「30代でインプラント治療をするのは、早すぎますか?」
こんな質問を患者さまからいただくことがあります。
結論からお伝えすると、インプラントについてよく理解した上で治療を選択していただくのであれば、”早すぎる”ということはありません。
とはいえ、
● インプラントがどんなものかわからない
● 治療費の高さが気になる
● リスクがあったら知りたい
● 老後まで使えるか不安
という方も多いと思います。
そこで本記事では、日本口腔インプラント学会所属の歯科医師である田口が「30代のインプラント治療」について詳しくお話していきます。
インプラント治療への理解が深まるキッカケになると思いますので、まずはご一読ください!
【執筆・監修者】田口 耕平
北戸田COCO歯科 院長
【経歴はこちら】
1:Q.30代でインプラント治療をするリスクはある?
A.30代という年齢による特別なリスクはありません。
全世代共通の主なリスクは、
☑ 外科手術による痛み・腫れ・出血の可能性
☑ 治療前後のお手入れ不足による感染症の発症
の2つです。
もちろん外科手術がある以上、リスクをゼロにはできません。
しかし、対処法が用意されているので過度に心配する必要はないでしょう。
実際に約9割のインプラントは、術後10年~15年以上は残っているというデータ※も公表されています。
※出典:厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」
1-1:Q.リスクは分かったけど、デメリットはあるの?
A.すべての治療法が万能ではないように、インプラント治療にもデメリットがあります。
具体的には、
● 他の治療法に比べて治療期間が長い
● 保険適用外なので、治療費が高額になる
● 外科手術が必要になる
● 治療後はメンテンスの必要性が高い
などがあげられます。
ただし、それでもインプラント治療が選択する人がいるのは、デメリットを補うメリットがあるからです。
では、一体どんな30代の方であればインプラント治療がオススメできるのでしょうか?
2:30代でインプラント治療がオススメな方の特徴
インプラント治療がオススメな30代の方の特徴は、全部で6つあります。
☑ 歯科予防やメンテナンスに積極的な方
☑ 非喫煙者
☑ 長期的なコスパを考えて歯を入れたい方
☑ お口全体の健康を守りたい方
☑ 見た目の美しさを優先したい方
☑ 違和感なく食事やお話がしたい方
どういうことか、一つひとつご説明していきますね!
2-1:歯科予防やメンテナンスに積極的な方
インプラント治療のリスクでもお伝えしたとおり、インプラントはお口の中が不衛生な状態だと感染症を発症しやすいです。
そのため、治療後には
● 毎日のお手入れ
● 定期的な歯科医院でのメンテナンス
の2つを実践し、お口の中を清潔に保っていく必要があります。
そういった意味で、歯科予防やメンテナンスに意欲的に取り組める方は、インプラント治療への適性が高くオススメできるといえるでしょう。
2-2:非喫煙者
インプラント治療と喫煙は、非常に相性が悪いです。
具体的には、インプラント治療をする患者さまが手術前後にタバコを吸ってしまうと、
● 傷の治りを悪くなる
● インプラントとあご骨の定着を阻害する
● インプラント周囲炎※1を発症しやすくなる
● 感染症リスクが上がる
といったトラブルが発生しやすくなります。
そのため、喫煙者よりも非喫煙者のほうが、インプラント治療をオススメしやすくなる※2のです。
インプラントの周辺組織が、歯周病に感染したような状態になること。重症化するとインプラントが揺れたり外れたりしやすくなる。
※2喫煙者のインプラント治療について
喫煙者であっても節煙・禁煙ができれば、インプラント治療でトラブルが発生するリスクを下げられます。
2-3:長期的なコスパを考えて歯を入れたい方
インプラント治療は保険適用外の治療になるため、保険適用の治療に比べると治療費が高くなります。
ただし、インプラントは他の治療法に比べて寿命が長いです。結果的に再治療になる確率も少なくなります。
正しくメンテナンスし続けていれば、40年以上持つケースもあるのです。
▼治療法別の寿命
ブリッジ | 入れ歯 | インプラント | |
イメージ | |||
平均寿命 | 約7~8年 | 約4~5年 |
約10~15年以上 |
長期的なコスパやQQL(人生や生活の質)を考えて、質の良いものを長く丁寧に使っていきたい人にはピッタリの治療法だといえるでしょう。
どの治療法が自分にとってベストなのか、担当医とよく相談すると良いでしょう!
