こんにちは。北戸田coco歯科です。
子どもの歯を強くするには、日頃の食事が重要です。
食べるものが身体をつくるように、歯もまた食べるものによって作られます。
「だけど強い歯に育てるには何を食べさせればいいの?」
と悩んでしまいますよね。
ここでは、北戸田coco歯科の小児歯科担当医、田口世理奈医師が本当に強い歯に育てられる食べ物をご紹介します。
- 【経歴】
- ・日本大学歯学部 卒業
- ・日本大学歯学部歯学研究科歯学専攻修了 博士号取得
妊娠中の食事から離乳食、幼児期の食事やおやつを紹介しますので、ぜひ、参考にしてくださいね。
1. 赤ちゃんの歯はお腹の中から形成が始まる
ところで、子どもの歯はいつくらいから形成されるかご存知ですか?
実は、歯の芽ともいうべき歯胚(しはい)の形成は、なんと妊娠7週目からすでに始まります。
そして、妊娠4ヶ月目後半頃から石灰化(固くなる)が始まります。乳歯は生える前から歯茎の中で歯が生える準備を整えているのです。
つまり、子どもの歯を強くしたければ、妊娠中から食べるものに気をつけることが重要です。
2. 妊娠中におすすめする食べ物
生まれてくる子どもの歯を強くするには、カルシウムだけでなく様々な栄養素が必要です。
下に挙げたものは、妊娠中も生まれた子どもにも共通する歯を強くする食材です。これを目安に、話を進めていきますね。
【子どもの歯を強くする食べ物】
食材 | 役割 | |
タンパク質 | 卵、豆腐、牛乳、アジ | 歯の基礎を作る |
カルシウム | 乳製品、大豆製品、魚 | 歯の石灰化を助ける |
リン | 米、牛肉、豚肉、卵 | |
ビタミンA | 豚肉、レバー、 ほうれん草、にんじん |
歯のエナメル質を作る |
ビタミンC |
さつまいも、みかん、 |
歯の象牙質を作る |
ビタミンD | 卵、牛乳、バター | カルシウムの代謝・ 吸収を助ける |
ただし、ひとつだけ多く摂りすぎてもよくありません。バランスよく食べるようにしましょう。
なぜなら、食べ物は1種類だけでは吸収する力が弱く、吸収を助ける食べ物を摂ってはじめて吸収できるからです。
例えばカルシウムを吸収するにはビタミンDが必要ですし、タンパク質を吸収するはビタミンCなどが必要です。
もしも相互関係がうまく働かないと、栄養素を吸収できずに尿や便として排出されてしまいます。
いろいろな食材はそういった相互作用が働いて、はじめて吸収できるのです。
嫌いなものは無理に摂らなくても大丈夫。例えば牛乳が飲めないお母さんはチーズやひじきなど、別のもので代用しましょう。
無理に摂ると、お母さんにもお腹の中の赤ちゃんにもストレスになるのでかえってよくありませんよ。
以上のことを踏まえて、成長の段階的におすすめの歯を強くする食べ物をご紹介していきますね。
3. 歯を強くする離乳食(ごっくん期)
5〜6ヶ月くらいになると、離乳食が始まりますね。
この頃はまだ歯が生えていないため、舌ですりつぶして飲み込めるようなドロドロとしたペースト状のものが基本です。
将来歯を強くするために、離乳食開始からなんでも美味しく食べられる味覚をつくることも重要です。
基本的に和風出汁の味をベースにしたものや、素材の味そのものがわかるものを心がけましょう。
- 【おすすめの離乳食】
- ・味噌汁の上澄み
- ・すりおろしにんじんの粉ミルク煮
- ・とろとろジャガイモの出汁煮
- ・絹ごし豆腐入り重湯
いずれもドロドロのペースト状にして、噛まなくても飲める状態してください。
味付けするとしたら、薄めの出汁だけ。出汁に含まれる塩分だけで十分です。
砂糖や塩は刺激が強すぎるので、まだ必要ありません。
4. 歯を強くする離乳食(もぐもぐ期)
前歯が生える7〜8ヶ月頃になると、柔らかいものを歯で噛んで食べられるようになります。主に歯ぐきで噛んで飲み込むので、指でつまんでつぶれる程度の硬さのものにしましょう。
