こんにちは北戸田coco歯科クリニックです!
冷たい飲食物を摂取したときや、歯ブラシの毛先が触れたときなどに「キーン」と痛みを覚えたことがある方は多いのではないでしょうか。
歯がしみる症状は、むし歯があることを示す可能性がありますが、知覚過敏(ちかくかびん)になっている場合もあります。そこで本記事では、知覚過敏の症状や原因、歯科医院での治療方法、自宅でできる対策について紹介します。
目次
■知覚過敏とは
知覚過敏は、歯になんらかの刺激が与えられることによって歯の神経が過敏に反応し、一時的に痛みが生じてしまう症状のことです。
知覚過敏になる原因
知覚過敏の主な原因は、象牙質の露出です。象牙質はエナメル質に覆われていますが、歯がすり減ってエナメル質が削られたり、歯ぐきが下がったりすると象牙質が露出した状態になります。
象牙質は、象牙細管(ぞうげさいかん)と呼ばれる神経につながる無数の穴があいているため、刺激が加わると神経に伝わり、痛みを感じてしまうのです。象牙質は以下のようなことが原因で露出してしまいます。
- 歯ぎしりや食いしばりによるエナメル質の摩耗
- 加齢による歯ぐきの退縮
- 歯周病などによる歯ぐきの退縮
- 強い歯ブラシの圧による歯ぐきの退縮
また、酸性の強い飲食物の摂取や胃酸などによってエナメル質が溶け出す酸蝕歯(さんしょくし)も知覚過敏の原因となります。
参考:テーマパーク8020
知覚過敏の主な症状
知覚過敏の主な症状としては歯に刺激が加わると、一時的に痛みを感じるのが一般的です。しかし、痛みの程度には個人差があり、少ししみる程度からズキズキするような痛みを感じる方もいます。
軽度の知覚過敏では一瞬の痛みで済みますが、重度の知覚過敏になってくると何をしてもしみるようになり日常生活にも支障をきたしてしまいます。
症状がでる場面
知覚過敏の症状は、主に以下のような場面で起こります。よくに知覚過敏では冷たいものに反応しやすく、氷の入った冷たい飲み物や歯の治療の際にエアーをかけたりすると症状が出やすいです。
- 冷たい・熱い・甘い・すっぱい飲食物を摂取したとき
- 冷たい風が歯にあたったとき
- 歯ブラシの毛先が当たったとき
- 歯のクリーニングをしたとき
- ホワイトニング中や施術後
■知覚過敏は自然に治る?
知覚過敏を経験した方の中には「いつの間にかしみなくなっていた」という方もいるでしょう。軽度の知覚過敏は、エナメル質の再石灰化*を促進することで自然治癒することがあります。
しかし、歯ぐきが下がって象牙質が露出しているようなケースは、自然治癒することはありません。その原因が歯ぎしりや食いしばりの場合、放置するとさらに進行してしまう可能性もあります。
知覚過敏はむし歯や歯周病のような病気ではないからといって放置するのは、症状を悪化させてしまう可能性があるため大変危険です。症状がある場合は歯科医院に受診することをおすすめします。
*再石灰化とは、むし歯菌などが出す酸によって溶かされたエナメル質の成分(リンやカルシウム)が唾液などによって再び取り込まれることです。 |
■歯科医院で行う知覚過敏の治療方法
知覚過敏と診断された場合、歯科医院では段階に応じて以下の治療方法を行うのが一般的です。
- フッ素塗布
- 知覚過敏制御材の塗布
- マウスピースの装着
- コンポジットレジン充填
- 神経の除去
これらの治療方法は、全て保険適用になります。
フッ素塗布
まず選択されるのがフッ素塗布です。フッ素には、歯から溶け出したカルシウムやリンを再び歯に取り込み、エナメル質を補修する作用があります(再石灰化)。
フッ素塗布により、再石灰化が進めば知覚過敏の症状がでなくなる効果が期待できます。
知覚過敏制御材の塗布
次に選択されるのが、知覚過敏制御材の塗布です。
これは、露出した象牙質をコーティングし、外部からの刺激を遮断します。知覚過敏制御材は、歯磨きなどによって剥がれてしまうこともあるため、数ヶ月ごとに塗布しなおす必要があります。
マウスピースの装着
