こんにちは北戸田coco歯科です!
お子さんの成長に伴い、「下の顎が前に出ている気がする…」「何だか受け口気味な気がする」と感じている親御さんがいるかもしれません。
将来的にこのまま受け口になってしまうのか不安を感じている方もいるでしょう。今回は子供の受け口が自然に治るのか、また受け口の治療法についてお話ししていきます。ぜひ最後までご一読ください。
◽️子供の受け口について
まず受け口がどのような状態なのか理解しておきましょう。受け口は「反対咬合」または「下顎前突」と呼ばれています。
下の歯が上の歯よりも前に出てしまっている状態で、一般的に「しゃくれ」た状態です。
受け口になってしまう理由は大きく2つあり、「歯」に問題があるか「骨格」に問題があるかです。この理由については後ほど詳しく説明していきます。
子供でも乳歯が生え揃った状態で受け口になってしまっている子がいます。
受け口のままにしてしまうと、発音がしにくく言葉が話しにくい、食べ物が上手に噛めずに消化不良を起こし適切に栄養が摂取できないなどの問題を起こすことがあるため、矯正治療で改善することをおすすめしています。
◽️子供の受け口は自然に治る?
乳歯は生後6ヶ月ごろから生え始め、3歳ごろに全てが生え揃います。
1歳〜2歳ごろの歯並びの状態(まだ全て生え揃っていない状態)で受け口の状態であっても50%が生え揃う頃には正常の噛み合わせに戻ると言われています。
逆に3歳で全ての乳歯が生え揃っても受け口の場合は、永久歯の生え替わりを経て正常な噛み合わせに戻る可能性は10%以下と言われています。
そのためほとんどのお子さんは乳歯の時点で受け口の場合、永久歯に生え変わってからも受け口になることがほとんどのため、早期の矯正治療をおすすめします。
◽️子供が受け口になってしまう原因
ここではお子さんが受け口になってしまう原因についてお話しします。原因は主に2つに分けられ、「先天的なもの」そして「後天的なもの」があります。
それぞれ詳しくご説明していきます。
・先天的なもの
先天的なもの、つまり生まれつきもったということです。ここでは、歯並びや骨格のことを指し、上の顎が小さい、下の顎が大きい、下の歯が前に倒れているなど遺伝によるものです。
先天的なものでは「歯」と「骨格」の問題どちらも当てはまります。
・後天的なもの
後天的なものとは、生まれてからその人の癖や習慣により起こってしまったものです。指しゃぶりや下唇を噛む、頬杖をつくなど普段からの癖や習慣により下の歯が前へ倒れ受け口になってしまうことがあります。
後天的なものでは「骨格」影響することは稀で、ほとんどが「歯」に影響していきます。
◽️子供の受け口を放置してしまうと
矯正治療にはお金もかかるし、特に命に関わる問題ではないからと受け口のままにしてしまう方も多いですが、受け口を放置してしまうと以下のような問題が出てきます。
◽️喉や鼻が原因で受け口になってしまうことも
乳歯の頃はアデノイド(咽頭扁桃)や口蓋扁桃が肥大すると、呼吸がしにくくなり気道を開こうと下顎を前に出して呼吸するようになります。
それが習慣になり、反対咬合になってしまうことがありますが、小学生ごろになると身体の免疫機能が発達し、アデノイドや扁桃が小さくなるために、自然と反対咬合が改善されることもあります。
アデノイド肥大は2歳〜6歳ごろの子供に見られ、保育園や幼稚園に通うことで様々な菌をもらい、風邪を繰り返すことで肥大を起こしていきます。
参考:バムルンラード病院
・見た目をコンプレックスに感じてしまう
思春期に入ると下顎は成長のピークを迎えるため、それまではそこまで目立たなかった受け口が目立つようになってきます。
下顎が前に出た状態いわゆる「しゃくれ」の状態が気になるようになり、コンプレックスに感じるお子さんが多いです。
人前で話しにくい、見た目に自信が持てないなど性格にも影響してしまうことがあるでしょう。
・顎に負担がかかる
受け口の場合、噛み合わせもずれていることがほとんどですので、正常な噛み合わせの方よりも顎に負担がかかります。
そのため、成長するにつれて顎関節症のリスクが高くなったり、肩こりや頭痛を起こしやすいとされています。
・十分に栄養が摂取できない
受け口などの不正咬合を持っているお子さんは噛み合わせがよくないために、食べ物を細かく噛みちぎったりすり潰したりできないことがあります。
そのため、消化不良を起こしやすく栄養が十分に摂取できないなどの問題を起こしやすいです。
・発音がしにくくなる
受け口の方は言葉を話す際に、上下の歯の間に隙間ができやすく発音が不明瞭になりやすいです。
特に「さ行」や「た行」が言いにくくなり、人によっては聞きにくいと感じられてしまうかもしれません。
◽️子供の受け口の治療法
お子さんが受け口の場合は治療法は歯列矯正になります。
