こんにちは。北戸田coco歯科です。
「3歳の子の歯ぎしりってそのままにしておいても大丈夫?」
【答え】
3歳の子どもが歯ぎしりをしている場合は歯医者さんへの相談が必要です。
* * *
その理由は、歯ぎしりのクセがあると今後の成長や歯並びにも影響するからです。
乳幼児の歯ぎしりは問題ありませんが、3歳頃は乳歯がほとんど生え揃うのでちょっと事情が異なります。
ここでは3歳の子どもの歯ぎしりの原因とお家でできる対策、歯医者さんに行ったほうがいいケースを北戸田coco歯科の小児歯科担当医、田口世理奈医師がご紹介します。
- 【経歴】
- ・日本大学歯学部 卒業
- ・日本大学歯学部歯学研究科歯学専攻修了 博士号取得
3歳以上のお子さんの歯ぎしりが気になる方は、ぜひお読みくださいね。
1. 3歳の子どもの歯ぎしりの原因
3歳の子どもの歯ぎしりには大きく3つの原因が考えられます。
- ・咬み合わせの異常によるもの
- ・歯ぎしり以外の悪癖によるもの
- ・ストレスによるもの
一つずつ詳しく解説していきますね。
1-1. 咬み合わせの異常によるもの
3歳になると乳歯がほとんど生え揃います。
しかし、咬み合わせに異常があると左右のあごのバランスが崩れてしまうため、体がバランスを保とうとして歯ぎしりを起こすことがあります。
この場合の歯ぎしりは寝ている間だけでなく、昼間にも無意識に行っていることが多いです。
1-2. 歯ぎしり以外の悪癖によるもの
歯ぎしり以外のクセが原因で咬み合わせが悪くなり、間接的に歯ぎしりを引き起こしている場合です。歯ぎしりを引き起こすクセとは以下のようなものです。
- ・指しゃぶり
- ・爪噛み
- ・下唇を噛む
もしも心当たりのものがある場合は、クセを改善させることが大切です。
なぜなら、歯並びや咬み合わせがますます悪くなる可能性が高いからです。
咬み合わせが悪いと慢性的な消化不良のほか顎関節症や背骨が曲がる可能性があり、治療が必要になります。
これらのクセを治すには、後半の「4. 歯医者さんで行う歯ぎしり改善の治療」でご紹介しますね。
1-3. ストレスによるもの
子どもは大人に比べて経験がありません。そのため、少しのことでもストレスになってしまうことがあります。
大人は経験があるので不安を解消する方法を身に着けていますが、子どもにはまだそれがありません。
そのため、我慢する場面が多いと寝ている間に無意識に歯ぎしりするとされています。
子どもがストレスを感じる代表的な例は、
- ・下に弟や妹ができた
- ・引っ越しをした
- ・幼稚園や保育園への入園
などです。
それぞれについてもう少し詳しくお話しますね。
1-3-1. 下に弟や妹ができた
下に弟や妹ができると、ストレスになることが多いです。
なぜなら、今まで自分にだけ割かれていた時間が弟や妹に持っていかれ、親の興味や愛情が薄れたと感じて不安になるからです(見捨てられ不安)。
3歳くらいの子どもは親が自分の存在の大きな拠り所になっています。
そのため、どんなに聞き分けの良い子で「ママは赤ちゃんのお世話で大変」と意識的に分かっていても、無意識に我慢してストレスが溜まってきます。
1-3-2. 引っ越しをした
引っ越しは子どもにはストレスの大きな要因です。なぜなら環境がガラリと変わるからです。
いくら家族が一緒とは言え、知らない場所・知らない人だらけの中に移ることは不安やストレスにつながります。
1-3-3. 幼稚園や保育園への入園
幼稚園や保育園への入園がストレスになることもあります。
生活環境の変化ということもありますが、お友達との関係も生まれるからです。
幼稚園や保育園への入園では、おもちゃを他の子どもと共有することになりますね。
家では自分の思い通りになることが普通だったのに、他の子どもと共有すると思い通りになりません。
子どもはそこに戸惑いや不安を感じてしまうのです。
このように、子どもには子どもの世界と目線があり、大人にとっては大したことではないことも子どもにとってはストレスで、歯ぎしりの原因になることがあります。
2.おうちでできる3歳の子どもの歯ぎしりの対策
3歳の子どもの歯ぎしりをおうちで改善するには、3つの方法があります。
- ・リラックスできる環境をつくる
- ・存在を常に認めていることを伝える
- ・正しい姿勢で座る
一つずつ説明していきますね。
2-1. リラックスできる環境をつくる
1つ目は、リラックスできる環境を作ることです。なぜなら、昼間リラックスできる場面が多くなると安心感が増し、寝ている間の歯ぎしりの原因である「ストレス」が緩和されるからです。
子どものリラックスは、安心できる親兄弟と過ごすことで得ることができます。
■おすすめの子どもとの過ごし方
- ・1日1回一緒に散歩する時間を決める
