「せっかく高いお金をかけてインプラントを入れるのに、再治療になったらどうしよう」
インプラント治療前に、そんな不安な気持ちになることがありますよね。
そこで今回は、日本口腔インプラント学会所属の歯科医師田口が「インプラントの再治療」について詳しく解説していきます。
具体的には、
● インプラントが再治療になる確率
● 再治療が必要になる症状
● 上記の症状が出る原因
● 再治療を予防する方法
● 再治療の費用の有無
の5つのポイントに絞って、要点だけを簡単に紹介していきます。
本記事を読めば、不安な気持ちを抱えずにインプラント治療をスタートさせられるようになりますよ!
まずは、ご一読くださいね。
【執筆・監修者】田口 耕平
北戸田COCO歯科 院長
【経歴はこちら】
1:【インプラントが再治療になる確率】実は長持ちする?
インプラントが再治療になる確率については、公的なデータがありません。
しかし、厚生労働省からはインプラントは10~15年たっても、約9割が状態を保持しているというデータ※1が出ています。
また、国土交通省に寄せられたインプラントの身体症状への相談も、2013年~2018年の間の5年間で211件(年間約42件)※2のみ。
相対的に、再治療になる確率はあまり高くないと判断できます。
そのため、過度にインプラントの再治療に対して不安な気持ちを抱く必要はないでしょう。
では仮に、その少数の再治療が必要な人になってしまった場合は、どのような症状が出るのでしょうか?
※1:出典:厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」歯科インプラント治療のための Q&A
※2:出典:あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか-国民生活センター
2:インプラントの再治療が必要になる症状とは?
インプラントの再治療が必要になる代表的な症状は
☑ 外れる
☑ ぐらつく
☑ 破損する
☑ 痛みや腫れが出る
☑ しびれが続く
などがあります。
ただし、上部構造だけが割れたり欠けたりするのは、大きな問題にはなりません。
歯茎に埋め込んだインプラント体に問題がなければ、すぐに修復できる可能性が高いからです。
問題なのは、痛み・腫れ・しびれなどの症状が続いたり、インプラントそのものがぐらついてしまう場合です。
このケースでは、再治療が困難になる場合も多く、注意が必要になります。
では次に、何が原因でこのような症状が出てしまうかについて説明していきます。
3:インプラントが再治療になる5つの原因
インプラントが再治療になる原因は大きく分けて、
☑ 手術前の歯周病治療ができていなかった
☑ 術者のスキルや経験不足
☑ 手術後のメンテナンス不足や喫煙
☑ 過度な歯ぎしりや食いしばりによる影響
☑ 転倒や事故による影響
の5つがあります。
どういうことか、一つ一つ詳しくお話ししていきますね。
3-1:手術前の歯周病治療ができていなかった
1つ目の原因が「手術前の歯周病治療ができていなかった」ことによるものです。
歯周病治療ができていない状態で、インプラントをアゴ骨に埋め込んでしまうと、歯周病菌によって
● アゴ骨が溶けて
● 支えがなくなり
インプラントがぐらついてしまいます。
最悪の場合、脱離して(外れて)しまうケースもあるのです。
3-2:術者のスキルや経験不足
2つ目の原因が、「術者のスキルや経験不足」によるものです。
インプラントは通常の歯科治療に比べて専門性が高く、 歯科医師であっても、すべての人が治療に精通しているわけではありません。
そのため、インプラント治療へのスキルや経験が不足している歯科医師が治療をしてしまうと、
● 長持ちしにくい
● 再治療が必要になる
ケースがあるのです。
3-3:手術後のメンテナンス不足や喫煙
3つ目の原因が、「手術後のメンテナンス不足や喫煙」によるものです。
インプラントを長持ちさせるためには、手術後に適切に管理をする必要があります。
特にインプラント治療後の喫煙は、
● インプラント周囲炎※のリスクが上がる
● インプラントが骨に定着しにくくなる
● 手術後の傷の治りが悪くなる
といった問題を引き起こすため、患者さまご自身も注意しなければなりません。
※インプラント周囲炎とは…歯周病のような病気。重症化すると、インプラントを支えるアゴ骨が溶けてしまう。
3-4:過度な歯ぎしりや食いしばりによる影響
4つ目の原因が、「過度な歯ぎしりや食いしばりによる影響」です。
通常の歯ぎしりや食いしばり程度であれば、インプラントが再治療になることはありません。
しかし、天然歯(自分の歯)も
● 欠けたり
● 割れたり
するような病的な歯ぎしりや食いしばりをしている場合には、インプラントにも問題が起きてしまうケースがあります。
3-5:転倒や事故の影響
5つ目の原因が、「転倒や事故の影響」です。
日常生活で軽い衝撃が加わった程度では、ほとんどのケースで再治療になることはありません。
しかしこちらも、天然歯(自分の歯)も 欠けたり割れたりするような強い衝撃がかかってしまった場合には、インプラントの再治療が必要になるケースがあります。
では次に、インプラントの再治療を予防する方法を紹介していきます。
3:インプラントの再治療を予防する3つの方法
インプラントが再治療になるのを予防する方法は大きく分けて、
☑ 歯医者や担当医選びを徹底する
☑ 定期検診にコツコツと通う
☑ 禁煙やナイトガードなどを実践する
の3つがあります。
それぞれの方法について、詳しく解説していきますね。
3-1:歯医者や担当医選びを徹底する
インプラントの再治療を予防するには、 そもそもインプラントを入れる際に「歯医者や担当選びを徹底する」のが重要なポイントになります。
なぜなら、インプラントは専門的な治療なため、歯科医師のレベルの差が大きいからです。
とはいえ、どうやって歯医者や担当医を選べば良いのかわからない方がほとんどですよね?
