BLOG 医院ブログ

虫歯予防の決定版!歯科医師が教える5つの習慣とは?

公開日:

 / 更新日:

一般歯科

虫歯予防の決定版!歯科医師が教える5つの習慣とは?

虫歯は、誰もが悩まされる国民病です。

痛みだけでなく、見た目や食事にも悪影響を与え、放置すれば重症化し、歯を失うことさえあります。

そこで今回は、以下の順に、歯科医師視点で「虫歯予防」のために知っておくと役立つポイントを紹介していきます。

歯科医師:田口
歯科医師:田口

ぜひ、本記事を読んで正しい知識を身につけ、老後まで虫歯から歯を守っていきましょう!

【執筆・監修者】田口 耕平
日本接着歯学会
日本口腔インプラント学会
日本補綴歯科学会・専門医
国際口腔インプラント学会・認定医

北戸田COCO歯科 院長
【経歴はこちら】

歯科医師:田口耕平

1:そもそも虫歯になる原因は?

そもそも虫歯になる原因は?

虫歯になる原因はさまざまありますが、以下の4つの要因が発生した際に虫歯になると言われています。

虫歯が発生する4つの条件
  • 虫歯になりやすい性質を持っている
    →歯や唾液の質が悪い、歯並びが悪く磨き残しが多いなど
  • 虫歯菌の量が多い、活動が活発
  • 虫歯菌のエサとなる糖分を多く摂取している
  • 虫歯菌が活動しやすい時間が長い
    →歯磨きの回数が少ない、糖を含む飲食の回数が多い

つまり、上記4つの要因が発生しない状況を作れば、虫歯を予防することが可能なのです!

歯科医師:田口
歯科医師:田口

では次に、上記の内容をふまえて、「今日からできる!簡単な虫歯予防の5つの習慣」についてお話していきますね!

2:虫歯予防は今日からできる!歯科医師が教える5つの習慣

虫歯予防は今日からできる!歯科医師が教える5つの習慣

実は虫歯予防は、どれも特別難しいものではありません。

これから紹介する5つの習慣を、今日からスタートしていただくだけで、虫歯になる確率をグッと減らせます!

虫歯予防に有効な5つの習慣
  • 正しい歯磨きで虫歯菌を撃退
  • フッ素で歯質を強化
  • 間食を控え、糖分の摂取量を減らす
  • 生活習慣を見直し、唾液量を増やす
  • 定期的な歯科検診&クリーニング

歯科医師:田口
歯科医師:田口

具体的なポイントは、この次に一つひとつ紹介していきますね^^

2-1:正しい歯磨きで虫歯菌を撃退

今日からできる虫歯予防の習慣1つ目は、「正しい歯磨きで虫歯菌を撃退」です。

言われなくても、歯磨きは毎日ちゃんとしているよ!

という方は多いのですが、ここで重要なのは、あなたに合った「正しい歯磨き」ができているかどうかです。

というのも、

  • 歯並び
  • 歯ぐきの状態

によって、それぞれ正しい歯磨きの方法は異なります。

場合によっては、通常の歯ブラシの他にこの後に紹介する

  • デンタルフロス
  • 歯間ブラシ
  • ワンタフトブラシ

などのデンタルケアグッズを使いながら、磨き方を工夫しないと、汚れが取り切れない方もいらっしゃるのです。

とはいえ、

自分には、どんなデンタルケアグッズが適しているんだろう?

どんな磨き方をすれば、虫歯になりにくいんだろう?

と迷うこともあると思います。

そういった場合には、ぜひ一度歯医者で相談してみてください!

お口の衛生管理を専門とする歯科衛生士が中心となって、ブラッシング指導(TBI)を行い、あなたにベストな磨き方を教えてくれます。

歯科医師:田口
歯科医師:田口

特に当院のような「予防歯科」に積極的に取り組んでいる歯医者を選ぶと、時間をかけて丁寧に教えてもらえますよ^^

2-2:フッ素で歯質を強化

今日からできる虫歯予防の習慣2つ目は、「フッ素で歯質を強化」です。

フッ素とは、

  • 歯の表面(エナメル質)の修復を促進する
  • 歯の質を強化する(酸に溶けにくい性質に変える)
  • 虫歯菌の働きを弱める

といった3つの働きで、虫歯の発生と進行を防いでくれる有効成分のことです。

ただし、フッ素入りの歯磨き粉を使うだけで、効果的な虫歯予防ができるわけではありません。

重要なポイントは、年齢に応じた

  • フッ素濃度
  • 使用量
  • 使用方法

の3つを守ることです。

具体的には、2023年1月に更新された以下の「フッ素の推奨される利用方法」を参考にしてみてください!

