インプラントの外科手術が不安。もし、失敗されたらどうしよう…。
どんな歯医者を選べば、安全な治療が受けられるのかな?
そんなインプラント治療への不安を抱えている方。
インプラント治療は外科手術であり、確率としては低いですが、失敗するケースもあります。
ネット上では失敗例も散見され、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、
- 日本補綴歯科学会・専門医(インプラントの上部構造)
- 国際口腔インプラント学会・認定医(難症例にも対応できる)
のダブルライセンスを持つ歯科医師・田口が、「インプラント治療の代表的な失敗例と、その原因や予防法」について詳しく解説します。
歯科医師として、インプラント治療の失敗リスクについて包み隠さずお伝えしていきます。
患者さまの不安を解消しながら、納得して治療を受けていただけるようにご説明しますので、ぜひ最後までご一読くださいね!
【執筆・監修者】田口 耕平
日本接着歯学会
日本口腔インプラント学会
日本補綴歯科学会・専門医
国際口腔インプラント学会・認定医
日本糖尿病協会登録歯科医
北戸田COCO歯科 院長
【詳しい経歴はこちら】
1:インプラント治療の代表的な失敗例4選
インプラント治療の代表的な失敗例は、以下の4つです。
- インプラントが固定されない
- インプラントが細菌感染した(インプラント周囲炎)
- 人工歯が破損する・外れる・ぐらつく
- 腫れ・痛み・しびれなどが長期間続く
上記のような失敗リスクが高まる要因には、
- 患者さまの状態
- 歯科医院・歯科医師のスキル不足
- 術後のケア不足
の3つが大きく関係しているケースが多いです。
それぞれどういうことか、詳しくお話していきますね。
上記の失敗を防ぐ予防法は、『2:インプラント治療の失敗を防ぐ5つの予防法』で詳しく紹介しているので、あわせてご一読ください。
1-1:インプラントが固定されない
インプラント治療の失敗例で最も代表的なのが、「インプラントが顎骨としっかりと結合せず、固定されないケース」です。
インプラントが固定されない場合、インプラントが脱落したり、しっかり噛めなくなる可能性があります。
主な原因は、以下のとおりです。
- あご骨の状態が考慮されない治療計画
→ 骨質や骨量に適した治療が行われないと、インプラントがしっかり結合されません。 - 手術ミス
→インプラントの埋入位置や角度が適切でなかったり、ドリルによるオーバーヒートで骨にダメージが残ると、結合しにくくなります。
1-2:インプラントが細菌感染した(インプラント周囲炎)
インプラント治療の失敗例2つ目は、「インプラントが細菌感染した(インプラント周囲炎)」です。
インプラント周囲炎は、治療後にインプラント周囲の歯肉や骨に炎症が起こる病気のことで、歯周病と似た症状が現れます。
インプラント治療の失敗例として、決して少なくありません。
主な原因は、以下のとおりです。
- 衛生不良
→治療後の定期検診やセルフケアが適切に行われず、 プラークや歯石が溜まると、インプラント周囲炎のリスクが高まります。 - 喫煙
→喫煙によって、インプラント周囲炎のリスクが高まります。 - 糖尿病などの持病:
→糖尿病などの持病がある場合、インプラント周囲炎のリスクが高まります。 - 過剰な歯ぎしりや食いしばり
→歯ぎしりや食いしばりによって、インプラントに過剰な負担がかかると、インプラント周囲炎のリスクが高まります。
1-3:人工歯が破損する・外れる・ぐらつく
インプラント治療の失敗例3つ目は、「人工歯が破損する・外れる・ぐらつく」です。
人工歯とは、インプラントの目視で確認できる歯の部分(上部構造)になります。
人工歯に問題が起こる主な原因は、以下のとおりです。
- 強い衝撃を受ける
→転倒や交通事故などで、前歯のインプラントをぶつけるなどすると、人工歯が破損したりぐらつくケースがあります。 - 過剰な歯ぎしりや食いしばり
→歯ぎしりや食いしばりによって過剰な負担がかかると、人工歯が破損したりぐらつくケースがあります。 - かみ合わせがあっていない
→かみ合わせによって、人工歯に過剰な負荷がかかると、人工歯が破損したりぐらつくケースがあります。 - アパットメントの締付け不足
→人工歯とインプラント体をつなぐアパットメントの締付不足によって、人工歯がぐらついたり外れたりするケースがあります。
1-4:腫れ・痛み・しびれなどが長期間続く
インプラント治療の失敗例4つ目は、「腫れ・痛み・しびれなどが長期間続く」です。
通常は術後、
- 早くて2~3日
- 遅くとも1~2週間
で痛みや腫れなどの症状は落ち着きます。
また、痛みがあっても、処方された痛み止めなどを飲めば症状が気になることはあまりありません。
ただし、2週間以上の長期間症状が続いたり、痛み止めを飲んでも我慢できないような痛みを感じる場合には、以下のような原因による失敗が疑われます。
- 手術ミス
→インプラントの埋入位置や角度が適切でない場合、神経を損傷したり他の歯の根っこに触れたりしてしまい、痛みやしびれが出るケースがあります。 - 衛生不良
→治療後の定期検診やセルフケアが適切に行われず、 プラークや歯石が溜まると、インプラント周囲炎によって痛みや腫れが発生します。
では次に、患者さまご自身が実践できる「インプラント治療の失敗を防ぐ5つの予防法」について紹介していきます!
