こんにちは北戸田coco歯科です!
子供の指しゃぶりはかわいらしい瞬間として映りますよね。しかし、長期間にわたって続く指しゃぶりは、子供の歯並びに悪影響を及ぼす可能性があることをご存じですか?
本記事では、子供がなぜ指しゃぶりをするのか、その習慣が歯並びにどのような影響を与えるのか、辞めさせる方法などについて解説します。
◽️子供の指しゃぶりは歯並びに影響する?
3歳頃までの指しゃぶりは自然な行為であるため歯並びに問題はありません。しかし、指しゃぶりは上顎に指を押し付けて吸うため、お口の圧力が高まり、以下のような不正咬合(悪い歯並び)を引き起こす可能性があります。
・開咬(かいこう)
開咬とは、奥歯が噛み合っても上下の前歯の間に隙間が生じる状態です。親指で上下の前歯を歯ぐきの方向に押してしまうために生じてしまいます。
・上顎前突(じょうがくぜんとつ)
いわゆる出っ歯のことです。指しゃぶりによって前歯を前に押し続けてしまうと、上の前歯が前方に突出し、出っ歯となります。
・叢生(そうせい)
指しゃぶりで下の前歯を押し続けることで歯並びのアーチが狭くなり、歯が不規則に並ぶガタガタの歯並びになります。
・片側性交叉咬合(へんそくせいこうさこうごう)
指しゃぶりで歯を一定方向に押し続けると、上下の奥歯が横にずれて中心が合わない状態になります。
参考:テーマパーク8020
◽️歯並びが悪くなることで起こり得るリスク
指しゃぶりによって歯並びが悪くなると、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
・口呼吸になる
本来呼吸は鼻でするものです。指しゃぶりによって開咬や出っ歯が生じると、口を閉じるのが難しくなり口呼吸が習慣化しやすくなります。
口呼吸が続くと舌の位置が下がる低位舌(ていいぜつ)が生じ、上顎に舌を接することができません。上顎に適切な刺激を与えられず、成長が妨げられ歯列が狭くなるなどの問題が生じます。
また、口呼吸は鼻毛や粘膜によるフィルタリングが行われず、ウイルスや細菌を含む空気を直接肺に吸い込んでしまうため、風邪を引きやすくなるという健康上のリスクも高まります。
・発音が不明瞭になる
指しゃぶりの習慣が長期間続くと、前歯に隙間が生じることがあります。この隙間が原因で発音する際に空気が漏れやすくなり、「さ」「た」「ら」行のはっきりとした発声が困難になる可能性があります。
・顔や体が歪んでしまう
片側性交叉咬合は顎の位置がずれている状態で、顔の左右のバランスに影響を及ぼすことがあります。また、顎の歪みは頭部や体などほかの部分にも影響を及ぼし、姿勢を崩す恐れがあります。
◽️子供が指しゃぶりをする理由
指しゃぶりは胎内にいるころから始まることが多いです。以下のように子供が安心感を求めているときに無意識のうちに行われます。
・眠いとき
子供は眠りにつく際に安心感を求め、母親の乳首を吸う行為に似た感覚を指しゃぶりで得ることがあります。
・寂しいとき
子供が寂しさを感じると、精神的な安定を求めて指しゃぶりを行うことがあります。
◽️指しゃぶりは早めに辞めさせるべき?
3歳頃までの指しゃぶりは、精神的な安定や成長過程の一部として行われるため、即座にやめさせる必要はありません。ほとんどの場合成長とともに自然に減少します。
しかし、3歳を過ぎてからも指しゃぶりが続く場合は、歯並びに悪影響を及ぼす可能性があるため段階的にやめさせる方向で努力する必要があります。
◽️子供の指しゃぶりの辞めさせ方
指しゃぶりの辞めさせ方は、子どもの成長段階に応じて異なります。以下は、年齢別の対応策です。
・1歳未満
乳児期の指をしゃぶったり、おもちゃを口に入れる行為は、自分で食べ物を食られるようになるための移行期間です。生まれてから1歳までの赤ちゃんは目にしたものを手でつかみ、口に運ぶ練習をします。
これを「探索反射」と言います。この時、くわえた指や物を吸う「嚥下反射」が見られます。
探索反射と嚥下反射をまとめて「哺乳反射」と言い、赤ちゃんが母乳やミルクを効率よく飲むための本能的な行動です。この時期に清潔で安全なおもちゃを与えることで指しゃぶりへの依存を減らせます。
・1~2歳頃
指しゃぶりをやめるための理解が得やすくなり、対処できる成長段階にあります。この時期の指しゃぶりは、ストレスや生活環境の変化が原因であることが多いです。
そのため、指しゃぶりを即座にやめさせようと叱ってしまうと逆効果になります。外遊びや手を使う遊びを増やし、指しゃぶりに頼る機会を減少させましょう。
・3歳頃
社会性が発達するにつれ、自然とやめたいと思うようになります。友達との遊びや習い事など、社会的な活動を通じて指しゃぶりが自然に減少していくことが期待できます。
指しゃぶりをしている子供に対しては、厳しい叱責よりも励ましとサポートが重要です。
3歳以降であっても指しゃぶりが短時間であり、特に歯並びやあごの成長に問題がない場合は、無理にやめさせる必要はありません。子供とって機嫌が悪い時や寝る前など精神的な安定を求めるために行う行動であるため、見守ることが大切です。
一方で、寝ている間を含めて一日の大半を指しゃぶりして過ごしている場合や、4歳を過ぎても続いている場合は、やめさせるためのサポートを始めましょう。
◽️自宅でできる指しゃぶり対策
3歳以降の指しゃぶりは、早めにやめさせる必要があります。実際にどのような方法が効果的なのか、自宅でできる指しゃぶり対策を紹介します。
・指しゃぶりのデメリットを優しく説明する
指しゃぶりのデメリットを子どもが理解できるように優しく説明します。たとえば、歯並びが悪くなる可能性や細菌感染など、具体的な例を挙げて説明すると効果的です。
・外で遊んでストレスの発散させる
外遊びを取り入れてストレスを発散させる方法も有効です。身体を動かすことで気分転換になり、指しゃぶりを減らせます。
・コミュニケーションを取って安心感を与える
親子のコミュニケーションを深めることで、子どもが安心感を得られるようにしましょう。たとえば、一緒に本を読むなどが効果的です。
・指に絆創膏やテープを貼る
指に絆創膏やテープを貼ることで、物理的に指しゃぶりを妨げます。
・指しゃぶりを防止の特殊なマニキュアを塗る
指しゃぶりを防止する特殊なマニキュアを塗ることも一つの手段です。マニキュアには苦味があり、子どもが指を口に入れるのを自然と避けるようになります。インターネット通販などで簡単に手に入ります。
◽️小児歯科で行う指しゃぶりの対策
指しゃぶりによって歯並びが悪化していたり、発音に問題が見られる場合は、小児歯科での治療が必要になる場合があります。
治療には、指しゃぶり防止または減少させるためのマウスピース型の装置や拡大装置などを使用します。
これらの装置は指しゃぶりを辞めさせるだけでなく、顎の成長の発達を促進することに重点を置いているものです。将来的な歯並びや顔のバランスにも良い影響を与えることが期待できます。
指しゃぶりが心配な場合は、早めに小児歯科を受診することをおすすめします。
◽️まとめ
3歳頃までの指しゃぶりは、子供の成長過程で見られる自然な行動です。
しかし、この習慣が長引くと将来の歯並びやお口の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、3歳頃を目安にやめさせることが重要です。
自宅での対策だけでは改善が難しい場合は、小児歯科に相談すると良いでしょう。
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