「インプラント治療後は口臭が発生する」
そんな噂を聞いて、インプラント治療をするか否かを迷っていませんか?
たしかに、インプラントの治療後に口臭が発生するケースはあります。
しかし、原因に合わせた正しい対策をしなければ
● 天然歯(自分の歯)
● ブリッジ(連結した被せもの)
● 入れ歯
などでも、同じように口臭が発生する可能性が高いのです。
そこで本記事では、日本口腔インプラント学会所属の歯科医師田口が、「インプラント治療後の口臭の原因や対策」について徹底解説していきます。
正しい口臭ケアを覚えて、インプラント治療後もキレイな息を手に入れましょう!
【執筆・監修者】田口 耕平
北戸田COCO歯科 院長
【経歴はこちら】
1:インプラント治療後に口臭が発生する2つの原因&対策
インプラント治療後に口臭が発生する主な原因は、
☑磨き残し
☑インプラント周囲炎
の2つです。
どういうことか、それぞれ詳しく解説していきますね!
1-1:磨き残し
インプラント(人工歯)でも、磨き残しがあれば口臭が発生します。
なぜなら磨き残しが多いと、口の中にある細菌が食べ物のカスなどに含まれるタンパク質を分解して、
● メチルメルカプタン
● 硫化水素
● ジメチルサルファイド
といった腐った生ゴミのようなニオイの物質を発生させるからです。
もちろんインプラントの部位以外に磨き残しが多い場合でも、口臭は発生しますので注意をしてくださいね!
対策としては、
→ 歯医者で正しい歯磨きの方法を指導してもらう(TBI)
→ 歯医者で磨き残しが多い部分をキレイにしてもらう(クリーニング)
→ 自宅での歯磨きを丁寧にする(フロスや歯間ブラシ等も活用)
が有効です。
1-2:インプラント周囲炎
インプラント治療後に、インプラント周囲炎(しゅういえん)と呼ばれる歯周病のような症状を発症すると口臭がきつくなることがあります。
なぜなら、インプラント周囲炎を引き起こす原因になる細菌の塊=歯垢(プラーク)が、お口の中のタンパク質を分解させてニオイを発生させるからです。
対策は、
→ 禁煙や節煙をする(インプラント周囲炎の発症リスクを下げる)
→ 歯医者の定期メンテナンスへ行く
→ 自宅での歯磨きを丁寧にする(フロスや歯間ブラシ等も活用)
がオススメです。
それでは次に、インプラント以外が原因の口臭について紹介していきます。
2:インプラント以外が原因!5つの口臭タイプ
口臭が発生する原因は、インプラント以外の原因が関係しているケースが多いです。
具体的には、
☑虫歯や歯周病
☑舌苔(ぜったい)が溜まっている
☑生理的口臭
☑全身疾患による影響
☑自己臭症(じこしゅうしょう)による影響
の5つがあげられます。
どういうことか詳しく説明しますね。
2-1:虫歯や歯周病
虫歯や歯周病は、お口の中の細菌を繁殖させる原因になります。
インプラント周囲炎がそうであるように、虫歯や歯周病が進行すると繁殖した細菌が食べカスなどを分解して、クサイ息を発生させるのです。
対策は、
→ 虫歯や歯周病の治療をする
→ 虫歯や歯周病予防をする(定期検診、自宅での歯磨き等)
→ 禁煙・節煙をする
→ ダラダラ食べや甘い飲食物を控える
が効果的でしょう。
2-2:舌苔(ぜったい)が溜まっている
口臭の約6割は、舌苔(下についた汚れや細菌)から発生していると言われています。
この舌苔は、
● 唾液が減る(口呼吸)
● ストレス
● 睡眠不足
● よく噛まないで食べる
● 喫煙
などが原因が増えるので注意をしましょう。
対策には、
→ 睡眠時に口閉じテープを貼る
→ よく噛んで食べる
→ こまめに水分を取る
→ 夜寝る前に舌ブラシで優しく磨く(週1程度)
→ 禁煙・節煙をする
などがあります。
2-3:生理的口臭
生理的口臭とは、
● 起床時
● 空腹時
● 緊張時
● 加齢(25歳以降)
