こんにちは北戸田coco歯科です
長年の悩みだった歯並びを改善しようとインビザライン矯正を始めたら「歯ぐきが下がったような感じがする」、「歯が長くなったように感じる」という方がいらっしゃいます。
そんな方は、もしかしたら「歯肉退縮」を起こしているかもしれません。
今回はインビザライン矯正と歯肉退縮の関係、どんな時に起こりやすいか?起こってしまった時の対処法など詳しくご紹介していきます!
歯肉退縮とは?
歯肉退縮とは、歯の周りを覆っている歯ぐき(歯周組織)が下がってしまっている、または無くなってしまい歯の根っこ(歯根)が露出してしまっている状態を言います。
歯肉退縮を起こしてくると、歯ぐきが下がったような感じ、歯が長く伸びたような見た目になってきます。
また歯と歯の間に隙間が空いてその隙間が黒い逆三角形に見えることから「ブラックトライアングル」と呼ばれています。
歯肉退縮は1日で起きるものではありません。特に歯科矯正をしていると、少しずつ歯が動くのと同時に歯肉退縮を起こしてく場合もあり、毎日目にしていると歯肉退縮に気づかないことがほとんどです。
痛みや大幅に見た目が変わっていることに気づいた頃には手遅れ…なんてこともありますので、気になった時にはすぐに歯科医師に相談するようにしましょう。
歯肉退縮による悪影響とは?
・虫歯
・歯周病
・知覚花瓶
・見た目が悪くなる
・歯が抜けてしまう
歯肉退縮を起こしてしまうと、歯ぐきと歯の間に隙間ができ汚れが溜まりやすくなってきます。また、露出してしまった歯根は、歯の上の部分(エナメル質)よりも弱いので虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
また、歯の根っこが露出してしまっていることにより冷たいものなどが極端に染みる「知覚過敏」を起こしやすくなります。
歯肉退縮を放置すると、歯の周りの組織と骨構造が損傷して、最悪の場合歯を神経を取る処置が必要になる・失ってしまうこともありますので早めの治療が必要になります。
矯正治療で歯肉退縮を起こしてしまう原因
歯肉退縮はインビザライン矯正だけでなく歯科矯正全般に起こりやすいトラブルと言えます。
特に30代以上の成人矯正では歯肉退縮を起こしやすいと言われており、逆に子供は起こしにくいです
矯正治療で歯肉退縮を起こしてしまう原因としては、歯は歯ぐきや歯を支える骨(歯槽骨)が周りを囲っている状態なのですが、矯正で歯を動かしていくとこの歯周組織からはみ出してしまうことがあるためです。
特に下の前歯部分は歯ぐきや歯槽骨が薄いので歯肉退縮を起こしやすい部位になります。
多少はみ出してしまっても歯周組織は徐々に回復し歯ぐきと骨ができてきますが、歯が動くスピードに再生が追いつかないことがあります。
もちろん治療は歯周組織の範囲内で徐々に動かしていくように調整していますが、人によっては歯周組織をはみ出してしまうこともあるのです。
インビザライン矯正では歯肉退縮になりやすい?