2:インプラント治療の失敗を防ぐ5つの予防法
インプラント治療の失敗を防ぐ5つの予防法は、以下のとおりです。
- 格安のインプラント治療は避ける
- 歯科医院や歯科医師選びを慎重に行う
- セカンドオピニオンを利用する
- 信頼できる情報元から情報を得る
- 治療後のメンテナンスを継続する
上記5つの予防法を患者さまが実践すれば、インプラント治療で失敗する確率を大幅に減らせます。
それぞれの予防法について、この後に一つひとつ詳しくご説明していきます!
ぜひ、参考にしてくださいね^^
2-1:格安のインプラント治療は避ける
インプラント治療の失敗を防ぐ1つ目の予防法は、「格安のインプラント治療は避ける」です。
インプラント治療は自費診療のため、保険適用の治療に比べて費用が高くなります。
そのため、格安のインプラント治療(1本20万円以下)を検討される患者さまもいらっしゃいますが、これは大変危険です。
なぜなら、格安のインプラント治療を行う歯医者では、
- 質の低いインプラントや設備を使用したり
- 経験の浅い歯科医師が施術したり
してコストダウンをしている可能性が高いからです。
このような治療を受けると、先ほど紹介した
- インプラントが固定されない
- インプラントが細菌感染した(インプラント周囲炎)
- 人工歯が破損する・外れる・ぐらつく
- 腫れ・痛み・しびれなどが長期間続く
のような、インプラント治療の失敗リスクが高くなります。
A.総額で、1本あたり約30万~40万円です。
ただし、骨を増やす手術が必要になったり、立地条件の良い歯医者を選ぶ場合には、さらに料金が高くなるケースがあります。
インプラントは、一生涯にわたって機能させることを目標とする治療です。
そのため、費用だけでなく、技術力や経験豊富な歯科医師がいるかどうかにも注目しましょう!
2-2:歯科医院や歯科医師選びを慎重に行う
インプラント治療の失敗を防ぐ2つ目の予防法は、「歯科医院や歯科医師選びを慎重に行う」です。
インプラント治療を成功に導く最大のポイントは、歯科医院や歯科医師選びにかかっていると言っても過言ではありません。
具体的には、以下の8点をチェックしましょう。
①インプラント治療関連の資格を保持した歯科医師がいる
②症例数や実績が多い
③高難易度のインプラント治療に対応している
④インプラントメーカーや被せ物の素材にこだわっている
⑤設備が整っており、感染対策が徹底されている
⑥カウンセリングが丁寧で、治療費が安すぎない
⑦保証制度やアフターフォローが手厚い
⑧インプラント以外の治療にも幅広く対応している
上記のチェックリストを元に、複数の歯科医院や歯科医師を比較検討し、自分と相性の良い長く通えるところを選びましょう!
2-3:セカンドオピニオンを利用する
インプラント治療の失敗を防ぐ3つ目の予防法は、「セカンドオピニオンを利用する」です。
セカンドオピニオンとは、担当医以外の歯科医師に意見を聞くことです。
セカンドオピニオンを受けることで、以下のメリットを得られます。
- 1人目の担当医の話が適切か判断できる
- 治療費の適正価格がわかるようになる
- 設備や保証制度の手厚さの違いがわかるようになる
- インプラントへの理解が深まり、治療の選択肢も広がる
疑問や不安があるときには、より良い条件かつ納得した状態で治療を受けるためにも、積極的にセカンドオピニオンを活用しましょう。
2-4:信頼できる情報元から情報を得る
インプラント治療の失敗を防ぐ4つ目の予防法は、「信頼できる情報元から情報を得る」です。
インプラント治療に関する情報は、インターネットや書籍などで簡単に得ることができます。
しかし、中には誤った情報や誇張された情報も含まれているため、注意が必要です。
真偽が定かではない情報に振り回されないためにも、情報収集する際には、以下の点に留意しましょう。
- 情報元の信頼性は高いか
→公的サイトであるか、執筆者は専門家か - 最新の情報か
→情報の更新日をチェック! - 複数の情報元を比較検討したか
→1つの偏った情報ばかり集めていないか
また、信頼できる情報元としては、以下のようなものがあります。
ぜひ、参考にしてみてください!