年齢使用量フッ素濃度使用方法
歯が生えてから2歳米粒程度
約1~2mm
フッ素(米粒1~2mm)
1000ppmF(日本製品:900~1000ppmF)・就寝前を含めて、1日2回の歯みがきを行う 
1000 ppmFの歯磨剤をごく少量使用する
3~5歳グリーンピース程度約5mm
フッ素(グリンピース 5mm)
1000ppmF(日本製品:900~1000ppmF)・就寝前を含めて、1日2回の歯みがきを行う
・うがいをする場合は、少量の水で1回のみとする
6歳~成人・高齢者歯ブラシ全体1.5cm~2cm
フッ素(歯ブラシ全体1.5~2.0cm)
1500ppmF(日本製品:1400~1500ppmF)・就寝前を含めて、1日2回の歯みがきを行う。
・うがいをする場合は、少量の水で1回のみとする。

※一部引用:4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法(2023年1月) 
※フッ素は中毒症状が怖いと言われることもありますが、使用量や使用方法を守れば健康上の問題は発生しません。(歯磨剤を乳幼児が誤って大量に食べたり飲み込んだりしないよう、使用方法や保管場所には注意してください)

歯科医師:田口
歯科医師:田口

年齢別におすすめのフッ素入り歯磨き粉などは、この後の『3-4:フッ素入り歯磨き粉・ジェル』で紹介していきますね!

2-3:間食を控え、糖分の摂取量を減らす

今日からできる虫歯予防の習慣3つ目は、「間食を控え、糖分の摂取量を減らす」です。

虫歯菌は、糖分をエサにして酸を産生し、歯を溶かします。

そのため、間食を控えて糖分の摂取量を減らすことは、虫歯菌の活動を抑制する=虫歯予防の基本です。

とはいえ、甘いものをずっと我慢するのは、正直難しいですよね。

そういった場合には、以下のような対策を実践することをおすすめします。

  • 甘いもの食べるタイミングを決める
    →15時のおやつの時間に食べるなど決めて、ダラダラ食べをしない、
  • 食事の後は、なるべく早めにしっかり歯磨きをする
    →特に寝る前の歯磨きは重点的に行う
  • 短時間で食べ終わる甘いものにする
    →ガム・飴・キャラメルなど、お口の中に長時間残ったり歯にくっつきやすいおやつは避ける
  • 甘みは感じるけど、虫歯になりにくいおやつを選ぶ
    →キシリトール配合のガムやタブレットを選ぶ(記事後半で詳しく紹介)
歯科医師:田口
歯科医師:田口

ぜひ、意識して食習慣を変えてみてくださいね!

2-4:生活習慣を見直し、唾液量を増やす

今日からできる虫歯予防の習慣4つ目は、「生活習慣を見直し、唾液量を増やす」です。

唾液には、虫歯菌を撃退し、歯を守って修復する3つの驚くべき効果が備わっています。

唾液の虫歯予防効果
  • 自浄作用:食べかすを洗い流す
  • 抗菌作用:虫歯菌をやっつける
  • 再石灰化作用:歯の修復を助ける

そんな唾液量を増やすためには、以下のような生活習慣を心がけるのがおすすめです!

唾液量を増やす生活習慣
  • こまめに水分補給をする
  • よく噛んで食べる
  • 口呼吸を避ける
  • 禁煙をする
  • 十分な睡眠を取る(1日7~8時間程度)
  • 定期的に運動や趣味などを通して、ストレスを解消する

歯科医師:田口
歯科医師:田口

できるものからでいいので、ぜひ試してみてくださいね!

2-5:定期的な歯科検診&クリーニング

今日からできる虫歯予防の習慣5つ目は、「定期的な歯科検診&クリーニング」です。

歯医者で定期的な歯科検診やクリーニングを受けることで、以下のような虫歯予防効果を得られます。

  • 虫歯が知らない間に進行するのを防げる
  • セルフケアでは取り切れない虫歯菌を除去できる
  • 正しいブラッシング方法やデンタルケアグッズを教えてもらえる
  • 詰め物や被せ物の異常に気付けるため、二次虫歯※も予防できる

※二次虫歯とは:一度治療した歯が再び虫歯になること

歯を失う原因第2位である虫歯は、ある程度状態が進行するまで、ほとんど自覚症状が現れません。

そのため、「痛くなってから歯医者に行く」ではなく、「痛くなる前に虫歯予防のために歯医者に行く」に意識を変えることが、重要です。

歯科医師:田口
歯科医師:田口

定期的に歯科検診やクリーニングを受けるだけで、大幅に虫歯リスクを減らせますよ!

