こんにちは北戸田coco歯科です
フッ素にはむし歯予防の効果があることはご存じでしょうか?フッ素には虫歯菌の活動を抑え、歯の質を強化する効果があります。
そして、気軽に歯科医院で塗布したり歯磨き粉で取り入れたりすることができることから、特に永久歯に生えかわったばかりのお子様にはフッ素の塗布をおすすめしています
今回はそんなフッ素について詳しく解説します。
※フッ素は「フッ化物」「フッ素化合物」と言いますが、ここでは「フッ素」と表現しています。
フッ素とは
フッ素とは栄養素(ミネラル)の一つで、お茶や魚介類、肉類などの食品・水・空気といったさまざまなものに存在しています。
フッ素と聞くと特殊な物質と不安になる方も多いですが、どこにでもある物質で、骨や歯をつくるのに欠かせないものです。
実は、私たちも普段から微量のフッ素を食べ物や飲み物から摂取しているんですよ
なおフッ素濃度はppmという単位で表します。これは100万分の1の割合を指すもので、例えば1リットルの水にフッ素が1mg含まれていれば、フッ素濃度は1ppmとなります。
□フッ素の効果
歯の表面にフッ素が取り込まれると以下のような効果が得られ、虫歯予防につながります。
・再石灰化を促す
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□再石灰化を促す
歯の表面では繰り返し脱灰と再石灰化が起きています。
お口の中にいる虫歯菌が出す酸によって、歯の表面のエナメル質からカルシウムやリンが唾液中に溶け出すことを脱灰といい、それらが歯の表面に戻ることを「再石灰化」といいます。
フッ素を取り入れると再石灰化の作用がよく働き、虫歯予防につながるのです
□歯の質を強くする
歯の表面のエナメル質はハイドロキシアパタイトと呼ばれている結晶構造でできています。
この結晶構造は酸に弱い性質で壊れやすいですが、フッ素に触れるとフルオロアパタイトという結晶構造に変化します。
この結晶は酸に強い性質があるため、歯の質が強くなり虫歯になりにくくなります
□虫歯菌の活動を抑制する
フッ素には歯に対する効果だけでなく、虫歯菌に対しても効果があります
フッ素を取り入れると虫歯菌が糖を取り入れられなくなる、糖を分解するための酵素(エラノーゼ)の働きを邪魔するなどの作用があります。
虫歯菌は糖を餌にして酸を出し、歯のカルシウムが溶かしながら虫歯にしていきますが、フッ素の効果により虫歯菌の活動を抑制することができます
□フッ素の安全性
フッ素の安全性について気になる方もいるのではないでしょうか?
結論から言うとフッ素は大量に摂取すると急性中毒になる可能性はありますが、歯磨き粉や歯に塗布する程度では量が少ないため、危険性はとても低いです
急性中毒は体重1kgあたり2mgのフッ素を摂取した場合に起こると言われており、症状には悪心・嘔吐・下痢などが挙げられます。
例えば、体重10kgの子供であれば、フッ素配合の歯磨き粉(950ppm)を20g一気に飲み込むと急性中毒が起こることがあります。
大人の場合は4~5本の歯磨き粉を飲んでしまった場合に起こるため、現実的ではありません。
なお、万が一大量に飲んでしまった場合はコップ1杯の牛乳を飲んで、歯科医師にすぐ相談しましょう。
インビザライン矯正中のフッ素塗布は大丈夫?
インビザライン矯正中は虫歯予防のためにもフッ素は塗布してもらった方が良いです
これは矯正中に大きな虫歯になるとマウスピースの形態が合わなくなり、再度作り直しが必要になることと、治療期間も長くなることがあるからです。
またマウスピースを装着すると唾液が行きわたりにくく、洗浄作用や抗菌作用が抑えられてしまうため、虫歯になりやすい環境になります
これらのことからインビザライン矯正中のフッ素塗布は積極的にしてもらった方が望ましいです。
矯正中はどのタイミングでフッ素塗布してもらう?