● 生理・妊娠時のホルモンバランスのくずれ
など、生活の中で唾液量が減った影響で発生する口臭のことです。
唾液には自浄作用があるので、口の中を乾燥したままにすると口臭が悪化してしまいます。
対策は、
→ ガムを噛んで唾液量を増やす
→ 水分をこまめに取る
→ 就寝前の歯磨きをしっかりする
→ 禁煙・節煙をする
などが有効でしょう。
2-4:全身疾患による影響
口臭原因の約9割は”口腔内”にある言われていますが、中には全身疾患による影響でニオイが発生しているケースもあります。
具体的※には、
● 呼吸器系(肺がん、肺腫瘍)
● 消化器系(胃がん、食道気管)
● 耳鼻咽喉系(扁桃炎、咽頭膿瘍、咽頭がん)
● 咽頭、気管支、肺のカンジタ感染
● 糖尿病
● 肝硬変、肝臓癌がん
● トリメチルアミン尿症
などの影響があるでしょう。
対策は、
→ 原因疾患の治療
になります。
※出典:日本臨床歯周病学会 | 口臭について
2-5:自己臭症(じこしゅうしょう)による影響
自己臭症とは、実際には口臭が発生していないのに、自分は息がクサイと思い込んでしまう病気のことです。
近年では、
● 口臭や体臭の対策グッズ
● スメハラ
などを目にしたり耳にしたりする機会が多く、ニオイを意識する人が増えています。
過剰に気になると、余計なストレスを抱える原因になってしまうので注意をしたほうが良いでしょう。
対策は、
→ 歯医者で口臭の原因になる要素はないかを調べる
→ 医療機関で口臭と関係する疾患はないかを検査する
→ 口臭をセルフチェックする
になります。
では次に、口臭をセルフチェックする方法についてご紹介していきます。
3:口臭をセルフチェックする方法
口臭をセルフチェックする方法は、
☑ブレスチェッカー (口臭測定器)を利用する
☑コップや袋に息を吹き込んで臭いを確認する
の2つがオススメです。
それぞれの詳しいやり方をご説明していきますね。
3-1:ブレスチェッカー (口臭測定器)を利用する
市販の商品で、ブレスチェッカー(口臭測定器)が販売されています。
息を吹きかけるだけで手軽にニオイの強さがわかるので、気になる方にはオススメでしょう。
ただし、精度はまちまちです。
正確な結果を知りたい場合には、歯医者や口臭外来での検査を受けたほうが良いでしょう。
3-2:コップや袋に息を吹き込んでニオイを確認する
コップや袋に息を吹き込んでニオイを確認することで、口臭があるのかをチェックできます。
ただし、客観的な判断がないと、本当に口臭があるか否かを確認するのは難しいです。
そのため、こちらも正確な結果を知りたい場合には、歯医者や口臭外来の検査を利用するのがオススメでしょう。
4:インプラントと口臭の結論
では最後に、インプラントと口臭の重要なポイントをおさらいしていきます。
インプラント治療後に口臭が発生する主な原因は、
☑磨き残し
☑インプラント周囲炎
の2つでした。
それぞれ
☑歯医者の定期検診に行く
☑歯医者でクリーニングしてもらう
☑歯医者で歯磨き指導を受ける
☑自宅で丁寧に歯磨きをする
☑禁煙や節煙をする
をすることで、インプラント治療後の口臭対策ができます。
インプラント以外の口臭の原因は、
☑虫歯や歯周病
☑舌苔が溜まっている
☑生理的口臭
☑全身疾患による影響
☑自己臭症による影響
の5つです。
気になる場合には、
☑ブレスチェッカー (口臭測定器)を利用
☑コップや袋に息を吹き込んで臭いを確認
などの方法で口臭をセルフチェックしてみましょう。
ただし、正確な結果や口臭の原因を知りたい場合には、歯医者や口臭外来で検査を受けるのがオススメです。
以上、インプラント治療と口臭のお話でした。
口臭ケアグッズなどを使用しても、根本的な口臭解消には至らないケースが多いです。
お口のニオイが気になる場合には、ぜひ一度歯医者の検査を受けてみてくださいね