歯科検診に通う頻度について

歯科検診やクリーニングに通う頻度は、3〜4ヶ月に1度くらいの方が多いです。

ただし、虫歯や歯周病のリスクが高い口腔環境の方は、もっと短いスパンでの受診を勧められるケースがあります。

3:【歯科医師推奨】虫歯予防グッズ5選

【歯科医師推奨】虫歯予防グッズ5選

歯科医師が厳選した虫歯予防グッズは、

  • デンタルフロス
  • 歯間ブラシ
  • ワンタフトブラシ
  • フッ素入り歯磨き粉・ジェル
  • キシリトールガムやタブレット

の5つです。

歯科医師:田口
歯科医師:田口

特におすすめの商品は、この後に一つひとつ紹介していきますね!

3-1:デンタルフロス
デンタルフロス

おすすめの虫歯予防グッズ1つ目は、「デンタルフロス」です。

歯ブラシだけでは取り切れない、歯と歯の間を磨く糸状のデンタルケアグッズになります。

歯と歯のすき間が狭いときの使用に適しています。

尚、歯と歯のすき間が広いときは、この次に紹介する「歯間ブラシ」を使用するのがおすすめです。

デンタルフロスは本来、歯ブラシと同じタイミングで1日に2〜3回は必ず使って欲しいグッズですが、実際に毎日使用している人はあまり多くありません。

ただし、歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは6割程度しか落とせないというデータもあります。

歯科医師:田口
歯科医師:田口

ですので、虫歯予防を頑張りたい方は、まずは「2日に1回」を目標に、生活に取り入れていただくことを強く推奨します!

3-2:歯間ブラシ
歯間ブラシ

おすすめの虫歯予防グッズ2つ目は、「歯間ブラシ」です。

こちらも歯ブラシだけでは取り切れない、歯と歯の間を磨くスティック状のデンタルケアグッズになります。

デンタルフロスとは異なり、歯と歯のすき間が広いときに使用します。

ただし、歯と歯のすき間の広さによって、使用するサイズが異なります。

ご自身に適したサイズを知りたい場合は、歯医者で歯科医師や歯科衛生士に教えてもらうのが1番間違いがありません。

誤ったサイズの歯間ブラシを使用してしまうと、

  • 汚れを取り切れなかったり
  • 歯ぐきを痛めてしまったり

する危険性があるため、注意してください。

3-3:ワンタフトブラシ
ワンタフトブラシ

おすすめの虫歯予防グッズ3つ目は、「ワンタフトブラシ」です。

通常の歯ブラシでは磨きにくい

  • 歯並びの悪いところ
  • 矯正装置の周り
  • 奥歯の裏側やかみ合わせ
  • 背の低い歯
  • 抜けた歯の周り
  • 前歯の裏側

などを、磨くのに適したヘッド部分が小さい歯ブラシになります。

  • 歯医者で磨き残しを指摘される歯がある
  • 位置や形状的に歯ブラシを当てにくい

などの場合に、ワンタフトブラシを使うことで虫歯になる確率を大きく減らせます。

歯科医師おすすめのワンタフトブラシ

3-4:フッ素入り歯磨き粉・ジェル
フッ素配合歯磨き粉

おすすめの虫歯予防グッズ4つ目は、「フッ素入り歯磨き粉・ジェル」です。

虫歯の発生と進行を防いでくれる有効成分の”フッ素”が配合された歯磨きを使うことで、虫歯になる確率を減らすことができます。

ただし、『フッ素で歯質を強化』でお話したように、使用時には年齢に応じた

  • フッ素濃度
  • 使用量
  • 使用方法

の3つを守ることが重要なポイントになりますので、ご注意くださいね!

歯科医師おすすめのフッ素歯磨き粉・ジェル

3-5:キシリトールガムやタブレット
キシリトールガム

おすすめの虫歯予防グッズ5つ目は、「キシリトールガムやタブレット」です。

キシリトールとは、国内だけではなく世界的にも虫歯予防効果が認められている天然甘味料です。

厚生労働省のサイトでは、以下のように説明されています。

むし歯を予防する天然甘味料として、北欧諸国で多用され、チューイングガムやタブレットなどに使用されています。厚生労働省より食品添加物として認可されているほか、世界保健機関(WHO)や 国連食糧農業機関(FAO)もその効果を認めています。

※一部引用:キシリトール | e-ヘルスネット(厚生労働省)

ただし、キシリトールが配合されている商品であれば、何でも良いわけではありません。

キシリトールによる虫歯予防効果を高めるためには、以下の3点に気をつけて商品を選ぶ必要があります。

キシリトール商品を選ぶポイント
  • キシリトール含有率50%以上の商品を選ぶ
  • 糖類が0グラムの商品を選ぶ
  • ガムまたはタブレットを選ぶ

具体的には、以下のような商品がおすすめです。

歯科医師おすすめキシリトール配合商品

歯科医師:田口
歯科医師:田口

では次に、虫歯予防について患者さまからよくいただく質問にお答えしていきます。

4:虫歯予防関連のよくある4つの質問

虫歯予防関連のよくある4つの質問

虫歯予防について、患者さまからよくいただく質問は以下の4つです。

  • 大人と子供で虫歯予防の方法は変わる?
  • 虫歯予防のために歯磨きは1日何回必要?
  • 親子で食器を共有したら虫歯菌はうつる?
  • 虫歯になっても早く治療すれば問題ない?

