● インプラント治療後の引っ越しはどうなる?
● 引っ越し前に担当医に確認することはある?
● 引っ越し先で注意するポイントは?
など、インプラント治療後に引っ越しが決まった場合、「どうすればいいんだろう?」と迷うことがありますよね。
そこで本記事では、日本口腔インプラント学会所属の歯科医師田口が「インプラント治療後の引っ越し」について詳しく解説していきます。
予期せぬ転勤やライフイベントの変化で、急遽引っ越しすることになった方。
本記事を最大限に活用して、新生活をスタートさせてくださいね!
【執筆・監修者】田口 耕平
北戸田COCO歯科 院長
【経歴はこちら】
1:インプラント治療後に引っ越しする場合の対応や注意点
インプラント治療後に引っ越しが決まった場合は、大きく分けて
☑ 頑張れば通える距離に引っ越したケース
☑ 通えない距離に引っ越したケース
で対応が変わります。
それぞれどういうことか、注意点をふまえて詳しく説明していきますね。
1-1:頑張れば通える距離に引っ越したケース
歯医者まで30分~1時間圏内など、頑張れば通える距離に引っ越した場合は、そのままインプラントを入れた歯医者に通うのが理想的です。
なぜなら、 かかりつけ医であれば、
● 保証期間内は再治療が無償になる可能性が高い
● 口腔内の状況に適したメンテナンスを受けられる
● 急なトラブルが起きた場合も対応が早い
などのメリットがあるからです。
というのも、使用しているインプラントの種類は歯医者によって異なります。
転居先の歯医者では、同じ種類のインプラントを使っていないケースも多いのです。
その場合は問題が発見されたときに、適切な処置を受けられない可能性があります。
また、 インプラントは歯科治療の中でも、専門性が問われる診療科目です。
どこの歯医者にも、インプラントに精通した歯科医師がいるわけではありません。
そういった意味合いから、頑張れば通える距離に引っ越したケースでは、かかりつけ医に再通院するのがオススメになります。
1-2:通えない距離に引っ越したケース
簡単には通えない距離に引っ越したケースでは、 引っ越し前後の対策をしっかり行う必要があります。
なぜなら、先述した通り、使用しているインプラントの種類が歯医者によって異なるからです。
例えば、同じメーカーのインプラントであっても、
● 埋入日
● 部位
● 装着日
● メーカー
● 直径や長さ
● インプラント名
● ロット番号
● ドライバー
などの情報がそれぞれ異なります。
上記の情報を転居先の歯医者がわかっていないと、メンテナンスや処置を適切に行えない可能性が高くなってしまうのです。
では次に、インプラント治療後に引っ越しが決まったらどうすればいいのかといった具体的なポイントを4つ紹介していきます。
2:インプラント治療後の引っ越しで重要な4つのポイント
インプラントの治療後の引っ越しで重要なのが
☑ 担当医に紹介状を用意してもらう
☑ 引っ越し先で保証制度を利用できるか事前確認
☑ 担当医に歯医者の選び方を聞く
☑ 引っ越し先でも必ずメンテナンスに通う
の4つのポイントです。
どういうことか、一つひとつ詳しく解説していきます。
2-1:担当医に紹介状を用意してもらう
インプラント治療後に引っ越しが決まった際は、まず引っ越し前に担当医に紹介状を用意してもらいましょう。
紹介状には、転居先でメンテナンスや処置をスムーズに受けられるようにする情報が記載されています。
さらに、インプラントカードと呼ばれるような、治療に使ったインプラントの情報が詳しく記載されている紙をもらっておくのもオススメでしょう。
患者さまご自身で治療内容を把握できるので、転居先でも新たなかかりつけ医とコミュニケーションを取りやすくなります。
▶インプラントカード
※出典:公益社団法人日本口腔インプラント学会配布
ちなみに紹介状の費用は、3割負担だと1,000円前後かかるケースが多いです。
2-2:引っ越し先で保証制度を利用できるか事前確認
次に重要なのが、担当医に引っ越し先でも保証制度を利用できるかを事前確認することです。
インプラント保証は、インプラントを入れた歯医者以外で治療を受けた場合に保険の対象から外れるケースが多くなります。
さらに、治療を受けた歯医者へ定期検診に通うことが、保証適用の条件になっている場合も多いため事前確認が必須になるのです。
詳しい保証内容は、インプラントを入れた歯医者によっても大きく異なります。
転居後に「保証が使えないことに気づいて焦る」という事態に陥らないためにも、転居前に担当医によく確認をしておくようにしましょう。
2-3:引っ越し先での歯医者の選び方を聞く
3つ目に重要なのが、担当医に引っ越し先での歯医者の選び方を聞いておくことです。
先ほどご説明した通り、 インプラントは歯科治療の中でも専門性の高い治療になっています。
歯医者であればどこでも、インプラント治療に対応しているわけではないのです。
もし転居先の歯医者の中で、 担当医のオススメや紹介があればそちらに通ってみるのもいいかもしれません。
具体的なアドバイスをもらえなかった場合には、ぜひ以下の記事を参考にしてください。
2-4:引っ越し先でも必ずメンテナンスに通う
最後に重要なポイントは、引っ越し先でも必ずメンテナンスに通うことです。
インプラントを長持ちさせるためには、入れた後の管理が重要になります。
もちろん、それは転居先でも変わりません。
インプラントのメンテナンスを適切な間隔で受けるだけで、
● インプラントを長持ちさせられる
● インプラント以外の歯の寿命も伸ばせる
など、 あなたのお口の健康を末永く維持できるようになります。
慣れていない歯医者に行くのは、緊張するかもしれません。
しかし、これ以上歯を失わないようにするためにも、メンテナンスに行く習慣は頑張って続けるようにしてくださいね!
3:インプラントの治療途中で引っ越しになった場合は?
インプラントの治療途中で引っ越しになった場合の対応は、治療がどの段階まで進んでいるかで大きく異なります。
ただし基本的には、どの治療段階であっても先ほどご説明した4つのポイントが重要になってきます。
ただし、総額を支払っている場合には「いくら返金になるのか」も追加で話し合うことになるでしょう。
4:インプラント治療後の引っ越しの結論
それでは最後に、インプラント治療後の引っ越しの重要なポイントを簡単におさらいしていきます。
インプラント治療後の引っ越しの対応は、
☑通える距離であれば頑張って通う
☑通えない距離の場合は、以下の4つのポイントを実践する
のがおすすめです。
具体的には、
☑担当に紹介状を用意してもらう
☑引っ越し先で保証制度を利用できるか事前確認
☑処担当医に引っ越し先での歯医者の選び方を聞く
☑引っ越し先でも必ずメンテナンスに通う
を意識すると、転居先でも治療の引き継ぎがスムーズに行えます。
仮に治療途中で引っ越しが決まった場合も、上記の4つのポイントを意識するのが大切です。
ただしすでに総額を支払っている場合は、治療費の返金など担当医と話し合うポイントが増えるので注意してください。
以上、今回は「引っ越しとインプラント治療」についてお話ししました。
インプラント治療をした後に引っ越しするのは、不安が大きいかもしれません。
でもまずは、インプラントを入れたかかりつけ医でどうすればいいのかを相談してみてください。
担当医が転居先での歯医者の探し方や対応などを、一緒に考えてくれるはずですよ