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【インプラントの被せ物の選び方】費用や種類を一覧表で歯科医師が解説

公開日:

寿命・耐久性

【インプラントの被せ物の選び方】費用や種類を一覧表で歯科医師が解説

 

インプラントの値段を大きく左右する被せ物。

正直「良い材料をつかったほうが…」と提案されても、

● インプラント治療自体が高いし、少しでも安い材料にしたい
● そもそも、被せ物の違いなんて一般人にはわかんないよ!
● どうやって選べばいいかわからなくて困る


という患者さまも多いと思います。

そこで本記事では、大学病院で補綴科(被せ物の専門の科)とインプラント科の両方で勤務した経験を持つ歯科医師田口が、「インプラントの被せ物の選び方」について紹介していきます。


→被せ物の相場や種類が知りたい方
→自分に適した被せ物を選びたい方
→被せ物を選ぶ際の注意点を知りたい方
→長期視点でコスパが良い材料を知りたい方

は、ぜひ参考にしてください。

 

 

【執筆・監修者】田口 耕平
北戸田COCO歯科 院長
【経歴はこちら】

 

 

1:そもそも、インプラントの被せ物(上部構造)とは?

 

そもそも、インプラントの被せ物(上部構造)とは?

 

インプラントの被せ物とは、目視で確認できる歯の部分です。

上部構造と呼ばれることもあり、人から見える部分なので、天然歯(自分の歯)と並んだときに違和感のない仕上がりになるのを希望される方が多くなります。

歯科医師目線では、審美面以外にも

しっかり噛めること
周囲の歯との調和がとれること
長期に渡って、機能面や見た目を損なわずに使えること


を意識して、患者さまに被せ物を提案することが多いです

では次に、実際に患者さまが選べる代表的なインプラントの被せ物の種類や費用について紹介していきます。

 

2:【インプラントの被せ物】種類・費用の一覧表

 

【インプラントの被せ物】種類・費用の一覧表

 

代表的なインプラントの被せ物は、以下の6つです。

【インプラントの被せ物の種類・費用の一覧表】

  イメージ 費用(相場)
ジルコニア ジルコニア 約10~20万円
オールセラミック オールセラミック 約7~15万円
ハイブリッドセラミック ハイブリッドセラミック 約5~10万円
メタルボンド メタルボンド 約7~15万円
ゴールド ゴールド 約7~12万円
オーバーデンチャー オーバーデンチャー 約16~24万円

※上記の費用はあくまでも目安です。自費診療のため、材料費は歯科医院によって大きく異なります。

では次に、それぞれの素材のメリット・デメリットを紹介していきます。

 

2-1:ジルコニア

ジルコニアのメリットは、

● 人工ダイヤモンドと評される美しい仕上がり
● 金属に匹敵するほどの強度を誇る
● ほとんど変色・着色しない


の3つです。

非常に耐久性が高いため、歯ぎしりや食いしばりなどで負荷がかかりやすい奥歯にも使用できます。

ただし、高品質な素材のため、

→ 他の人工歯に比べると材料費が高くなる
→ 過度な歯ぎしりをしている場合は、かみ合わせる歯がすり減る可能性がある


といったデメリットがあります。

 

2-2:オールセラミック

オールセラミックのメリットは、

● 天然歯のような色調を再現できる
● ほとんど変色・着色しない


の2つです。

非常に審美性に優れた素材で、前歯に入れても天然歯(自分の歯)との違いがほとんどありません。

ただし、ジルコニア比べると、衝撃に弱く割れやすいといった点がデメリットになります。

かみ合わせの負荷を考えて、入れる部位をよく検討したほうが良いでしょう。

 

2-3:ハイブリッドセラミック

ハイブリッドセラミックのメリットは、ジルコニアやオールセラミックより
 

● 安価に白い歯を入れられる
● 強度が高すぎないので、かみ合う歯にダメージを与えない


の2点です。

ただし、材料にプラスチックが混在しているので、ジルコニアやオールセラミックに比べると、

→ 他の人工歯に比べると材料費が高くなる
→ 透明感や輝きが劣る
→ 耐久性が劣るため、すり減りやすい


といったデメリットがあります。

 

2-4:メタルボンド

メタルボンドのメリットは、

● 内側が金属なので、接着がしやすい
● 仮に割れても、金属のフレームが無事なら修理しやすい


の2点です。

ただし、硬さという点で考えると、オールセラミックが進化したので強度でメタルボンドを選ぶ理由が減りました。

むしろ、オールセラミックとほとんど費用面で差がないにも関わらず、

→ 審美性が劣る
→ 経年劣化で内側の金属が溶けて歯茎が黒ずむ可能性がある
→ 金属アレルギーの方は入れられない可能性がある


などのデメリットがあります。

そのため、オールセラミックとメタルボンドで比較する場合には、オールセラミックに軍配が上がるケースが多いでしょう。

 

2-5:ゴールド

ゴールドのメリットは、他の材料に比べて、

● 長持ちする
● 適合性が高い
● 適度な強度と柔らかさがあるので、他の歯に負荷を与えない


の3点です。

つまり、被せ物の材料の中では、最も機能面が優れています。

ただし、歯の色が金色になるので、前歯などの目立つ部分には使用しにくいのが最大のデメリットです。

 