2-4:お口全体の健康を守りたい方
ブリッジや入れ歯は、周囲の歯を支えや土台にして、歯がない部分の負担を補っています。
そのため、健康なはずの他の歯やあご骨にもダメージを与え、お口全体の健康状態を悪化させてしまうデメリットがあるのです。
一方で、インプラントは独立した人工歯になります。
周囲の歯の力を借りずに済むので、お口全体の健康を長期的に維持しやすいのです。
歯をこれ以上失いたくない方は、周囲の歯や骨に負担を与えないインプラントを選ぶメリットが大きいといえるでしょう。
▼治療法別の周囲の歯や骨への負担
ブリッジ | 入れ歯 | インプラント | |
イメージ | |||
周囲への負担 |
隣接した歯が |
金具をかけた |
手術時にあご |
2-5:見た目の美しさを優先したい方
インプラント治療は、自分の歯と変わらない自然な見た目の美しさを手に入れられるメリットがあります。
一方での保険適応内の治療は、
● 差し歯が変色したり
● 部分入れ歯の金具が見えたり
● 連なった歯をかぶせる必要があったり
するので、審美性を高めるのが難しいです。
そのため、美しい口元を維持したい方には、インプラント治療または保険適応外のブリッジがオススメになります。
▼保険適応の治療法の審美性
ブリッジ | 部分入れ歯 | 差し歯 | |
イメージ | |||
審美性 |
銀歯※ | 金具が見える | 経年劣化で変色 |
※前から4番目までの歯は保険適用内でも白い歯を入れられます。(材質は保険適応のもの)
2-6:違和感なく食事やお話がしたい方
インプラント治療は、天然歯のような噛みごたえと発音のしやすさを獲得しやすいです。
特に入れ歯と比較した場合には、そのメリットを大きく感じられるでしょう。
なぜなら、入れ歯は着脱可能な人工歯であるがゆえに、
● 歯ごたえがある食材は噛みにくい
● 異物感が強い
● フィット感が薄い
● 舌が入れ歯にあたってしゃべりにくい
といった問題が発生しやすいからです。
そのため、人と接する機会が多い30代の方は、インプラントまたはブリッジを検討されるのがオススメになります。
3:インプラント治療の体験談(30代)
公益社団法人日本口腔インプラント学会が公開しているデータ※によれば、インプラント治療した後と前で30代の方には、以下のようなイメージの変化があったようです。
※出典:データからみるインプラント | 公益社団法人日本口腔インプラント学会
30代はそもそも歯を失う人の割合が少ないので、たった6人の体験談ではありますが、違和感の少なさや噛みごこちなどで満足感を得ている方が多いようです。
ぜひ、インプラント治療を検討する際に参考にしてみてくださいね!
4:30代でインプラント治療の結論
それでは最後に、30代でインプラント治療を検討する際に重要なポイントをおさらいしていきます。
全世代共通のインプラント治療をするリスクは、
☑外科手術による痛み・腫れ・出血の可能性
☑治療前後のお手入れ不足による感染症の発症
の2つです。対処法があるので過度な心配は不要になります。
デメリットは、
☑他の治療法に比べて治療期間が長い
☑保険適用外なので、治療費が高額になる
☑外科手術が必要になる
☑メンテンスの必要性が高い
☑あご骨の量が少ないと、治療の難易度が上がる
の5つです。
ただし、以下のような30代の方には、インプラントはオススメできる治療だといえます。
☑歯科予防やメンテナンスに積極的な方
☑非喫煙者
☑長期的なコスパを考えて歯を入れたい方
☑お口全体の健康を守りたい方
☑見た目の美しさを優先したい方
☑違和感なく食事やお話がしたい方
実際にインプラント治療をした30代の方の体験談では、
☑違和感の少なさ
☑噛みごたえの良さ
が思った以上に良かったと感じている人が多いようです。
以上、30代でインプラント治療を検討している方に向けた内容でした。もう少し詳しい説明を聞きたい方は、ぜひ直接お問い合わせください。
個々の症状や状態に合わせたお話をさせていただければと思います