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糖尿病と虫歯・歯周病は深い関係!歯科医が教える予防法6選

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一般歯科

糖尿病と虫歯・歯周病は深い関係!歯科医師が教える予防法6選

「糖尿病と虫歯・歯周病は深く関係している」

日本糖尿病協会登録歯科医である私が、長年の臨床経験から確信していることです。

実際に近年では、歯周病が糖尿病の進行を促進することが明らかになっており、歯周病は「糖尿病の6番目の合併症※」であると認識されるようになりました。

しかし、適切な口腔ケアを実践すれば、

  • 虫歯・歯周病を予防して
  • 血糖コントロールを改善させられる

効果が期待できます。

とはいえ、正しい知識がなければ、糖尿病の方に適した「歯科治療」や「口腔ケア」を受けることはできませんよね。

そこで本記事では、”日本糖尿病協会登録歯科医”の田口が、糖尿病の方が知っておくと得する歯科関連の情報をまとめて解説しました!

田口耕平
歯科医師:田口

では、さっそく本文にうつっていきますね!

【執筆・監修者】田口 耕平

日本接着歯学会
日本口腔インプラント学会
日本補綴歯科学会・専門医
国際口腔インプラント学会・認定医
日本糖尿病協会登録歯科医

北戸田COCO歯科 院長
【経歴はこちら】

田口耕平

1:糖尿病と虫歯・歯周病の深い関係性とは?

糖尿病と虫歯・歯周病の深い関係性とは?

糖尿病と虫歯・歯周病には、

といった深い関係性が存在します。

田口耕平
歯科医師:田口

どういうことか、それぞれ詳しく説明していきますね!

1-1:なぜ糖尿病だと虫歯になりやすいの?
なぜ糖尿病だと虫歯になりやすいの?

糖尿病になると、虫歯になりやすい理由は以下の3つです。

糖尿病だと虫歯リスクが増加する理由
  • 唾液の分泌量が減少する
    →糖尿病になると唾液量が減ってしまうため、口の中が乾燥し、虫歯菌が活発になります。
  • 免疫力が低下する
    →糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、免疫力が低下し、虫歯菌に感染しやすくなります。
  • 食事回数が増える
    →糖尿病の治療では、1回の食事量を減らし、食事の回数を増やすケースも多いです。そのため、虫歯菌が活動しやすい酸性にお口の中が傾く時間が長くなり、虫歯リスクが増加します。

田口耕平
歯科医師:田口

これらの理由から、糖尿病の方は通常よりも、積極的に虫歯予防に取り組むことが推奨されます。

1-2:糖尿病と歯周病はお互いに悪影響を与え合う
糖尿病と歯周病はお互いに悪影響を与え合う

糖尿病と歯周病の2つの病気は、以下のように互いに悪影響を与え合う、いわゆる「負のスパイラル」を形成しています。

糖尿病歯周病に悪影響を与えるメカニズム

糖尿病の方は、血糖値が高い状態が続きます。

この高血糖状態が以下のような悪影響を及ぼし、歯周病を悪化させます。

  • 免疫力が低下する
    糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、免疫力が低下し、歯周病菌に感染しやすくなります。結果的に、歯を支える骨の吸収が促進されます。
  • 血管が脆くなる
    高血糖は、血管を傷つけます。歯周組織の血管も例外ではなく、栄養供給が滞り、歯周組織が弱くなってしまいます。
  • 唾液の分泌量が減少する
    →糖尿病になると唾液量が減ってしまうため、口の中が乾燥し、歯周病菌が活発になります。

歯周病糖尿病を悪化させるメカニズム

一方、歯周病も以下のような悪影響を及ぼし、糖尿病を悪化させる原因となっていることがわかっています。

  • 血糖コントロールを悪化させる
    歯周病によって炎症物質がたくさん作られ、インスリンの働きが抑制されます。その影響で、血糖値が上昇して高血糖になります。
  • 歯の喪失による、食生活の乱れ
    →歯周病によって歯を失うと、食べられるものがどんどん減ってしまい、食生活が乱れて糖尿病が悪化することがあります。

このように、糖尿病と歯周病は、切っても切れない関係にあります。

上記の負のスパイラルを断ち切るためにも、どちらか一方の治療だけでなく、「糖尿病」「歯周病」両方の病気を適切に管理することが重要です。

田口耕平
歯科医師:田口

では次に、「糖尿病の方におすすめの虫歯・歯周病の予防法」を6つ紹介していきます。

2:糖尿病の方におすすめの虫歯・歯周病の予防法6選

糖尿病の方におすすめの虫歯・歯周病の予防法6選

糖尿病の方におすすめの虫歯・歯周病の予防法は、以下の6つです。

田口耕平
歯科医師:田口

具体的なポイントは、この後に一つひとつ解説していきますね!

