歯医者さんに行ったら、歯周病になっていますと言われました。
歯周病ってどんな病気なのですか?
歯医者さんに行ったら、自分では自覚症状がなかったのに、“歯周病になっています”といわれた経験がある方は多いと思います。
歯周病っていわれてもなぁ…、特に痛みもないし、自覚症状もないしなぁ…。治療しなきゃいけないと言われてもなぁ…。
そんなに通えないから、また痛くなったり、症状が出たら治療しようかな…、今回はやめておこう!
と思う方も多いかとおもいます。
今回は、歯周病っていったいどんな病気なのかについて書いていきたいとおもいます
そもそも歯周病ってなに!?
歯周病とは、読んで字のごとく、歯の周りで起こる病気です。
“歯の周りの病気”=歯周病 ということですね。
ちなみに、歯肉炎というのは歯周病の一歩手前の状態です。
歯肉炎がさらに悪くなると、歯周病になります。
では歯周病になると具体的に、歯の周りでなにが起こっているのかというと、
歯を支える骨(専門的な言葉でいうと歯槽骨)が溶かされる病気です。
簡単に言うと、家の地盤がゆるゆるになってしまい、地面の中にしっかりと作った家の基礎が家を支えられなくなってしまい、家が倒れてしまうような状況です。
ときどき、大雨の後の、川が氾濫した時のニュースでみたりしますね。
なんと、日本人の40歳以上の約8割が歯周病に罹っているといわれています。
歯周病の症状(痛みや腫れ)が出始めるのは40~50代が多いのですが、歯周病は、もっと若いうちに静かに進行しています。
静かに…、そしてゆっくりと歯の周りの骨を溶かしていき、進行したところで初めて、歯ぐきが急に腫れた!痛い!(自覚症状)となります。
そのため、静かに進行する病気という意味で、「Silent disease」と言われています。
要は、こっそり進行してなかなか自覚症状が起きにくい。自覚症状が出たときは、だいぶ進行してしまっている病気です。
さらに、歯ぐき(歯肉)の内側は普段見ることは出来ませんので、歯周病が進んでいることを目で確認しにくいのも、進行しやすい理由です。(歯のプロである歯医者さんでも、目で見ただけでは歯周病が進んでいるかどうかは判断できません。プローブといわれる器具を使って実際に検査しないと歯周病の進行具合はわかりわかりません)
むし歯は歯そのものが壊されていく病気ですが、歯周病は歯の周りの骨が溶けてしまい、最後には歯が抜け落ちてしまう病気です。
日々の生活習慣がこの病気になる危険性を高めることから、生活習慣病のひとつに数えられています。
歯周病はどうやってなるの?
歯周病は、細菌の感染によって引き起こされる病気です。
歯周病の始まりは、普段の磨き残しです。食べカスや磨き残しに、細菌が加わると歯垢(プラーク)になります。
この歯垢(プラーク)の中の細菌によって歯肉に炎症をひき起こし、最初のうちは、歯肉が赤く腫れてきます(痛みはほとんどの場合ありません)。
この状態は、歯肉炎と呼ばれ、歯周病の一歩手前の段階です。
さらに放置すると、歯垢(プラーク)は硬くなり、歯石になり、歯の表面に強くくっつき、ブラッシングでは取り除くことができなくなります。
歯石は、細菌の活動基地です。
この歯石の中や周りに更に多くの細菌が入り込み、歯周病を進行させる毒素を出し続けます。
そして、下にあるイラストのように、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の境目が深くなり、歯を支える土台(歯槽骨)が溶けて歯が動くようになり、最後は抜歯をしなければいけなくなってしまいます。
最後に
歯周病にかかるメカニズムと、なってしまってからの経過について、ご理解いただけましたでしょうか。
歯周病が原因で歯が抜けてしまうと、噛む力が弱くなってしまいます。しかも歯周病はだんだんとお口の中全体的に進んでいきます。
だんだんとゆっくり進みますので、歯が少しずつ揺れてきてもなんとなく食事ができてしまいます。
自覚症状が出たときは、お口の中の一部分でも、ほかの場所を調べてみると歯周病が進行しているというのはよくあることです。歯が揺れる、しっかり噛めないとなると、食べられるものの種類が限られてしまいます。
歯を抜いた後は、ブリッジ、入れ歯、インプラントとなりますが、どれも元々の自分の歯にはかないません。
歯を失うことは、生活の質やお口の健康に、大きな影響を与えるのです。
まずは、ご自身の歯を大切にする。これが一番大切で、一番よく噛めて、機能的です。