フッ素塗布は調整日などにクリーニングと一緒にしてもらうことが一般的です
ただクリーニングの内容にフッ素塗布が含まれていないことが多いため、希望して塗布してもらいます。
なおフッ素塗布は500~1,000円ほど別途で費用が必要になるところもあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
歯科医院で扱うフッ素は濃度がとても濃いものなので、毎月〜2ヶ月に1回でも効果を得られます。
歯科医院でフッ素塗布してもらう手順
フッ素塗布にはいくつかの方法がありますが、ここでは代表的な方法について2つ紹介します。
□綿球塗布法
綿球または綿棒に薬液を浸して歯の表面に塗布する方法で、小さなお子様に適しています。
□手順
①クリーニングで歯の表面をキレイにします。
②歯の表面に唾液がつかないように簡易防湿をし、乾燥させます。
③3~4分間薬剤の塗布します。このとき口は開いたままの状態です。
④簡易防湿を除去したあとは、うがいをせず唾液だけ吐き出します。
□トレー法
歯並びに合わせたトレーに、ゲル状の薬剤を入れてからトレーを装着し、歯と薬剤を接触させる方法です。
□手順
①クリーニングで歯の表面をキレイにします。
②歯並びの大きさに合ったトレーを選択します。
③歯面を乾燥させて、トレーをお口の中に入れます。
④3~4分間軽く噛みます。
⑤トレーを除去したら、うがいをせず唾液だけ吐き出します。
□注意点
どちらの方法もフッ素塗布後、すぐにうがいをしてしまうと効果が得られにくくなります。そのため塗布後30分はうがいと飲食を避けましょう。
自宅でもフッ素入りのアイテムを使おう
インビザライン矯正中は、虫歯予防のために自宅でもフッ素入りのアイテムを使うことをおすすめします。
中でも歯磨き粉と洗口剤はインビザライン矯正中でも使いやすいです。ここではそれぞれの選び方について詳しく解説します。
□歯磨き粉
市販の歯磨き粉にはほとんどの製品にフッ素が含まれています。
中でも「1,450ppm配合」と記載されているものは高濃度のフッ素が含まれています
インビザライン矯正中は虫歯になりやすいため、高濃度のフッ素が含まれている歯磨き粉を選ぶと良いでしょう。
ただ6歳未満の方は使用できないため、1,000ppm以下のものを使用します
なお殺菌成分も配合されていると歯周病・口臭予防の効果も期待できます。
以下の表は歯磨き粉に含まれている主な成分です。お口の中の状態に合わせて選ぶようにすると良いでしょう。
歯周病予防 |
トラネキサム酸(TXA)・β-グリチルレチン酸・酢酸トコフェロール(VE)・イソプロピルメチルフェノール(IPMP)など |
殺菌成分 |
イソプロピルメチルフェノール(IPMP)・塩化セチルピリジニウム(CPC)・ラウロイルサルコシンNa(LSS)など |
知覚過敏予防 |
硝酸カリウム(KNO3)・乳酸アルミニウムなど |
□洗口液(マウスウォッシュ)
洗口液は歯磨きでは届かないところに成分が行きわたるため、インビザライン矯正中にもおすすめのアイテムです
なお洗口液と液体歯磨きとは別物で、前者はうがいに使用するもの、後者は歯磨きに使用する液体タイプの歯磨き剤のため、混同しないように注意しましょう。
洗口剤の使用方法は製品によって異なりますが、歯磨き後に5~10mlをお口に含み、ブクブクうがいをして薬剤が全体に行きわたるようにします。
使用後は水ですすがないため、就寝前に使用するとフッ素がお口の中に長く留まることができ、虫歯予防の効果に期待できます。
なおフッ素濃度は225~450ppmといった低濃度のものが多いため、毎日使用することが望ましいです
当院のインビザライン矯正
当院では、目立たないマウスピース矯正のインビザラインはもちろん、ワイヤー矯正や小児矯正にも力を入れております
ワイヤー矯正では前歯の部分に白い器具を使った目立たない矯正を採用しているため、インビザラインだけでは矯正治療が難しい方でも満足して治療を進めていただけるので安心して下さい
また難しい症例の方でも、インビザラインとワイヤー矯正の併用(ハイブリッド矯正)など、患者様のお口にあった矯正方法をご提供させていただきます
矯正治療を考えている方はお気軽にご相談下さい
まとめ
調整日やクリーニングと同時にフッ素を塗布してもらうと虫歯予防の効果が期待できます。
ただ歯科医院によって毎回フッ素を塗布してくれるところもあれば、希望しないと塗布してくれないところもあるため事前に確認しておきましょう。
また自宅でもフッ素が配合されている歯磨き粉や洗口剤を使用することでさらに効果が期待できます。インビザライン矯正中でもご自身で簡単にできるため、ぜひ活用してみてください。
フッ素配合の商品のご相談やフッ素塗布について聞きたいことがあればお気軽にご相談くださいね!
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