歯医者で「歯を抜く」と言われたら、正直かなりショックですよね。
なんとかして、歯を残せないのか?
歯を抜く以外の選択肢はないのか?
とお考えになる方も多いと思います。
そこで本記事では、総合歯科診療を行う北戸田COCO歯科・院長の田口が、以下内容を中心に歯を抜くと言われた方が知っておくと役立つ情報を紹介していきます。
①【歯を抜くと言われたら】確認すべき2つのポイント
②抜歯以外の選択肢がないときに知っておきたい抜歯後の治療法6選
③歯を抜くと言われたあとに絶対やってはいけないこと
ぜひ、歯を抜く前に本記事をご一読いただき、後悔のない治療の選択をしていただければと思います!
では、さっそく本文にうつっていきましょう^^
【執筆・監修者】田口 耕平
日本接着歯学会
日本口腔インプラント学会
日本補綴歯科学会・専門医
国際口腔インプラント学会・認定医
北戸田COCO歯科 院長
【経歴はこちら】
目次
1:【歯を抜くと言われたら】確認すべき2つのポイント
歯を抜くと言われたら、まずは以下2つのポイントを確認しましょう。
①抜歯以外の選択肢(根管治療・再生療法など)
②セカンドオピニオンの意見(抜歯の必要性)
なぜなら、すぐに抜歯をせずに上記2つのポイントをチェックすれば、歯を抜かずに残せる可能性があることを知ることができるからです。
では次に、それぞれ具体的にどんなポイントをチェックすれば良いのかについて、詳しくお話していきますね!
1-1:抜歯以外の選択肢(根管治療・再生療法など)
歯医者で歯を抜くと言われたら、抜歯の予約を取る前に「抜歯以外の選択肢」がないのかを担当医に聞いてみましょう。
というのも、虫歯や歯周病が進行して抜歯が必要になった場合でも、
- 根管治療(こんかんちりょう)
- 再生療法(さいせいりょうほう)
などを行えば、その歯を助けられる方向性が見つかるケースもあるからです。
根管治療とは虫歯が進行し、歯の神経まで虫歯菌による感染が広がった際に適応される治療法のことです。
再生療法とは歯周病が進行し、歯を支える骨が溶け歯肉が退縮してしまったときに、骨や歯肉を回復させる外科手術のことです。
ただし、上記2つの治療法などでどこまで歯を残せるかは、歯医者(歯科医師)によって大きく異なります。
なぜなら、歯医者(歯科医師)によって「得意な治療」「不得意な治療」があり、治療方針なども異なるからです。
そのため、担当医に確認した際に「どうしても抜歯をするしかない」と言われてもすぐに諦めないでください。
この後に紹介する”セカンドオピニオン”を利用すれば、本当に抜歯しか治療の選択肢がないのかを判断しやすくなります。
1-2:セカンドオピニオンの意見(抜歯の必要性)
担当医に「抜歯以外の選択肢がないか」質問しても、「抜歯するしかない!」と言われた場合には、セカンドオピニオンを利用してみましょう。
セカンドオピニオンとは、
- 現在診療を受けている担当医とは
- 別の歯医者の歯科医師に「第2の意見」を求める
ことです。
このセカンドオピニオンを利用することで、
- 現担当医の話で理解できない、納得できない部分がある
- 現担当医に抜歯と診断されたが、他の選択肢がないのか別の角度から聞きたい
などの場合に、新たな治療の方向性が見つかるケースがあります。
また、仮にセカンドオピニオンを利用しても、
残念ながら、この歯は担当医の方がおっしゃるとおり抜くしかありませんね。
と言われた場合には、この次に紹介する「抜歯後の治療法」への理解を深めておくことで、後悔のない治療の選択ができるようになります。
2:歯を抜くと言われたら知っておきたい抜歯後の治療法6選
どうしても歯を抜くしか選択肢がない場合には、抜歯前に「抜歯後の治療法」への理解を深めるのがおすすめになります。
なぜなら、一口に抜歯後の治療法といっても、
- 治療費
- 耐久性
- 審美性
- 使いやすさ
などは、それぞれ大きく異なるからです。
また、治療法によっては、抜歯前に治療の方向性を決めておくことで抜歯後すぐに歯を入れられるケースもあります。
さらに抜歯前に抜歯後の治療の方向性が決まっていれば、その治療に適した歯科医師の元で治療を受ける選択肢も増えるのです。
具体的には、患者さまのお口の状態やご希望にあわせて、
①ブリッジ
②入れ歯
③インプラント
④接着ブリッジ
⑤歯牙移植
⑥オールオン4・オールオン6
の6つの選択肢の中から、治療法を選んでいただくことが可能です。
歯医者によって、選べる治療法が異なります。※当院では、すべての治療法に対応しております。
では次に、それぞれの特徴や適用条件について、簡単に説明していきますね!