歯科医師:田口
歯科医師:田口

それぞれ歯科医師視点で、お答えしていきますね!

4-1:大人と子供で虫歯予防の方法は変わる?

A.基本的には変わりません。ただし、子供の歯のほうが虫歯リスクが高くなります。

というのも、子供の歯は、

  • 永久歯よりも虫歯になりやすい
  • 奥歯の溝が深く、磨き残しができやすい

といった特徴があり、虫歯になりやすいからです。

そのため、『歯科医師が教える5つの習慣』で説明した虫歯予防の方法以外に、子供の場合は、

  • 歯医者で必要に応じて、奥歯の溝を埋めるシーラントの処置を受ける
  • 小学生の間は、親が必ず仕上げ磨きを行う

といった対応を行うのがおすすめです。

4-2:虫歯予防のために歯磨きは1日何回必要?

A.1日2~3回が理想的です。(1回につき、2分程度)

特に朝・晩の歯磨きを念入りに行うと、虫歯予防効果を高められます。

また、歯磨き回数が1日「2回」「3回」どちらのほうが、虫歯予防効果が高いかのエビデンスはハッキリ出ていません。

それよりも、ご自身の年齢に適したフッ素濃度の”フッ素入り歯磨き粉・ジェル”で、1日最低2回はしっかり磨くことを意識したほうが、虫歯予防効果を高められそうです。

4-3:親子で食器を共有したら虫歯菌はうつる?

A.食器共有を避けることで、虫歯予防ができる強い科学的根拠はありません。

というのも、親からの虫歯菌の感染は、食器共有前から起こっているからです。

また、「食器共有に気をつけてる家」と「食器共有を気にしていない家」を比べても、子どもの虫歯発生率に大きな差は出ていません。

そのため、親との食器共有の有無を必要以上に気にする必要はないでしょう。

4-4:虫歯になっても早く治療すれば問題ない?

A.早く治療をしても、元通りになるわけではありません。そのため、そもそも虫歯にならないための「予防」が重要になります。

というのも、たとえ虫歯を初期段階で治療したとしても、

  • 歯の詰め物にも耐用年数があり
  • 詰め物と歯との間の段差や隙間から虫歯が再発する

リスクがあるからです。

一説では、1本の歯の虫歯治療を6回程度行うと、どんどん健康な部位が減ってしまい、抜歯に至ると言われています。

そのため、基本的に「治療」ではなく「虫歯予防」に力をいれるのが、あなたの歯を老後まで守るために1番大切なポイントです。

5:虫歯予防の重要なポイントをおさらい!

それでは最後に、「虫歯予防」について重要なポイントを簡単におさらいしていきます。

本記事のまとめ

虫歯になる原因はさまざまありますが、以下の4つの要因が発生した際に虫歯になると言われています。

  • 虫歯になりやすい性質を持っている
  • 虫歯菌の量が多い、活動が活発
  • 虫歯菌のエサとなる糖分を多く摂取している
  • 虫歯菌が活動しやすい時間が長い

そのため、

  • 正しい歯磨きで虫歯菌を撃退
  • フッ素で歯質を強化
  • 間食を控え、糖分の摂取量を減らす
  • 生活習慣を見直し、唾液量を増やす
  • 定期的な歯科検診&クリーニング

の5つの生活習慣を意識して過ごし、虫歯にならないように予防するのが大切なポイントです。

また、虫歯予防効果を高めるためには、ご自宅でのセルフケアに

  • デンタルフロス
  • 歯間ブラシ
  • ワンタフトブラシ
  • フッ素入り歯磨き粉・ジェル
  • キシリトールガムやタブレット

の5つを取り入れるのもおすすめです。

以上、今回は虫歯予防について重要なポイントを紹介しました。

虫歯予防は、毎日の積み重ねが大切です。

今回ご紹介した5つの習慣を意識することで、虫歯のリスクを大幅に減らせます。

ぜひ今日から実践して、健康な歯を守りましょう。

歯科医師:田口
歯科医師:田口

また、「虫歯予防に積極的に取り組んでいる歯医者で相談したい」という場合には、ぜひ当院までご相談ください!

あなたに適した虫歯予防の方法を診断し、レクチャーしたいと思います^^