前歯を失ってしまった場合、見た目の印象を考えて、他の治療法よりも審美面で優れているインプラントを検討する方は非常に多いです。
とはいえ、よく見える前歯だからこそ、
インプラントを選ぶ上での注意点やデメリットはないのか?
患者視点で失敗を防ぐためのポイントはあるのか?
などが気になりますよね。
そこで本記事では、日本口腔インプラント学会所属の歯科医師・田口が前歯のインプラントについて知っておくと役立つ情報をまるっとまとめて解説していきます。
前歯のインプラントを検討している方は、ぜひ最後までご一読くださいね^^
【執筆・監修者】田口 耕平
日本接着歯学会
日本口腔インプラント学会
日本補綴歯科学会・専門医
国際口腔インプラント学会・認定医
日本糖尿病協会登録歯科医
北戸田COCO歯科 院長
【詳しい経歴はこちら】
1:前歯のインプラントの注意点3選&対処法
前歯のインプラントを検討している方は、以下3つの注意点を治療前に知っておくのがおすすめです。
①理想と異なる仕上がりになる可能性がある
②歯茎が下がってしまうケースがある
③仮歯が入る期間が約1~3ヶ月ある
なぜなら、知らずに治療を開始してしまうと、治療後に
自分の思っていたイメージと違っていた!
先に知っておけば良かった(泣)
と後悔を抱いてしまうケースがあるからです。
どういうことか、一つひとつ詳しくご説明していきますね!
1-1:理想と異なる仕上がりになる可能性がある
前歯のインプラントの1つ目の注意点は、「理想と異なる仕上がりになる可能性がある」です。
というのも、インプラントはオーダーメイド制で1本1本患者さまに合わせて、形や色味を決めていきます。
そのため、
- 患者さま
- 歯科医師
の間で仕上がったイメージをしっかり共有できていないと、患者さまの理想とは異なった仕上がりになってしまうケースがあるのです。
また、インプラントは、どんな被せ物を使うかでも仕上がりに差が出ます。
対処法としては、
- カウンセリングを丁寧に行ってくれる
- 言葉だけではなく、画像でもイメージ共有をしてくれる
- 上質な被せ物の素材を使ってくれる
- 補綴(被せ物)について専門に学んでいる
の4つを満たす歯医者を選ぶのがおすすめです。
当院では、患者さまとのイメージの相違をできる限りなくすために、
- 個室カウンセリングルーム完備
- モニター(画像)を用いた説明
- 被せ物は、高い審美性を誇るジルコニアを使用
- 日本補綴歯科学会所属(被せ物専門)の歯科医師が中心の治療
といった対策を行っております。
1-2:歯茎が下がってしまうケースがある
前歯のインプラントの2つ目の注意点は、「歯茎が下がってしまうケースがある」になります。
なぜなら、前歯のあご骨は奥歯に比べて薄く、歯茎がさがるリスクが高いからです。
特に歯周病が進行している方は、歯茎が下がる問題が発生しやすく、埋め込んだインプラントが透けて歯茎部分が黒く見えるケースがあります。
対処法としては、治療前に歯科医師に
- 骨や歯肉が十分あるか
- 歯肉が下がってしまう可能性はないか
- 骨や歯茎を増やす治療は可能なのか
- 3DCT※による検査が可能か(※骨の厚みや角度を立体的に検査する機器)
を確認するのがおすすめです。
というのも、インプラント治療はできても、骨や歯茎を増やす治療法には対応していない歯医者も多くあるからです。
1-3:仮歯が入る期間が約1~3ヶ月ある
前歯のインプラントの3つ目の注意点は、「仮歯が入る期間が約1~3ヶ月※ある」になります。
仮歯を入れる期間は、骨の状態や歯肉の厚み(治療法)により大きく異なります。詳しくは担当医にご確認ください。
というのも、土台であるインプラント体を埋め込んだ後は、状態が安定するまで仮歯で過ごす必要があるからです。
対処法としては、仮歯についての知識を深めるのがおすすめになります。
というのも、仮歯であっても
- 見た目の美しさを維持したり
- かみ合わせや歯並びの歪みを防いだり
する機能があると理解できれば、過度に心配する必要がないことがわかるからです。
ぜひ、以下記事もあわせて参考にしてみてくださいね!
2:難しい前歯のインプラント!失敗を防ぐ6つのポイント
見た目の印象を大きく左右することもあり、難しいと言われることもある前歯のインプラント。
ですが、患者さまが以下6つのポイントをおさえておくことで、失敗する確率を減らすことが可能です。
①インプラント以外の治療法との違いを比べる
②格安インプラントには注意する
③歯科医師や歯医者選びを慎重に行う
④治療の流れを事前に頭に入れておく
⑤転倒や事故の際の保証をチェックする
⑥メンテナンスの重要性を理解する
それぞれどういうことか、お話していきますね!