2-1:歯医者での治療&定期検診

糖尿病の方におすすめの虫歯・歯周病の予防法1つ目は、「歯医者での治療&定期検診」です。

なぜなら、糖尿病の方が歯科治療や定期検診を受けることで、以下のようなメリットを得られるからです。

  • 虫歯・歯周病の進行を防ぐ
    糖尿病の方は、虫歯や歯周病が悪化しやすいです。歯医者の定期検診では初期の虫歯や歯周病も発見できるため、重症化を防げます。
  • 口腔内を正常な状態に戻す
    →重症化した虫歯や歯周病は、自然治癒しません。適切な治療を受けることで、口腔内を正常な状態に戻し、お口の中の虫歯菌や歯周病菌を減らせます。
  • セルフケアでは除去しきれない汚れを落とす
    →歯医者の専用器具を使って、普段の歯ブラシでは落としきれない汚れ(歯垢や歯石)を除去し、虫歯や歯周病の原因となる細菌の繁殖を防ぎます。
  • 正しいセルフケアの方法がわかる
    →あなたの日々の歯磨きにより適した、ブラッシングの方法や歯磨きグッズを専門家目線で指導してもらえます。

2-2:毎日の歯磨き(セルフケア)

糖尿病の方におすすめの虫歯・歯周病の予防法2つ目は、「毎日の歯磨き(セルフケア)」です。

歯の汚れ(歯垢や歯石)は、虫歯や歯周病の原因となる”細菌の巣窟”と言えます。

しかし、毎日の歯磨きを丁寧に行うことで、この歯の汚れ(歯垢や歯石)を効果的に除去することが可能です。

具体的には、

  • 歯医者でTBI(歯磨き指導)を受けて、正しい磨き方を実践する
  • 歯ブラシの交換は、約1~2ヶ月に1回を目安に行う
  • 歯間ブラシやデンタルフロスを併用して、歯と歯の間の汚れも落とす
  • ワンタフトブラシなどを活用して、通常の歯ブラシでは磨きにくい歯の汚れを落とす

などを意識して実践するのがおすすめです!

2-3:フッ素の利用

糖尿病の方におすすめの虫歯・歯周病の予防法3つ目は、「フッ素の利用」です。

フッ素とは、

  • 歯の表面(エナメル質)の修復を促進する
  • 歯の質を強化する(酸に溶けにくい性質に変える)
  • 虫歯菌の働きを弱める

といった3つの働きで、虫歯の発生と進行を防いでくれる有効成分のことです。

具体的には、

  • フッ素入りの歯磨き粉やジェルを使ったり
  • 歯磨き後にフッ素洗口液を使ったり

することで、虫歯予防効果を高められます。

歯科医師おすすめのフッ素歯磨き粉・ジェル

2-4:お口の乾燥対策

糖尿病の方におすすめの虫歯・歯周病の予防法4つ目は、「お口の乾燥対策」です。

口腔内の乾燥は、細菌の繁殖を促し、虫歯や歯周病リスクを高めます。

特に糖尿病の方は、高血糖による、

  • 多尿による体内の水分不足が起こる
  • 唾液の分泌量が低下する

などの影響で、口腔乾燥症(ドライマウス)になりやすいです。

そのため、虫歯・歯周病予防のために、以下のようなお口の乾燥対策が推奨されます。

お口の乾燥対策
  • 喫煙・アルコール・カフェインを控えめにする
  • 鼻呼吸を心がける
  • こまめに水分補給する
  • しっかり噛めるように、歯科治療を受ける
  • 硬い食べ物をしっかりと噛んで食事をする
  • ノンシュガーのガムを噛む
  • 部屋の湿度を管理する(適切に加湿を行う)
  • 口の中を適宜保湿する(人工唾液や保湿ジェルなど)

