インプラント手術について調べていると、
- 1回法
- 2回法
という言葉を目にすることがありますよね?
とはいえ、一般の方からすると、
1回法って何?2回法と何が違うの?
2回法だと、なんで2回も手術しなきゃいけないの?
などの疑問が、頭の中をよぎることがあると思います。
そこで本記事では、日本口腔インプラント学会所属の歯科医師・田口が「インプラント手術の1回法と2回法の違い」を徹底解説してみました。
「自分が受けるインプラント手術について、事前にちゃんと知っておきたい」という方は、ぜひ参考にしてくださいね!
【執筆・監修者】田口 耕平
日本接着歯学会
日本口腔インプラント学会
日本補綴歯科学会・専門医
国際口腔インプラント学会・認定医
日本糖尿病協会登録歯科医
北戸田COCO歯科 院長
【詳しい経歴はこちら】
1:インプラント手術!1回法と2回法の違い
インプラント手術における1回法と2回法の違いは、以下のとおりです。
・1回法:手術が1回
・2回法:手術が2回
とはいえ、上記の説明だけだと
そんなの分かってるよ。
もっと具体的な違いを教えてほしいの!
と言われても、おかしくないですよね。
そういった方のために、まずは1回法と2回法のメリット・デメリットを詳しく紹介していきますね!
1-1:1回法手術のメリット・デメリット
1回法手術のメリット・デメリットは、以下のとおりになります。
・手術が1回で済むので、患者さまの身体的負担が少ない
・手術が1回で済むので、通院回数が少なく治療期間も短くなる
・単純構造なので、2回法に比べて治療費が安くなる
・下部構造が一体型になるので、耐久性が高くなる
・アゴ骨や歯ぐきが少ないと、1回法手術を選択できないケースがある
・骨移植やアゴ骨を再生する手術が必要だと、感染リスクが上がる
1-2:2回法手術のメリット・デメリット
一方で、2回法手術のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
・アゴ骨や歯ぐきが少ない場合でも、手術が可能で適応範囲が広い
・歯ぐきを閉じてインプラントの定着を待つため、感染リスクが低い
・2回手術をするので、患者さまの身体的負担が大きい
・1回法に比べて、治療費が高い
・1回法に比べて、通院回数が多く治療期間も長くなる
なんとなく1回法と2回法の違いは分かったけど、結局どっちを選んだほうがいいの?
その答えは、この後に解説していきますね!
1-3:Q.1回法と2回法どちらでインプラント手術を受けたほうがいい?
A.アゴ骨や歯ぐきが十分にあり、1回法が可能だと判断された場合には1回法を検討してみるのがおすすめです。
なぜなら、1回法は2回法より
- 手術の身体的負担の少なさ
- 通院回数の少なさ
- 治療期間の短さ
- 治療費の安さ
など、様々な点でメリットが大きい治療法だからです。
ただし、どの手術法が選択できるかは、担当医の判断によって異なります。
気になる場合には、一度インプラント専門の歯医者で検査・診断を受けてみましょう!
では次に、1回法と2回法の治療期間や手術の流れを簡単に比較していきますね!
2:1回法と2回法の治療期間やインプラント手術の流れを比較
1回法と2回法では、治療期間や通院回数に以下のような違いがあります。
▼1回法と2回法の通院回数や治療期間の比較
1回法 |
2回法 |
|
通院回数 |
約5回~6回 |
約9回~10回 |
治療期間 |
約2ヶ月~4ヶ月 |
約4ヶ月~5ヶ月 |
手術の流れにどんな違いがあるかは、この次にそれぞれ詳しく紹介していきます!
2-1:1回法の手術の流れ
1回法の手術の流れは、以下のとおりです。
インプラント体(下部構造)と同じ長さや太さに合わせて、ドリルでアゴ骨を削ります。
アバットメントと呼ばれる下部構造を、歯ぐきから露出させた状態で取り付けます。
歯ぐきから露出したアバットメントに仮歯をつけて、アゴ骨とインプラント体(下部構造)が結合するのを約1.5ヶ月~3ヶ月待ちます。
アゴ骨とインプラント体(下部構造)が結合したのを確認したら、最終的な人工歯(目視で確認できる歯の部分)を被せて治療終了です。
2-2:2回法の手術の流れ
一方で2回法の手術の流れは、以下のとおりになります。
インプラント体(下部構造)と同じ長さや太さに合わせて、ドリルでアゴ骨を削ります。
1回法とは異なり、アバットメントと呼ばれる下部構造も含めて歯ぐきの中に埋め込んで、露出しない状態で縫合します。
個人差はありますが、約4ヶ月~5ヶ月ほどは歯ぐきの中に下部構造を埋め込んだ状態でアゴ骨と結合するのを待ちます。(骨が少ない場合は、さらに約3ヶ月~9ヶ月待つ)
インプラントとアゴ骨が定着したら、再度歯ぐきを切開して土台となる役割のアバットメントをつけていきます。
2回目の手術後、状態が落ち着いたら型取りをして被せ物を作製していきます。最終的な人工歯(目視で確認できる歯の部分)を被せて治療終了です。
結局、1回法と2回法の手術の流れはどのあたりが違うの?
特に大きく異なるポイントは、以下にまとめてみたので参考にしてみてくださいね。
インプラント体を埋め込む1回目の手術後に、
・1回法は、下部構造を露出させた状態で歯ぐきを縫合する
・2回法は、下部構造を露出させない状態で歯ぐきを縫合する
のが大きな違いになります。
上記を読んでもよくわからない場合には、担当医に確認してみましょう!
3:結論:インプラント手術の1回法と2回法の違い
では最後に、インプラント手術の1回法と2回法の違いについて重要なポイントだけを簡単におさらいしていきます。
1回法は手術が1回のみで済むため、
・手術の身体的負担の少なさ
・通院回数の少なさ
・治療期間の短さ
・治療費の安さ
などで2回法よりメリットが大きい治療法です。
ただし、アゴ骨や歯ぐきが少ない場合には感染リスクが上がるなどの問題があり、選択できないケースがあります。
そういった場合には、適応範囲が広く感染リスクが低い2回法になるケースが多いでしょう。
基本的には、患者さまのお口の状態によってどちらの手術法が選べるか変わってきます。
気になる場合は、一度インプラント専門の歯医者で検査・診断を受けてみましょう!
以上、今回は1回法と2回法の違いについてご説明しました。
本記事を読んでみてご不明点がある場合には、直接お答えすることも可能です。
遠慮なくお問い合わせくださいね^^