2-1:ブリッジ
ブリッジとは、歯を失った部位の両隣の歯を削り、固定式の連結した被せものをいれる治療法です。
- 保険適用で治療費を安く済ませたい
- 外科手術を受けたくない
- 治療期間を短くしたい
- 固定式の人工歯を希望している
方には、メリットの大きい治療である一方で、
- 隣接した歯を大きく削る必要がある
- 土台の歯に負担がかかり、歯が割れやすい
- 土台の歯の状態が悪いと、適応しにくい
- 寿命が短く再治療のリスクが高い
といったデメリットもあり、長期的コスパや耐久性を重視したい方には不向きの治療法になっています。
2-2:入れ歯
入れ歯(義歯)とは、歯を失った部位に取り外し式の人工歯を入れる治療法です。
- 保険適用で治療費を安く済ませたい
- 抜けた歯の本数が多い
- 外科手術を受けたくない
方には、メリットの大きい治療である一方で、
- 違和感が大きく慣れるまでに時間がかかる
- 硬いものを噛みにくい
- お口の変化に合わせて、都度調整が必要
- 保険適応のものは、特に見た目が良くない
- 部分入れ歯は、金具が他の歯への負担になる
- 入れ歯の範囲が大きいと、発音しにくくずれやすい
- 寿命が短く、長持ちしにくい
といったデメリットがあり、使用感・見た目・耐久性を重視したい方には不向きの治療法になっています。
2-3:インプラント
インプラントとは、歯を失った部位のあご骨に人工歯根を埋め込み、周囲の歯の力を借りない自立した固定式の人工歯を入れる治療法です。
そのため、
- 初期費用の安さより、見た目や使い心地を重視したい
- これ以上は歯を失いたくない
- 老後もしっかり噛んで食事を楽しみたい
- 再治療が少なく、長く持つ歯を入れたい(約10~15年以上)
など、長期的コスパを優先し、歯への投資価値を感じている方にメリットが大きい治療法です。
一方で、
- 保険適用外のため治療費がかかる
- 治療期間が数ヶ月かかる
- 外科手術が必要になる
- 定期メンテナンスの必要性が高くなる
- 歯科医師(歯医者)の違いで治療結果に大きな差が出る
といった5つのデメリットもあるため、使い心地や耐久性よりも
- 治療期間を短く
- 初期費用を安く
- 外科手術なし
を優先したい方には、不向きな治療法だといえます。
2-4:接着ブリッジ
接着ブリッジとは、従来のブリッジとは異なり、両隣の健康な歯の裏側を少し削って人工歯を接着させ、歯がない部分を補う治療法のことです。
従来のブリッジとは異なり、
- 健康な歯をほぼ削らずに済む
- 二次的な虫歯になりにくい
- 歯の神経を残せる
- 審美性が高い
といったメリットがあるため、治療期間が短く患者さまの負担が少なくなっています。
一方で、
- 従来のブリッジよりも外れやすい
- 誰でも選べる治療法ではない(適応条件が限られている)
- どこの歯医者でも受けられる治療法ではない
といった、治療できる歯医者(歯科医師)や適応条件が限られている点がデメリットです。
2-5:歯牙移植
歯牙移植とは、歯を失った部位に噛み合わせと関係ない歯(親知らずなど)を移植する治療法です。
他の治療法とは異なり、治療に自分の歯(天然歯)を使用するため、
- 歯根膜があり、人工歯よりも食感や温度を感じやすい
- 歯根膜があり、噛み合う歯のダメージを軽減できる
- 手術負担が少ない
- 歯牙移植した歯も矯正治療で動かせる
といったメリットがあり、歯を失う前と同じような感覚で移植した歯を使用できます。
一方で、
- 治療の難易度が高く、どこの歯医者でも受けられる治療ではない
- 一定条件を満たさないと、歯牙移植の治療は受けられない
- 人工歯ではないため、虫歯のリスクが残る
- 移植には健康な歯が必要なため、高齢者には不向きなケースが多い