※前歯が生える時期には個人差があります。1歳くらいまでは生えていなくても心配いりませんよ。
- 【おすすめの離乳食】
- ・柔らかめのおかゆ(冷ましたもの)
- ・柔らかく煮込んで細かくしたほうれん草、大根、にんじんなど
- ・煮てすりつぶした白身魚や鶏ささみ
この頃になると、食べられる食材が増えてきますね。大事なのは、大人の指でつまんで潰れるくらいの柔らかさにすることです。
味付けはまだ出汁を基本にしましょう。
5. 幼児期におすすめの歯を強くする食事
乳歯が生え揃う2歳半〜3歳前後の幼児期には、噛む力をつける食事がおすすめです。
ハンバーグやオムライスなどは子どもの好物ですが、柔らかい食事ばかりだと強い歯が育ちません。
- 【おすすめの食事】
- ・煮物(ごぼう、ブロッコリー(芯まで)、れんこん)
- ・スティック生野菜(にんじん、きゅうり、セロリ)
- ・桜えび入りのお好み焼き
- ・きのこと鮭のキッチュ
- ・しらす入り卵焼き
基本的にはバランス良い食事を心がけていれば、自然と強い歯が育ちます。
ただし、幼児は大人よりも喉の気管が未発達のため、魚の小骨が喉に刺さりやすいです。
噛むことはできても飲み込むことができません。
大人は噛んで飲み込めるような小骨でも、丁寧に取り除いてあげましょう。
6. 幼児期におすすめの歯を強くするおやつ
おやつも歯ごたえのあるものにしましょう。特に、かじり取る練習ができる大きめサイズにするのがおすすめです。
- 【おすすめのおやつ】
- ・大きめにむいたリンゴ、柿、梨
- ・わかめご飯のおにぎり
- ・きゅうりとハムのサンドイッチ
- ・一口大より長めに切った納豆巻き
手で持って食べられるものは、おやつとして適しています。
おやつの時には、お茶(麦茶がおすすめ)かお水を一緒に出してください。水分は飲み込むのを手伝い、歯についた食べカスを洗い流す役割があるからです。
7. 歯によくないおやつ
最後に、歯によくないおやつについて触れておきますね。
歯によくないおやつは、虫歯になりやすい食べ物です。
- ・砂糖が含まれた果汁なしのジュース
- ・スポーツドリンク、炭酸飲料
- ・チョコレート、クッキー、ドーナツ
- ・キャラメル、ヌガー、ソフトキャンディ
虫歯になりやすい食べ物は、基本的に砂糖が含まれるものです。
特に、歯にくっついていつまでも口の中に残ってしまうものは要注意です。
ちなみに、菓子パンにもたくさんの砂糖が含まれています。
大人と違って口内ケアの意識がない子どもは、大人が注意してあげましょう。
食べた後はできれば歯を磨くのがベストですが、ブクブクうがいをさせるだけでも違いますよ。
8. まとめ
子どもの強い歯をつくるには、妊娠中も子どもに食べさせるものも、バランスよく摂ることが重要です。
食べ物はお互いが補い合って栄養として身体に取り込めるようになっているからです。
もしも好き嫌いがあったら、無理に食べさせるのではなく、同じような栄養素が含まれる別の食べ物で代用しましょう。
今は昔と違っていろいろなものが手に入ります。極端な偏食でなければ、多少の好き嫌いがあっても大丈夫ですよ。
北戸田coco小児歯科では、子どもの歯の専門家が歯の治療や相談に当たっています。困ったこと・気になることがあったらお気軽にご相談くださいね。
- ◆この記事のまとめ
- 1. タンパク質は歯の基礎をつくる
- 2. カルシウムは歯の石灰化を助ける
- 3. ビタミンAは歯のエナメル質をつくる
- 4. ビタミンCは歯の象牙質をつくる
- 5. ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける
- 6. 子どもの歯を強くするには妊娠時から
- 7. 離乳食はごく薄味で味覚を育てる
- 8. 幼児期は噛む力やかじり取る力を育てる