インビザラインだけでなく歯科矯正全てに歯肉退縮のリスクはあると言えますが、矯正治療の中でもインビザラインをはじめとするマウスピース矯正に起こりやすいトラブルに「歯肉退縮」が挙げられます。
その理由としては、インビザラインでは、患者様の歯形を元にデジタルでインビザラインのソフトが治療計画を作ってくれます。
コンピューター上では、理想的に歯を動かすことができますが、実際の患者さんの口の中では歯周組織がないところまで歯を動かしてしまっていることがあるからです。
そのため、デジタルで出来上がってきた治療計画をもとに歯科医師がさらに精巧な治療計画を立てる必要があるのです。
歯肉退縮を起こしやすい方
もちろん歯肉退縮を起こすか起こさないかはその人のお口によって変わってきますので、一概にこのパターンは絶対になる!とは言えませんが、こういう方は歯肉退縮を起こしやすいと言われている症例をお話しします。
・歯ぐきの厚さが薄い方
・歯列を拡大する必要がある歯並び
歯ぐきを見ただけではわかりにくいと思いますが、面長の顔の方や歯が縦に長い方は顎の骨が華奢な方が多いです。そのため、歯ぐきも薄い傾向にあり歯肉退縮を起こしやすいと言われています(もちろん起こさない方も沢山いらっしゃいま
また、歯が凸凹に生えてしまっている叢生(そうせい)と呼ばれる不正咬合の方は、歯がキレイに並ぶためのスペースがないために歯列を外側に拡大してスペースを確保する必要があります。
そうすると、部分的に歯周組織の再生が追いつかない部分が発生し、歯肉退縮が発生する事があります。
歯肉退縮を予防するには
歯肉退縮を予防するのは、歯科医師による丁寧な治療計画が重要になってきますが、患者様としてもおこなって欲しいことが「しっかりとしたホームケア」です
プラーク(歯垢)が溜まった状態ですと。歯ぐきに炎症が起こり歯肉炎になっていきます。そして歯肉炎が進行していくと歯周病になっていくのです。
歯周病になると歯ぐきや歯ぐきを支える歯槽骨を破壊していきますので、歯肉退縮の原因にもなっていきます。
特に矯正治療中は汚れが溜まりやすく、歯肉炎を起こしやすいです。歯周病へ進行させないためにも治療前よりさらに丁寧に磨くようにしてくださいね!
そして、もう一つ注意してほしいのが「硬い歯ブラシを使わないこと」です。よく歯ブラシの毛は硬い方が好き!という患者様がいらっしゃいますが、歯科医院では毛の硬い歯ブラシの使用をおすすめしていません。
硬い歯ブラシは歯ぐきにダメージを与え、歯肉退縮の原因になります。普通〜やわらかめの歯ブラシを使うようにしましょう。
歯ブラシの他にも毛束が1本のタフトブラシ、歯間ブラシ、フロスなどの補助清掃用具も使うようにしてくださいね!
矯正中のお口のケアについて不安なことがあれば何でも相談してくださいね
インビザライン矯正中に歯肉退縮を起こしてしまった場合
実は一度歯肉退縮を起こしてしまうと改善させるのは難しいとされているため、矯正治療の段階で歯肉退縮を起こさないように歯科医師が注意深く治療を進めていく必要があります
しかし残念ながらインビザラインで歯肉退縮を起こしてしまった場合、再度歯根部を歯ぐきの方向に戻す様な動きを入れて回復を図るのですが成功率は40%程度になります。
他にも歯肉の再生処置などもありますが、大掛かりで成功率も高くはありません。
歯肉退縮により知覚過敏の症状が出てしまった場合には知覚過敏用の薬を塗布したり、コンポジットレジンと呼ばれる白い樹脂の詰め物などの処置が行われます。
当院のインビザライン矯正について
当院では、透明なマウスピースを用いた矯正装置や、ワイヤーとブラケットを用いて行う矯正装置など、様々な装置を取り扱っています
インビザライン矯正が適応でない方も、ワイヤー矯正では、追加費用はいただかず、目立ちにくいクリアブラケットやホワイトワイヤーに変更することが可能です
当院の矯正治療については以下のリンクからチェックしてみてください
まとめ
今回はインビザラインと歯肉退縮の関係についてお話ししましたが、歯肉退縮は矯正治療全般で起こりやすいトラブルと言えます。
しかしその中でもインビザラインではコンピューター上で計画を立てるために、歯科医師の最終調整がないと歯肉退縮を起こしやすくなるのでベテランの医師の治療が大切です。
また患者様として、しっかりとホームケアをしていただいて歯周病を予防していただくことが重要です。
歯肉退縮は一度起こしてしまったら改善は難しくなります。重度の歯肉退縮までいかないように、ご自身でも毎日鏡で歯の観察を行ってくださいね!
矯正中に何か気にあることがあれば、気軽にご相談して下さい。