そんな方のために、歯医者や担当医の選び方を以下の記事で詳しく解説しました。
ぜひ、参考にしてみてください。
3-2:定期検診にコツコツと通う
次に重要な予防法が、「定期検診にコツコツと通うこと」です。
定期検診にこまめに通っておくことで、状態が悪化する前に対処することができ、再治療になる確率を大幅に減らせます。
正直なところ、メンテナンスが「めんどくさい」「大変だ」と感じている方は、ぜひ以下の記事を読んでみてください。
メンテナンスに行くたくさんのメリットが分かるので、 定期検診へのモチベーションもアップするはずですよ!
3-3:禁煙やナイトガードなどを実践する
3つ目の予防法が「禁煙やナイトガードを実践する」ことです。
とはいっても、自分の力だけで禁煙や節煙をするのは難しいですよね。
そういった場合には、禁煙外来などを利用して専門家の力を借りてみましょう。
インプラントが再治療になる確率を大幅に減らせますよ!
また、過度な歯ぎしりや食いしばりがあるときは、就寝時にナイトガードをつけるのがオススメです。
無意識に行ってしまう歯ぎしりや食いしばりによるダメージを軽減できます。
4:インプラントの再治療時に費用はかかる?
仮にインプラントの再治療が必要になった場合、費用がかかるか否かは「保証の有無や内容」で異なります。
というのも、インプラント治療は、各医院やインプラントメーカーが独自の保証書を用意しているケースが多いからです。
保証期間は一般的に、5年~10年のものが多くなります。
保証の適用条件には、治療後の定期的なメンテナンスに通うことが含まれているものが多いです。
治療を受けた歯医者によって、保証内容や保証期間は大きく異なります。
詳しくは、担当医によく確認するようにしましょう。
5:インプラントの再治療の結論
では、最後にインプラントの再治療の重要なポイントをおさらいしていきます。
インプラントは、10~15年たっても約9割が状態を保持しています。
つまり、再治療になる確率はそう高くはないと考えて良いでしょう。
仮にインプラントの再治療が必要になった場合の代表的な症状は、
☑外れる
☑ぐらつく
☑破損する
☑痛みや腫れが出る
☑痺れが続く
の5つです。
上記のような症状が出る原因には、
☑手術前の歯周病治療ができていなかった
☑術者のスキルや経験不足
☑手術後のメンテナンス不足や喫煙
☑過度な歯ぎしりや食いしばりによる影響
☑転倒や事故による影響
の5つが関係している可能性が高くなります。
再治療になるのを予防するためには、
☑歯医者や担当医選びを徹底する
☑定期検診にコツコツと通う
☑禁煙やナイトガードなどを実践する
の3つの方法を実践するのがオススメです。
再治療時の費用は、保証書の有無や内容によって大きく異なるので担当医によく確認しましょう!
以上、今回はインプラントの再治療についてお話ししました。
通常インプラントは、今回はお伝えしたような予防法を実践していれば、再治療になる確率はそう高くありません。
まずは、 より長くインプラントが使えるように、インプラント治療を積極的に行っている担当医・歯医者の元でカウンセリングを受けてみてくださいね