歯科医師おすすめのガム

2-5:食生活の改善

糖尿病の方におすすめの虫歯・歯周病の予防法5つ目は、食生活の改善」です。

というのも、糖尿病の方にとって、食生活の改善は血糖コントロールだけでなく、虫歯・歯周病予防にも深く関わってくるからです。

具体的には、歯科医師とかかりつけ医(内科医等)の指導のもと、以下のようなポイントを意識することが推奨されます。

  • 糖質の摂取量を控える
    →糖質によって血糖値が急激に上昇し、糖尿病が悪化するのを防ぐため。糖質が虫歯菌のエサになるのを防ぐことができます。
  • 良質なタンパク質を摂る
    →タンパク質には、歯や歯周組織を強くしたり、免疫力をあげて感染症への抵抗力を高める効果があります。
  • ビタミン・ミネラル(カルシウムなど)をバランスよく摂る
    →ビタミンCやカルシウムによって、歯周組織を強くしたり、歯を丈夫にしたりできます。
  • 食事の回数を増やし、1回の食事量を減らす
    →血糖値の急激な上昇を防ぎ、糖尿病の悪化を防げます。
  • ゆっくりとよく噛んで食べる
    →よく噛むことで満腹中枢が刺激され、大食いによる血糖値上昇を避けたり、唾液の分泌を促したりできます。
  • 食べる順番を工夫する
    →野菜・タンパク質・炭水化物の順に食べると、血糖値の急激な上昇を防げます。

2-6:血糖コントロール

糖尿病の方におすすめの虫歯・歯周病の予防法6つ目は、「血糖コントロール」です。

『糖尿病と虫歯・歯周病の深い関係性とは?』でもお伝えしたように、糖尿病と虫歯・歯周病には、

  • 糖尿病だと虫歯になりやすくなる
  • 糖尿病と歯周病はお互いに悪影響を与え合う

といった関係性が存在します。

そのため、糖尿病の方が虫歯・歯周病を予防するためには、「糖尿病の治療=血糖コントロール」も同時に行うことが非常に重要なのです。

血糖コントロールの治療例
  • 食事療法
  • 運動療法
  • 薬物療法

田口耕平
歯科医師:田口

当院では「日本糖尿病協会登録歯科医」が、かかりつけの内科医と連携して、患者さまにとって適切な虫歯や歯周病の治療方針やスケジュールをご提案します。

お悩みの際はぜひ、一度ご相談くださいね^^

3:糖尿病と虫歯・歯周病に関連するよくある3つの質問

糖尿病と虫歯・歯周病に関連するよくある3つの質問

虫歯・歯周病治療を受ける際に、糖尿病の方からいただく「よくある3つの質問」に回答していきます。

田口耕平
歯科医師:田口

それぞれ「日本糖尿病協会登録歯科医」の視点で詳しくお答えしていきますね!

3-1:糖尿病の患者は、どのくらいの頻度で歯医者を受診すべき?

A.患者さまの状態にあわせて、1〜3ヶ月に1回の定期検診をおすすめするケースが多いです。

というのも、一般的には3〜6ヶ月に一度の定期検診が推奨されていますが、糖尿病の方は虫歯・歯周病のリスクが高いため、より頻繁な検診が必要だからです。

とはいえ、お忙しい毎日の中で、なかなか歯医者に行く時間がないという方もいらっしゃいますよね。

そういった場合には、当院のような

  • WEB予約ができる
  • 土曜日の午前・午後も診療している
  • 18時以降も診療している
  • 駅から近い

のように、「予約が取りやすく」「通いやすい」特徴を持った歯医者を選ぶのがおすすめですよ!

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3-2:糖尿病の患者が歯科治療を受ける際の注意点は?

A.糖尿病の方が歯科治療を受ける際の注意点は、大きくわけて以下5点です。

  • 感染リスクが高い
    →糖尿病の方は免疫力が低下しているため、感染症にかかりやすいです。特に、歯を抜いたり、インプラントを埋め込むような外科処置では感染リスクが高まります。
  • 傷が治りにくい
    →糖尿病の方は高血糖による血流障害や神経障害のため、傷が治りにくい傾向があります。抜歯や歯周病治療などでは、通常よりも治療期間が長くなることを考慮し、計画を立てる必要があります。
  • 血糖値が変動しやすい
    →歯科治療中は、ストレスや麻酔によって血糖値が変動する可能性があります。特に空腹時に治療を受けると低血糖を引き起こすリスクがあるため、食事後の時間帯に予約を取ることが推奨されます。また、低血糖発作に備えてブドウ糖や飴などを持参することも重要です。
  • 血糖コントロールが重要になる
    →歯科治療を受ける際には、ヘモグロビンA1cの値が7.0%以下であることが望ましいとされています。この数値を超える場合、外科的な処置は見合わせることがあります。
  • 担当医への事前の情報提供が必須
    →歯科医師には、自分が糖尿病であることを事前に必ず伝えましょう。また、普段の血糖値や服用薬についても情報提供することで、安全な治療計画が立てられます。また、必要に応じて内科医と連携しながら治療を進めることが重要となります。

