こんにちは北戸田coco歯科です
「TCH(歯列接触癖)」という言葉をご存じですか?これは上下の歯が無意識のうちに接触している癖のことです。
本来、上下の歯が接触する時間は、会話や食事をする時間を含めて1日20分程度と言われています。
接触している時間が長いと歯や顎にさまざまな悪影響を及ぼしてしまうことも。
ここではTCHについて、インビザラインとの関係、対策方法などをご紹介します。
TCH(歯列接触癖)とは?
TCHとは、「Tooth Contacting Habit」の略で、日本語にすると「歯列接触癖」と言います。
これは上下の歯を無意識のうちに接触させる「癖」のことです
通常、リラックスした状態で唇を閉じても、上下の歯には数mmほどの隙間があり接触することはありません。
TCHがあると筋肉・顎関節・歯ぐき・歯を支えている骨にまで大きな負担を与えることがわかっており、顎関節症の発生や歯の痛みにつながります
参考:利根中央病院
TCHが起きてしまう原因
TCHは以下のように緊張したり、何かに集中したりするときに無意識に行われることが多いです。
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■ストレスによるもの
仕事中・試験中などストレスにさらされた状態になると、筋肉が緊張して歯が接触してしまいます。
■集中しているとき
パソコンやスマートフォンの操作・車の運転・勉強中など何かに集中しているときは、無意識のうちに歯を接触させていることが多くあります。
TCHのセルフチェック方法
TCHがある方は、日常生活で当たり前に歯を接触させてしまっているため、ご自身ではほとんど気づくことはありません。
ただ以下のような方法で簡単にセルフチェックできます。
1.まずは姿勢を正して目を閉じてみましょう
2.唇を軽く閉じ、上下の歯が接触しないように離して5分間保ちます
3.その際に歯をつけている方が楽と感じる、または違和感を覚えるのであればTCHの可能性があります。
またお口の中に以下のような痕がないか確認してみましょう。
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これらの痕は上下の歯が接触していることによって起こるもので、TCHの可能性があります。
TCHがあるとどんな悪影響があるのか?
TCHがあると顎や歯に以下のような悪影響を及ぼす可能性があります。
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顎関節症になりやすい
顎関節症とは、口が開けにくかったり開けたときに痛みを伴ったり、顎を動かすと音がしたりする症状のことです。
顎関節症は複数の原因が重なって発症し、中でもTCHは常に上下の歯が接触しているため、顎関節症になりやすいと言われています。
知覚過敏になりやすい
TCHは歯に継続的な力が加わり、歯を支えている骨と歯の根っこの間にある膜(歯根膜)が圧迫され、血行不良・神経障害につながります。
それにより、知覚過敏や歯の痛みにつながるのです。
また、歯の根元が欠けてしまう症状も見られることがあり、知覚過敏の原因となります。
歯が割れてしまう可能性がある
長期間にわたって上下の歯に力が加わり続けると、歯が割れてしまう可能性があります。
歯が割れてしまうと噛むときに違和感を覚えたり痛みがでたりすることも。
なお歯の根っこが割れてしまうと治すことはできず、抜歯が必要になります。
詰め物や被せものが外れやすい
TCHの方は詰め物や被せ物が外れやすい傾向にあります。
軽い力であっても長期間にわたって上下の歯に力が加わると、詰め物や被せ物の間に隙間ができやすくなり、外れてしまうのです。
インビザライン矯正とTCH(歯列接触癖)の関係
では歯列矯正をするうえでインビザライン矯正にはどのような影響があるのでしょうか。やはりTCHがあると以下のようにさまざまな悪影響を及ぼします。
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矯正中に歯が動きにくい
TCHがある方は常に上下の歯が接触している状態です。
その部分の歯を動かそうとしても、歯が接触した状態では歯の移動が阻止されてしまうことも。そのような場合、治療計画が延びてしまう可能性が大いにあります。
マウスピースが破損しやすい
インビザライン矯正で使用するマウスピースは、0.75mmほどと非常に薄い素材でできています。
TCHがある方は、その力によってマウスピースが破損してしまう可能性があるのです。
亀裂が入った程度ではそのまま使用することはできますが、破損した場合再作成が必要になることもあります。
アタッチメントが外れやすい
インビザライン矯正では歯を並べるために「アタッチメント」と呼ばれる装置を歯の表面につけます。
TCHがあると、その力によって歯とアタッチメントに隙間ができやすく、外れてしまう可能性が高くなります。
関連記事:アタッチメントについて【インビザライン矯正の処置】
奥歯が当たりにくくなる
TCHがある方はマウスピースの厚みの分に加えて噛む力も矯正力になり、奥歯が沈み込んでしまい当たりにくくなることがあります。
それを治すためには、追加でインビザライン矯正を続ける、またはワイヤー矯正が必要になります。
インビザラインでTCH(歯列接触癖)は改善される?
TCHの対策方法には、歯に大きな力がかからないように「マウスピース」を装着して負担を軽減する方法があります
そのためインビザライン矯正でTCHは改善できるのでは?と思う方もいるでしょう。
しかし、インビザライン矯正に使用するマウスピースは、違和感を覚えないように薄く作られています。
そのためTCHの改善を目的とするマウスピースとは全く異なるものになり、インビザライン矯正のマウスピースでは負担を軽減することはできません。
またTCHは「癖」の問題であり、インビザライン矯正でTCHは改善されるものではないのです
TCH(歯列接触癖)の対策方法
TCHは無意識のうちに行われている日頃の「癖」です。
反対に、上下の歯が触れている時間を少なくすれば症状は改善されます。ただ、ほとんどの方はTCHの自覚はありません。
まずはその癖があることに気づくことが大切で、つぎに歯を離す習慣を身につけます。
歯を離すことを習慣化させる方法の一つに、目に入るような所に「歯を離す」と書いた付箋などを貼っておくことです
常に意識することは難しいですが、パソコンのモニター・冷蔵庫・車のハンドル・洗面台の鏡などは目に入りやすく、ストレスを感じることなく習慣化することができます。
TCHはインビザライン後も歯並びが崩れる原因になる
インビザラインで歯並びを綺麗にしてもTCHがあると、噛み合わせが悪くなったり歯並びが崩れたりする可能性があります。
また歯並びだけでなく、姿勢が悪くなる、顎関節症になるなど、さまざまな悪影響を及ぼします。
TCHがある方は、上記の対策方法を参考に早めに改善した方が良いでしょう。
北戸田coco歯科のインビザライン
当院では、できるだけ抜歯をしない矯正治療を心がけております。
しかし、患者様の歯並びによっては抜歯が必要になるケースもありますので、お口の中を拝見させていただきその人にあった治療方法をご提案させていただきます。
インビザラインの他にも目立たない器具を使ったワイヤー矯正など豊富なオプションをご用意しております。
矯正治療を検討している方はまず無料の矯正相談にいらしてください
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まとめ
TCHは、日常生活の中で無意識に上下の歯を接触させてしまう癖です。
原因はストレスによる緊張やスマートフォンの操作などで集中しているときなどに行われていることが多いです。
対策方法はまずは自覚し、歯を離すことに意識を向けることです。
なおTCHがある場合、インビザライン矯正を行なっても治療後に歯並びが崩れてしまう原因になり、それ以外にも顎関節症や知覚過敏などさまざまな症状を引き起こします。
ただTCHは本人は気づいていないことも多く、歯がしみる、起床時に歯や顎が痛むなどの症状がある場合は歯科医師に相談してみるのも良いでしょう。
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