2-6:オーバーデンチャー

オーバーデンチャーのメリットは、歯が全くない人でも安定性の高い入れ歯を入れられる点です。

アゴ骨に埋めたインプラントと連結させるので、一般的な入れ歯のように

● 食事や会話の途中でズレたり
● 歯茎に入れ歯が当たって痛い


といった心配が少なくなります。

ただし、通常の保険診療の入れ歯に比べると、インプラントを数本歯茎に埋め込む必要があるので、

→ 手術の負担がある
→ 治療費が高額になる


といったデメリットがあります。

では次に、部位・タイプ別にインプラントの被せものを選ぶ方法を紹介していきます。

 

3:【部位・タイプ別】インプラントの被せ物の選び方

 

【部位・タイプ別】インプラントの被せ物の選び方

 

インプラントの被せ物は、

 

部位:どこに入れるか
タイプ:どんな形のものを入れるか


によって選び方が大きく異なります。

具体的には、

● 前歯に入れる
● 奥歯に入れる
● 歯がほとんどない


場合によって、適した被せ物が変わるでしょう。

どういうことか、この次に一つひとつ解説していきますね。

 

3-1:前歯におすすめの被せ物

前歯部のインプラントにおすすめの被せ物は、以下の3つです。

1.オールセラミック

最も天然歯(自分の歯)に近い、自然な仕上がりになる

2.ジルコニア

最も耐久性が高く、見た目も美しい

3.ハイブリッドセラミック

最も費用を抑えて、白い歯を入れることができる

前歯は目立つ位置なので、審美性に優れた材料を使うのがおすすめです

ただし、ハイブリッドセラミックは材料費が安い代わりに、他の材料に比べて経年劣化しやすいといったデメリットがあります。

前歯の被せ物を選ぶ際は、材料費と素材の機能面や耐久性にも目を向けて選ぶのがおすすめでしょう。

 

3-2:奥歯におすすめの被せ物

奥歯のインプラントにおすすめの被せ物は、以下のとおりです。

▼見た目重視の場合

1.オールセラミック
2.ジルコニア
3.ハイブリッドセラミック

▼かみ合わせが強い場合
1.オールセラミック
2.ジルコニア
3.メタルボンド
4.ゴールド

奥歯は前歯に比べて、かみ合わせの負荷がかかりやすいです。

そのため、かみ合わせの状態や審美面をどこまで気にするかで選び方が大きく異なります。

前歯よりも個人のお口の状態によって選び方が左右されやすい部位なので、担当医とよく相談をして被せ物を決めたほうが良いでしょう。

 

3-3:歯がほとんどない方におすすめの被せ物

歯がない方におすすめの被せ物は、オーバーデンチャー(入れ歯)です。

ただし、見た目が気になる方は、入れ歯ではなく「オールオン4」や「オールオン6」と呼ばれるインプラントと固定された歯肉付きのブリッジを入れる選択肢もあります。

オーバーデンチャーと一口に言ってもいくつか種類があるので、こちらも担当医とよく相談をしたほうが良いでしょう。

▼あわせて読みたい
オールオン4・6のメリット・デメリット!よくある質問に歯科医師が回答

では次に、インプラントの被せ物を選ぶ際の注意点についてお話していきます。

 

4:インプラントの被せ物を選ぶ際の2つの注意点

 

インプラントの被せ物を選ぶ際の注意点


インプラントの被せ物を選ぶ際の注意点は、大きく分けて

 

総額で考える
長期的なコスパを考えて選ぶ


の2つです。

どういうことか、詳しく説明しますね!

 

4-1:総額で考える

インプラント治療を受ける歯医者を探す場合は、必ず被せ物の料金ではなく総額で比較検討しましょう。

というのも、インプラントの治療費は被せ物(上部構造)だけではく

● 検査・診断料
● 手術費
● その他オプション料金


といった要素も込みで決まるからです。

一見、被せ物が安い歯医者でも総額でみると高くなっているケースはよくあります。

治療費について質問する際は、「結局総額でいくらかかるんですか?」と尋ねるようにしてくださいね!

 

4-2:長期的なコスパを考えて選ぶ

インプラントの被せ物を選ぶ際は、長期的なコスパを考えて選ぶのがおすすめです。

なぜなら、安い被せ物を選んでしまうと、

● 経年劣化で見た目の美しさが損なわれたり
● 耐久性が悪くて作り直しになったり


するケースが多いからです。

特に、何度も作り直しが必要になってしまうと、結果的に生涯でのトータル治療費が増えてしまいます。

お口の中の状況によっても、選び方は大きく異なりますが、「良いものを大切に長く使っていく」視点で選んでいただくと良いでしょう。

 

5:インプラントの被せ物と選び方の結論

 

それでは最後に、インプラントの被せ物の選び方の重要なポイントだけを簡単におさらいしていきます。

 

まとめ

インプラントの被せ物とは、目視で確認できる歯の部分です。

被せ物の代表的な種類は、

1.ジルコニア
2.オールセラミック
3.ハイブリッドセラミック
4.メタルボンド
5.ゴールド
6.オーバーデンチャー

の6つ。

前歯部の場合は、目立つので色が白く自然な材料がおすすめです。

ただし、奥歯の場合はかみ合わせの影響を考えて、耐久性や機能面にも目を向けて選ぶ必要があるでしょう。

歯がない方は、インプラントと連結できるオーバーデンチャーがおすすめです。

また、被せ物を選ぶ際は
総額で考える
長期的なコスパを考える

の2点に注意をしたほうが良いでしょう!


以上、今回は「インプラントの被せ物の選び方」についてお話しました。

お口の中の状況によっても、それぞれ適した被せ物が変わります。

お悩みの際には、専門的な視点でアドバイスいたしますのでぜひご相談くださいね

 

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執筆協力:森崎ことり(ライター)