田口耕平
歯科医師:田口

歯科治療を受ける際は、これらの注意点を意識してみてくださいね!

3-3:糖尿病の患者が安心して治療を受けられる歯医者の条件は?

A.糖尿病の方が安心して治療を受けられる歯医者の条件は、大きくわけて以下5点です。

  • 徹底した感染症対策を行っている
    →高圧蒸気滅菌機での滅菌や、グローブや紙コップなどの使い捨て用品の使用など、細菌感染を防ぐ環境を整備している歯医者を選ぶのがおすすめです。
  • 日本糖尿病協会登録歯科医が在籍している
    →糖尿病に関する専門知識のある歯科医を選ぶのがおすすめです。具体的には、「日本糖尿病協会登録歯科医」に登録されている歯科医師を選ぶことが推奨されます。
  • 重度の虫歯や歯周病治療に対応している
    →どの歯医者でも同じ治療を受けられるわけではありません。糖尿病の方は、虫歯や歯周病が重症化しやすいです。そのため、必要に応じて、精密な根管治療や歯周外科治療を行ってくれる歯医者を選ぶのがおすすめです。
  • 血糖値変動への対応をしている
    →外科処置や麻酔時など、低血糖発作が起きたときのために、低血糖対策用の糖分補給品が準備されている歯医者を選ぶのがおすすめです。
  • 内科医との情報共有をスムーズにするシステムを採用している
    →糖尿病連携手帳や電子カルテシステムを活用して、内科医との情報共有をスムーズに行い、全身状態を把握しながら安全な歯科治療を提供してくれる歯医者がおすすめです。

田口耕平
歯科医師:田口

当院では、「糖尿病の方にも安心して歯科治療を受けていただきたい」といった想いから、上記5つの条件をすべて満たした環境で診療を行っております!

お困りの際は、遠慮なくお問い合わせくださいね^^

4:糖尿病と虫歯・歯周病のまとめ

それでは最後に、本記事の重要なポイントを簡単におさらいしていきますね!

本記事のまとめ

糖尿病と虫歯・歯周病には、

  • 糖尿病だと虫歯になりやすくなる
  • 糖尿病と歯周病はお互いに悪影響を与え合う

といった関係性が存在します。

そのため、「糖尿病」も「虫歯・歯周病」も悪化させないために、

  • 歯医者での治療&定期検診
  • 毎日の歯磨き(セルフケア)
  • フッ素の利用
  • お口の乾燥対策
  • 食生活の改善
  • 血糖コントロール

の6つの予防法を実践するのがおすすめです。

また、糖尿病の方が歯科治療を受ける際には、

  • 感染リスクが高い
  • 傷が治りにくい
  • 血糖値が変動しやすい
  • 血糖コントロールが重要になる
  • 担当医への事前の情報提供が必須

といった5つの点に注意することをおすすめします。

さらに、糖尿病の方は、

  • 徹底した感染症対策を行っている
  • 日本糖尿病協会登録歯科医が在籍している
  • 重度の虫歯や歯周病治療に対応している
  • 血糖値変動への対応をしている
  • 内科医との情報共有をスムーズにするシステムを採用している

といった5点の条件を満たす歯医者を選ぶと、最後まで安心して治療を受けられる確率が高まります。

以上、今回は「糖尿病と虫歯・歯周病の関係」についてお話しました。

糖尿病の方は、通常よりも虫歯や歯周病になりやすく、重症化しやすい傾向があります。

しかし、適切な口腔ケアと歯科治療を受けることで、これらのリスクを軽減することが可能です!

田口耕平
歯科医師:田口

もし信頼できる担当医が見つからない場合には、ぜひ当院までご相談ください。

「日本糖尿病協会登録歯科医」の知識や経験を活かし、患者さまに最適な治療プランをご提案いたします^^