2-1:インプラント以外の治療法との違いを比べる
第一に前歯のインプラントの失敗を防ぐためには、「インプラント以外の治療法との違いを比べる」のがおすすめになります。
なぜなら、どの治療にも一長一短があり、あまり深く比較検討せずに治療法を選んでしまうと予期せぬ後悔につながってしまうケースがあるからです。
具体的には、前歯のインプラントの場合には、
- ブリッジ
- 入れ歯
- 接着ブリッジ
- インプラント
の4つが適応するケースが多いでしょう。
それぞれの治療法の違いについては、以下の記事を読んでいただけるとわかりやすいと思います。
ご自身の状態やライフスタイルに適した治療法が知りたい場合には、ぜひ当院の無料カウンセリングをご利用いただければ幸いです。
2-2:格安インプラントには注意する
第二に前歯のインプラントの失敗を防ぐためには、「格安インプラントには注意する」のがおすすめになります。
インプラントは自由診療のため、歯医者によって数十万円単位で治療費が異なるケースがあります。
しかし、安さだけにつられて、1本あたり10万円単位の格安インプラントを選ぶのはおすすめできません。
なぜなら、インプラントの値段が高くなる理由には、
- インプラントを埋め込む位置や本数
- インプラントの種類
- 担当医の技術
- ドクターやスタッフの質・人数
- 歯医者の設備
- 感染対策にかけるコスト
- 保証の有無と内容
- 立地条件
- 上部構造(被せ物)
などさまざま理由が関係しているからです。
安さの裏には、
- CTなどの高額な医療機器は完備されていない
- 感染対策にかかる薬剤や人件費を削っている
など、安全面で重要な部分を削っているケースも多く見受けられます。
そのため、相場から大きく外れた料金設定の場合には、
なぜ安いのか(もしくは高いのか)?
設備面や歯科医師の資格等で不安な点はないか?
を契約前に、慎重に探ったほうが良いでしょう。
ちなみに、公益社団法人日本口腔インプラント学会が2015年時点に公表している相場のボリュームゾーンは、「1本あたり約20万~40万円」になります。
ただし、2022年現在では、オプションを含む総額で1本あたり約30万~約40万円かかるケースが多いです。
2-3:歯科医師や歯医者選びは慎重に行う
第三に前歯のインプラントの失敗を防ぐためには、「歯科医師や歯医者選びは慎重に行う」のがおすすめになります。
なぜなら、同じ歯科医師や歯医者であっても、それぞれ得意・専門分野が大きく異なるからです。
中にはインプラント未対応の歯医者もありますし、どこまで積極的にインプラントに取り組んでいるかはそれぞれの歯医者や歯科医師でかなり偏りがあります。
そのため、インプラント治療を検討する場合には、
- かかりつけ医
- 家から近い
だけの理由で歯医者を選ぶのは、おすすめできません。
具体的な歯医者選びのポイントは、以下記事で詳しく解説しています!
ぜひ熟読いただき、信頼できる治療のパートナーを見つけてくださいね^^
2-4:治療の流れを事前に頭に入れておく
第四に前歯のインプラントの失敗を防ぐためには、「治療の流れを事前に頭に入れておく」のがおすすめになります。
というのも、前歯は目立つ部分であるからこそ、
- 手術はどのくらい時間がかかるものなのか
- どのタイミングで仮歯になるのか
- いつ最終的な被せ物が入るのか
などを患者さまご自身が把握しておいたほうが、治療の見通しが立ち、余計なストレスを抱えずに済むからです。
また、あわせて手術後の過ごし方も知っておくと予定が立てやすくなります。
ぜひ、担当医に治療のスケジュールを聞いてみてくださいね^^
2-5:転倒や事故の際の保証をチェックする
第五に前歯のインプラントの失敗を防ぐためには、「転倒や事故の際の保証をチェックする」のがおすすめになります。
というのも、いくら丈夫なインプラントであっても、天然歯(自分の歯)が破損するくらいのダメージを受けてしまうと、
- 欠けたり
- 折れたり
してしまうケースがあるからです。
特に、前歯は転倒時などにぶつけやすい部位になります。
いざというときのために、契約前に保証内容を確認しておきましょう。
具体的な保証内容のチェックポイントは、以下記事で詳しく解説しています。
ぜひ、あわせて参考にしてくださいね!
2-6:メンテナンスの重要性を理解する
第六に前歯のインプラントの失敗を防ぐためには、「メンテナンスの重要性を理解する」のが重要になります。
なぜなら、インプラントをより長く使うためには、メンテナンスが必要不可欠だからです。
前歯の清掃状況が悪いと、インプラントを入れたときは綺麗でも、後からインプラント周囲炎(歯周病のような病気)になって歯茎が下がってしまうことがあります。
担当医に指示されたメンテナンスを受け、見た目やお口の健康を維持できるようにしていきましょう。
※もちろん歯周病は、インプラント以外の治療法を選んでも発生します。
どの治療法を選んだ場合でも、「定期検診」や「ご自宅でのセルフケア」を忘れずに行いましょう。
3:前歯のインプラントの結論
それでは最後に、前歯のインプラントについて重要なポイントを簡単におさらいしていきます。
前歯のインプラントを検討している方は、治療前に
①理想と異なる仕上がりになる可能性がある
②歯茎が下がってしまうケースがある
③仮歯が入る期間が約1~3ヶ月ある
の3つの注意点について理解し、本記事で紹介した対処法を実践するのがおすすめです。
また、
①インプラント以外の治療法との違いを比べる
②格安インプラントには注意する
③歯科医師や歯医者選びは慎重に行う
④治療の流れを事前に頭に入れておく
⑤転倒や事故の際の保証をチェックする
⑥メンテナンスの重要性を理解する
の6つのポイントを意識して、信頼できる治療のパートナー(歯科医師や歯医者)を探すと、前歯のインプラント関連の失敗を未然に防ぎやすくなります。
以上、今回は前歯のインプラントについてお話しました。
当院には、補綴科の中でも被せ物を専門にしている日本補綴歯科学会に所属した歯科医師がおります。
そのため、見た目の印象を大きく左右する前歯のインプラントについて、お力になれることも多いです。
お悩みの際は、お気軽にご相談いただければと思います^^