2-5:治療後のメンテナンスを継続する
インプラント治療の失敗を防ぐ5つ目の予防法は、「治療後のメンテナンスを継続する」です。
治療後にインプラントを長持ちさせるためには、メンテナンスが非常に重要となります。
なぜなら、治療後に定期的なメンテナンスを受けることで、
- インプラント周囲炎を予防できる
- インプラントに異変が起きても、迅速に対処できる
- インプラント以外の歯の寿命も延ばせる
- メーカー保証を受けられる可能性が高くなる
といったメリットを得られるからです。
治療ではないからと油断せず、しっかり定期検診を受けるようにしましょう!
では次に、インプラント治療で失敗されるのが怖い患者さまからいただく「よくある2つの質問」にお答えしていきます。
3:インプラント治療の失敗についてよくある質問2選
インプラント治療の失敗についてよくある質問は、
- Q1:インプラント治療で失敗する確率は?
- Q2:治療中や術後にトラブルが起きたら転院できる?
の2つです。
歯科医師視点で、それぞれの質問に回答していきますね!
3-1:Q1インプラント治療で失敗する確率は?
A.インプラント治療で失敗する確率は、5~10%以下とあまり高くありません。
近年ではインプラント治療は大きく進化しているため、失敗する確率は低くなっていると言えます。
実際に2012年時点で、95%のインプラントが10年以上持続するという報告※もありました。
ただし、5~10%以下の確率とはいえ、失敗するケースが存在するのも事実です。
そのため、治療の成功確率を上げるためには、先程紹介した『インプラント治療の失敗を防ぐ5つの予防法』を、患者さまご自身にも実践していただくことが非常に重要となります。
3-2:Q2治療中や術後にトラブルが起きたら転院できる?
A.治療中や術後の転院は可能ですが、あまり望ましくありません。
なぜなら、転院後の治療は以下の理由から難しくなるケースが多いからです。
- 埋入したインプラントの種類がわかりにくい
→インプラントメーカーは全世界で200数十種類・日本国内でも40種類近くあり、同じメーカーでも種類やサイズが色々あります。 - 手術や歯を入れたときの状況が担当医でないとわからない
- 新たな治療費が発生するケースが多い
- 治療後の保証が適用されなくなる
そのため、トラブルが起きても、原則的には最初に治療を行った歯科医師で対応してもらうことが推奨されます。
ただし、やむを得ず転院する場合は、転院前に
- 口腔インプラント治療相談窓口に相談する
- 現在の担当医に紹介状や口腔インプラントカードを記入してもらう
- 治療中の場合は、治療費はどこまで返金されるか確認する
などして、転院後の歯科医院での治療がスムーズになるように対策をしましょう。
4:インプラント治療と失敗のまとめ
それでは最後に、インプラント治療と失敗について重要なポイントをおさらいしていきます。
インプラント治療の代表的な失敗例は、以下の4つです。
- インプラントが固定されない
- インプラントが細菌感染した(インプラント周囲炎)
- 人工歯が破損する・外れる・ぐらつく
- 腫れ・痛み・しびれなどが長期間続く
上記の失敗を防ぐ予防法は、以下のとおりになります。
- 格安のインプラント治療は避ける
- 歯科医院や歯科医師選びを慎重に行う
- セカンドオピニオンを利用する
- 信頼できる情報源から情報を得る
- 治療後のメンテナンスを継続する
また、インプラント治療の失敗についてよくある質問への回答は、以下のとおりです。
- Q1:インプラント治療で失敗する確率は?
→A.インプラント治療で失敗する確率は、5~10%以下とあまり高くありません。 - Q2:治療中や術後にトラブルが起きたら転院できる?
→A.治療中や術後の転院は可能ですが、あまり望ましくありません。
以上、今回はインプラント治療の失敗について、知っておくと役立つ情報を紹介しました。
インプラント治療は成功率の高い治療法ですが、失敗する可能性もゼロではありません。
治療前に十分な情報収集を行い、信頼できる歯科医院や歯科医師を選び、安心して治療を受けられる環境を整えましょう!
信頼できる歯科医院や歯科医師が見つからない場合には、ぜひ一度当院にご相談ください!
患者さまのご不安を解消できるよう、疑問や不安に丁寧に寄り添います^^