矯正治療でも、早い段階から行う「小児矯正」と「成人矯正」があり、受け口の場合は顎の骨の成長が終わる前の早い段階から治療を始めることをおすすめしています。
ここでは、主な治療法についてお話しします。
小児矯正の矯正方法
・ムーシールド(マウスピース型)
ムーシールドは受け口を改善するためのマウスピース型の矯正装置になり、3歳ごろから治療が可能です。通常のマウスピース矯正と違い、歯を動かすのではなく上顎の成長を促進させ、お口周りの筋肉を整える装置です。
寝ている時だけ装着すればいいため、負担も少なく小さなお子さんでも使用しやすいです。約1年ほど使用していくことで受け口が改善されていきます。
ただし、成長期になると再び受け口に戻ってしまうこともありますので、そのほかの矯正治療が必要になることもあります。
・プレオルソ(マウスピース型)
参考:「プレオルソ」こども歯並び矯正法
マウスピース型の装置になり、ムーシールドと同じように歯を動かすのではなく、装着することで口周りの筋肉を改善することで歯並びをよくする装置です。
一日の中で日中1〜2時間と就寝中の装着が必要になります。
プレオルソはムーシールドを改良したものになり、ほとんど見た目は同じですがプレオルソの方が弾力があり、お子さんによっては装着しやすいといった声も聞こえます。
構造上の違いとしては、プレオルソの方には上の前歯を押す「舌側バンパー」がついています。ただし耐久性の面ではムーシールドの方が上です。
当院でお子さんのプレオルソ矯正を取り扱っております。
・拡大床
小児矯正の中でも最も主流な装置です。装置についているネジを定期的にまわしながら顎を徐々に拡大していく装置です。
お子さんの顎の成長に合わせて拡大していくために負担がなく、歯が正しい方向へ生えるサポートをしてくれます。
取り外しが可能なので、歯磨きや食事も通常通りすることができます。
・上顎前方牽引装置
7歳ごろから装着できる装置です。顎を覆うような顔に被せる取り外しタイプの装置で、上顎を前方に成長させ、同時に下顎の成長を抑制します。
基本的に就寝中に装着します(1日に10時間程度)
成人矯正の矯正方法
永久歯が生えそろってから行う矯正方法です。
・ワイヤー矯正
一般的に矯正治療と聞いてイメージされるワイヤータイプの矯正方法になります。ブラケットを歯の表面に固定し、ワイヤーを通し牽引力で歯を動かしていきます。
最も歴史が長く、ほとんどの症例に対応することができます。
・マウスピース矯正
インビザラインやクリアコレクトなど最近ではワイヤー矯正と同じぐらい主流になってきている矯正方法です。透明なマウスピース矯正を装着し、定期的に新しいマウスピースに交換しながら歯を動かしていきます。
最も有名なマウスピース矯正のインビザラインでは子供専用のコースもあり、小児矯正後にインビザラインで歯並びを整えることもあります。
◽️子供の受け口の治療を始めるタイミングは?
お子さんの受け口の治療を始める最もベストなタイミングは4歳〜6歳です。
これは乳歯が生え揃った後、そして顎の成長がまだ途中であるという点が理由です。下顎の成長は男の子で12歳、女の子で10歳ごろにピークを迎え、その後は骨格が完成してしまうため、矯正治療で骨格を改善するのはとても難しくなります。
4歳ごろから早期の治療を行うことで、顎の成長を利用して骨格から改善することができ負担なく受け口を改善することができます。
また、早すぎるのでは?と思わず、乳歯が生え揃ってきたらまず一度歯科医院で相談してみましょう。
◽️早期に矯正治療を行うメリット
受け口の治療を早期に行うことはたくさんのメリットがあります。
・顎の成長を利用できる
・歯が動きやすい
・歯や顎への負担が少ない
・治療費を抑えられる
・抜歯の可能性が低くなる
・後戻りしにくい
成人になってから受け口を治療しようとすると、顎の外科手術が必要になったりと、とても負担の大きい治療になります。
子供の頃からアプローチすることで、親御さんにもお子さんにも負担の少ない治療ができますので、できるだけ早めに対処していきましょう。
◽️まとめ
今回は子供の受け口についてお話ししました。乳歯の時の受け口の場合は自然に治癒することもありますが、ほとんどの場合は永久歯に生え変わっても受け口のままであることが多いです。
受け口を放置してしまうと見た目のコンプレックスや噛み合わせの悪さからくる顎関節症や肩こり、そして発音の悪さなどにつながってしまいます。
できるだけ早い段階で矯正治療をスタートし、受け口を治療されることがベストな方法です。
当院でもお子さんの矯正治療に力を入れており、豊富なオプションをご用意しています。子供の歯並びで不安なことがある場合はお気軽にご相談ください。
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