といった治療できる歯医者(歯科医師)や適応条件が限られている点がデメリットです。
2-6:オールオン4・オールオン6
オールオン4・6とは、「歯をほとんどまたはすべて失ってしまった方」「総入れ歯に不満がある方」に選ばれているインプラントを4本~6本埋入する治療法のことです。
- 固定式のため、会話や食事への影響がほとんどない
- 入れ歯特有の痛みや違和感がない
- 天然歯に近い自然な見た目になる
- 顎骨が痩せにくくなる
- 手術後すぐに仮歯が入り、噛めるようになる
といった入れ歯にはないメリットがある一方で、
- 保険適用の総入れ歯よりも治療費が高い
- 外科手術が必要になる
- 総入れ歯より適用範囲が狭い
- 治療を行える歯科医師が限られている
- 治療後のメンテナンスを積極的に行う必要がある
といった治療できる歯医者(歯科医師)が限定されていたり、治療費が高くなってしまう点がデメリットになっています。
では次に、「歯を抜くと言われたあとに絶対やってはいけないこと」についてお話していきます。
3:歯を抜くと言われたあとに絶対やってはいけないこと
歯を抜くと言われたあとに絶対やってはいけないことは、「放置」です。
というのも、患者さまの中には、
抜歯が必要と言われたけど、嫌だからしばらく放っておいた
忙しくなってしまったので、とりあえず治療を中断している
という方が稀にいらっしゃいます。
しかし、抜歯が必要なほど虫歯や歯周病が進行している歯を放置してしまうと
- 痛みや腫れが悪化したり
- 健康な周囲の歯に感染が広がったり
してしまうケースがあるのです。
そのため、抜歯が必要だと担当医から言われた場合には、早めにここまでお話した
①抜歯以外の選択肢(根管治療・再生療法など)
②セカンドオピニオンの意見(抜歯の必要性)
③抜歯後の治療
の3つを確認して、適切な治療を受けていただければと思います。
たった1本の歯でも状態が悪いままにしたり、抜けたままにしておくと、お口全体に悪影響を及ぼします。
毎日お忙しいかとは思いますが、基本的に歯は死ぬまで使っていく大切な体のパーツです。
健康寿命を延ばすために、優先的に治療を進めていきましょう!
4:歯を抜くと言われた際の結論
それでは最後に、歯を抜くと言われた際に重要なポイントを簡単におさらいしていきます。
歯を抜くと言われたら、すぐに抜歯をせずに
①抜歯以外の選択肢(根管治療・再生療法など)
②セカンドオピニオンの意見(抜歯の必要性)
の2つを確認して、歯を残せる方向性がないのかを探してみましょう。
その上で、どうしても抜歯が必要だとわかった場合には、抜歯後の治療の選択肢である
①ブリッジ
②入れ歯
③インプラント
④接着ブリッジ
⑤歯牙移植
⑥オールオン4・オールオン6
の6つの治療法への理解を深め、放置せずに早めに適切な治療をうけてください!
上記の点を意識すれば、「歯を抜くと言われた」後でも、長期にわたり後悔がない治療の選択ができるようになります。
以上、今回は歯医者で「歯を抜くと言われた」際の対処法や確認ポイントを紹介しました。
歯医者と一口にいっても、それぞれ
- 歯科医師の経験・知識・得意な診療
- 設備
- 選択できる治療法
- 自費診療の治療費
- 自費診療で使われている材料
- 治療後の保証やアフターフォロー
などに大きな違いがあります。
治療を受ける歯医者によって、治療後の耐久性や使いやすさに大きな差が生まれるケースも多いです。
歯医者選びは、慎重に行いましょう!
当院では、「患者さまに幅広い選択肢の中から治療を選んでいただきたい」という想いから、それぞれの分野に精通した歯科医師とともに総合歯科診療を提供しております。
そのため、多角的な視点でご相談にのることが可能です。
お悩みの際は、ぜひお気軽にお問い合わせくださいね^^