- ・お料理のお手伝いをしてもらう(一緒に行うのが大切です)
- ・忙しくても家事の手を少し止めてお話を聞く
- ・寝る前に読み聞かせをする
親が機嫌がいいと子どもはそれだけで安心します。いつも笑顔でいることや、家事をしているとき鼻歌を歌ったりするのもおすすめですよ。
2-2. 存在を常に認めていることを伝える
存在を常に認めていることを伝えると、子どもは「ちゃんと見てくれている」と感じて安心し、夜間の歯ぎしりが減少します。
なぜなら、人は認められていると確信できると信頼感が生まれ、一緒にいないときでも安心感が増すからです。
具体的には「褒める」のが一番分かりやすいです。
褒めるというと、なにかできた時にすることと思いがちですが、何かを積極的・自主的にしている時にも褒めると効果的ですよ。
例えば、いやなことでも頑張ってしている時や、自分からお片付けをしている時などです。
その際に、つい「さすがお兄ちゃんだね」などと言ってしまいがちですが、「お兄ちゃんだから」「お姉ちゃんだから」という言葉は使わないようにします。
立場に関係なく、あくまでその子自身について認めるためです。
安心感が増えるとストレスが減り、歯ぎしりもなくなる可能性が高くなります。
2-3. 正しい姿勢で座る
歯ぎしりをしている子どもは往々にして姿勢も悪いです。日頃から自然と正しい姿勢になるような配慮をしましょう。
具体的には、朝夕ごはんを食べる時に必ず座る食卓の椅子です。
背もたれがあり、足がきちんと床につくようなものを用意しましょう。
もしもテーブルが高い場合は、座高が高くなるように椅子の上にクッションや座布団を置き、足元に踏み台などを置くのがおすすめです。
子ども用の食卓チェアなども良いですね。
3. 歯医者さんの受診が必要なケース
歯医者さんの受診が必要なのは、以下のようなケースです。
- ・歯がすり減って平らになっている
- ・食べ物や飲み物が歯にしみる
- ・あごを痛がる
歯ぎしりのしすぎで歯がすり減って平らになると、咬み合わせや永久歯の歯並びに影響を及ぼします。
歯の表面が削れている状態なので、神経にさわって知覚過敏も起こしてしまいます。
あごを痛がる場合は顎関節症の疑いがあるので、早めに受診しましょう。
4. 歯医者さんで行う歯ぎしり改善の治療
歯医者さんで歯ぎしりを改善する治療には、以下の3つの方法があります。
- ・ナイトガード(マウスピース)
- ・歯列矯正
- ・認知行動療法
分かりやすく説明しますね。
4-1. ナイトガード(マウスピース)
ナイトガードとは、夜間寝ている間につけるマウスピースです。
ナイトガードは歯と歯の接触を防ぐので、寝ている間の歯ぎしりで歯が擦り切れたり折れたりするのを予防することができます。
4-2. 歯列矯正
咬み合わせの悪さが原因の歯ぎしりは、歯並びの矯正を行うことで改善できます。
子どもの歯列矯正はワイヤー矯正ではなく、あごの成長を利用して行う拡大床や口腔トレーニングなので痛くありませんよ。
詳しい内容は以下の記事で紹介していますので、参考にしてくださいね。
▶一期治療|就学前の子どもの歯の矯正の方法や期間を詳しく解説!
4-3. 認知行動療法
認知行動療法とは、考え方を変えることで行動を改善していくというものです。
歯ぎしりに対しては、リマインダーという方法を行うことが多いです。
リマインダーとは「思い出したらやめる」という簡単なもの。
具体的には、テレビやテーブル、ドアなどよく目にするところに付箋やシールを貼っておき、それを目にしたら歯ぎしりをやめるなどの方法があります。
点数表などを作ってできたら印をつけ、印の多い日にはご褒美がもらえるなど楽しみながらやると、歯ぎしりを無理なく改善できますよ。
5. まとめ
3歳の歯ぎしりは、その後の歯並びや顔の骨格にも影響するので、意識的に改善する必要があります。
今回ご紹介したおうちでできる対策と、歯医者さんでの治療をうまく組み合わせて、お子さんの歯ぎしりを改善しましょう。
北戸田coco小児歯科では、子どもの歯の専門家が歯の治療や相談に当たっています。困ったこと・気になることがあったらお気軽にご相談くださいね。
- ◆この記事のまとめ
- 1. 歯ぎしりの原因は咬み合わせの異常、悪癖、ストレス
- 2. おうちでできる3つの対策
- ・リラックスできる環境をつくる
- ・存在を常に認めていることを伝える
- ・正しい姿勢で座る
- 3. 歯医者さんの受診が必要なケース
- ・歯がすり減って平らになっている
- ・食べ物や飲み物が歯にしみる
- ・あごを痛がる
- ・3歳を過ぎても指しゃぶりが治らない
- 4. 歯医者さんで行う歯ぎしりのち療法
- ・ナイトガード(マウスピース)
- ・歯列矯正
- ・認知行動療法