歯ぎしりや食いしばりによって、歯ぐきにダメージを与えている場合、マウスピースの作製を勧められることがあります。
これは、ナイトガードとも呼ばれており、就寝時に装着し、歯ぎしりや食いしばりによる歯へのダメージを軽減するものです。
コンポジットレジン充填
コンポジットレジン充填とは、むし歯治療でよく行われる治療方法の一つ。患部を削り、レジンと呼ばれる樹脂で削った箇所を補います。
歯ぐきが下がったことによって生じる知覚過敏は、歯の根元の部分にコンポジットレジン充填を行い、外部からの刺激を遮断します。知覚過敏制御材と違って歯磨きなどで剥がれてしまう心配はありません。
神経の除去
コンポジットレジン充填でも知覚過敏の症状が抑えられない場合は、神経を抜くことを選択することもあります。神経を抜いてしまえば、知覚過敏の症状が現れることはありません。
ただし、神経を除去すると歯に栄養が届かなくなり、寿命が短くなる可能性があります。また、神経の治療後は被せ物も必要になります。
■ホームケアとしてできる知覚過敏対策
知覚過敏は、自宅でも対策ができるので以下の方法を試してみてくださいね。
知覚過敏用の歯磨き粉を使用する
参考:シュミテクト
歯磨き粉の種類によっては、知覚過敏の症状を抑えられる成分が配合されているものもあります。歯磨き粉を選択する際は、以下の成分が含まれているか確認してみましょう。
- 硝酸カリウム:歯の神経に伝わる刺激を抑える
- 乳酸アルミニウム:象牙質の穴を塞ぐ
- 高濃度フッ素(1,450ppm):エナメル質を補修する
やわらかい歯ブラシを選択する
歯ブラシの硬さには「かため」「ふつう」「やわらかめ」があります。知覚過敏がある方には「やわらかめ」の毛先の歯ブラシがおすすめです。
なぜなら、歯磨きの圧が強くなると、歯ぐきを傷つけてしまい歯肉退縮を引き起こしてしまうからです。「やわらかめ」の歯ブラシは、歯や歯ぐきへのダメージを軽減できるでしょう。
歯磨きはやさしく・動かしすぎない
強いブラッシング圧で動かしすぎると、歯ぐきを傷つけてしまい、歯ぐき下がる原因となります。歯ブラシを動かす際は、歯ぐきを傷つけないようにやさしく小刻みに磨くことが大切です。
しみやすい飲食物は控える
冷たいものや熱いもの、甘いものや酸味の強いものなどは露出した象牙質に触れると、歯の神経を刺激して知覚過敏を引き起こしてしまいます。
食生活を見直し、知覚過敏を引き起こす食べ物や飲み物を控えることも一つの手です。
■知覚過敏を予防するには?
知覚過敏を予防するためには、日頃から正しい歯磨き方法を習得し、酸性の飲食物を控えることが大切です。また、歯ぎしりや食いしばりをする場合は、ナイトガードを使うのも良いでしょう。
しかし、加齢による歯肉退縮は避けられません。歯の健康を保つためにも定期的に歯科医院に受診することが大切です。
歯の問題を発見し、早期治療を行うことで知覚過敏のリスクを減らすことができます。
<知覚過敏を予防する方法>
・正しい歯磨きを習得
・柔らかい歯ブラシを使用する
・酸性の飲食物を控える
・ナイトガードを使用する
■知覚過敏の症状がある場合は受診しましょう
ここまで知覚過敏について解説しましたが、歯がしみる原因は必ずしも知覚過敏とは限りません。なぜなら、むし歯や歯周病によって歯がしみることもあるからです。
むし歯や歯周病が原因の場合、知覚過敏用の歯磨き粉を使用したり、しみやすい飲食物を控えたりしても症状は改善されることはありません。
歯がしみるからといって知覚過敏だと自己判断するのではなく、症状がある場合は歯科医院へ受診し、原因に合わせた適切な治療を受けましょう。
■まとめ
知覚過敏は、歯科医院で行う治療方法や自宅でできる対策を実践することで、症状を軽減することができます。しかし、歯がしみるからといって知覚過敏と自己判断するのは大変危険です。
むし歯や歯周病、歯にヒビが入っている可能性もあるため、まずは歯科医師に相談しましょう。
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