
ブリッジ | 入れ歯 |
※保険適用内での治療の場合は、ブリッジが部位によっては銀歯になります。
どちらも数百年以上前から続く歴史のある治療法で、安全性は十分だと言えるでしょう。
ただし、それぞれ
● 周囲の歯に負担を与える
● 天然歯のように噛めない
● 長持ちしない
というデメリットがあり、本来の歯の代わりにはなり得ないのが最大の欠点でした。
そこで、上記の問題を改善する治療法として、1965年(日本では1983年)※から取り入れられたのが「インプラント」になります。
2:インプラント手術のリスクと安全性は?
☑ 手術前
☑ 手術中
☑ 手術後
で注目すべきポイントが異なります。
一つひとつ、詳しくお話していきますね。
2-1:手術前に分かるリスクの高い方!できないケースもある?
インプラント手術を行う際には、
● インプラントと顎の骨をくっつける
● 手術中や手術後の感染を防ぐ
● 手術中の体調を安定させる
という観点から、
→ 未成年(20歳以下)
→ 妊娠中
→ 全身疾患や持病がある
→ 虫歯や歯周病がある
→ あごの骨が薄い・少ない
といったケースの人は、インプラント治療をするリスクが高いと考えられています。
ただし、どのケースであっても対処法があるので「インプラントができない」ということは、ほとんどありません。
2-2:手術中の代表的な4つのトラブルと対処法
インプラント手術中の代表的なトラブルは、
● 神経や血管を傷つける
● 上あご内にある空洞を傷つける
● ドリルの摩擦で骨にダメージがかかる
● 適切な位置にインプラントが入っていない
の4つになります。
しかし、どれも
→ 事前に歯科用CTで、立体的にお口の中を調べる
→ 骨とドリルの接触場所に、しっかり水をかける
といった対処法を実践していれば、より安全で確実な治療ができます。
ただし、残念ながらインプラント手術に必要な経験豊富な歯科医師、設備や機器がすべての歯医者にそろっているわけではありません。
患者さまが安全性の高いインプラント治療を受けるためには、記事後半で紹介しているような信頼できる歯医者を見つけることが重要になるのです。
2-3:手術後のトラブルとインプラントの寿命
手術後のトラブルでは、インプラントが
● 骨とくっつかない
● 動く、折れる、抜け落ちる
● 噛みにくい
● 長持ちしない
● 手術部位に痛みや腫れが出る
の5つがあげられます。
ただし、これらの症状も、
→ 手術後は担当医の指示を守って過ごす
→ 手術後のメンテナンスをしっかり受ける
→ 専門技術や知識のある歯科医師の元で治療を受ける
などの対処法を実践していれば、問題が大きくなることはほとんどありません。
実際に、厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」のデータでも、約90%のインプラントが10年~15年は持つと公表されています。
3:安全性の高いインプラント治療をする歯医者を探す方法
安全性が高いインプラント治療をしている歯医者を探す場合には、
☑ 設備
☑ 担当医の実績や経験
☑ 感染対策
☑ メンテナンスへの意識の高さ
の4つをチェックしましょう。
どういうことか、一つひとつ詳しくお話していきますね。
3-1:設備
ここまでお話したとおり、インプラントは外科手術が必要になります。
そのため、検査や手術の設備が充実しているか否かで、どこまでインプラント治療に力を入れているのかを見抜けます。
具体的には、
● CT(お口の中を立体的に検査する機材)はあるのか
● 手術室(個室)はあるのか
● 質の高いインプラント体を使用しているか
● 緊急時のために医療機関と連携しているか
● AEDはあるのか
● インプラントの担当医は常駐しているか
などのポイントを確認すると、歯医者のインプラント手術に対する意識の高さをチェックできます。
3-2:担当医の実績や経験
インプラント治療の安全性を判断する上では、担当医に実績や経験があるかどうかも重要なチェックポイントになります。
具体的には、歯医者のサイトに記載されている担当医の経歴やプロフィールなどを見て
● 口腔インプラント専門医または指導医
● インプラント科または専門医での勤務年数
● 日本口腔インプラント学会所属
● インプラント手術の治療数(年間本数)
● 骨移植や骨造成等の難症例に対応しているか
といった項目を確認すると良いでしょう。
ただし、「インプラント専門の歯医者」=「インプラントだけしかやらない歯医者が良い」という意味ではありません。
インプラント以外にも、
→ 補綴(ほてつ:人工物でお口の機能を改善する)
→ 歯周病
→ 矯正(かみ合わせ)
などの分野にも精通している歯医者を選んだ方が、お口全体のバランスを考えた上で総合的な治療をしてもらえます。
3-3:感染対策
インプラント治療の安全性を確かめる上で、感染対策に力を入れているか否かはぜひチェックしておきたいポイントです。
具体的には、
● 患者さまに直接ふれる製品は使い捨て
● 治療器具を個別パックで滅菌
● 消毒液によるチェアーの拭き取り
● 個室内での外科手術
3-4:メンテナンスへの意識の高さ
インプラント治療の安全性を判断する上では、歯医者のメンテナンスへの意識の高さもチェックしましょう。
なぜなら、インプラントが無事に入って治療が終了しても、歯を良い状態で長持ちさせるためには、メンテナンスが重要になるからです。
具体的には、歯医者のサイトなどで
● 日々のお手入れへの指導
● 定期的な歯医者での検診サポート
● 歯科衛生士が担当制になっているか
● インプラント周囲炎について説明があるか
● 歯科衛生士への研修が行われているか
といったポイントに力を入れて取り組んでいるかを確認して、信頼できる歯医者なのかを見極めるのがオススメでしょう。
4:インプラントの安全性の結論
それでは最後に、インプラント治療の安全性について重要なポイントだけを簡単におさらいしていきます。
インプラントの材料は、
☑チタン
☑人の体とも馴染みがよく、安全性が高い
インプラント手術の安全性は、
☑術前、術中、術後で注意点が異なる
☑外科手術なので、リスクがゼロではない
☑ただし、対処法があるので過度な心配な不要
インプラント治療で安全性の高い歯医者を探す場合には、
☑設備
☑担当医の実績や経験
☑感染症対策
☑メンテナンスへの意識の高さ
の4つのポイントをチェックしましょう!
インプラントは、トラブルの多い治療といったイメージを持つ人が多いです。
しかし、信頼できる歯医者の元で正しい処置を受ければ、安全性について過度に心配する必要はありません。
「インプラントは怖いからなし!」と決めつけるのではなく、フラットな視点で他の治療法との比較をしてみてくださいね!