こんにちは。北戸田coco歯科です。
「うちの子、最近口臭が強いけどどこに相談すればいいのかな…」
はい、それは歯医者さんに相談できますよ。
幼児や小学生でも口臭が出ることがあります。その原因の多くは虫歯や口呼吸などの「お口の中の問題」。
お口のことは、お口の専門家である歯医者さんにお任せくださいね。
ここでは子どもの口臭の原因と対策について、北戸田coco歯科の小児歯科担当医、田口世理奈医師が詳しく解説していきます。
- 【経歴】
- ・日本大学歯学部 卒業
- ・日本大学歯学部歯学研究科歯学専攻修了 博士号取得
お子さんの口臭が気になる方は、是非チェックしてくださいね。
1. 子どもの口臭の主な原因は口呼吸と虫歯
子どもの口臭の原因の主なものは、口呼吸と虫歯です。
なぜ虫歯と口呼吸で講習になるのか、そのメカニズムについて、わかりやすくご紹介しますね。
1-1. 口呼吸が口臭の原因になる理由
子どもの口臭の原因で一番多いのは口呼吸です。口呼吸をすると、お口の中の唾液が少なくなって雑菌が増えてしまうからです。
口臭の元々の原因は、お口の中の剥がれ落ちた粘膜や食べカスなどのタンパク質を、お口の中の雑菌が分解するときに出るガスです。
ただ、唾液には抗菌成分が含まれていて、通常は細菌の繁殖を弱めて口臭が強くなるのを防いでいます。
でも、お口の中が乾いて唾液の量が少なくなると、唾液の機能がうまく働かなくなって口臭がきつくなるのです。
1-2.虫歯が口臭の原因になる理由
お口の中に虫歯があっても、口臭の原因となります。
あまり知られていませんが、虫歯菌には独特の悪臭があります。虫歯の原因となる白くてネバネバした歯垢にも同じ臭いがあります。
この虫歯や歯垢の臭いは、生ゴミのような臭いです。
困ったことに、歯垢は放っておくと臭いだけでなく歯ぐきに侵入して歯肉炎を起こしてしまいます。これは、歯周病の初期症状です。
お子さんのお口から生ゴミのような臭いがしたら、虫歯や歯肉炎の疑いがあるでしょう。
2. 口臭は体の不調が原因になることもある
口臭は、体の不調が原因になることもあります。
体の中に口臭の原因がある場合は、
- ・腸内環境が悪い
- ・副鼻腔炎
- ・扁桃炎
- ・自家中毒症
などが原因です。それぞれ詳しく説明しますね。
2-1. 腸内環境が悪い
腸内環境が悪くなるのは、お肉やスナック菓子ばかり食べていることが原因です。その理由はガスが溜まりやすくなるためです。
腸内環境が悪いと、便秘や下痢気味になり、ガスが溜まりやすくなりますね。そのガスが血管に入り込んで全身を流れます。
喋ったり息を吐いたりした時に口臭が気になるのは、内蔵に循環しているガスがお口の中から放たれてしまうからです。
腸内環境が悪くなるとうんちのような口臭がすることがあります。
2-2. 副鼻腔炎
副鼻腔炎とは、いわゆる蓄膿症(ちくのうしょう)です。副鼻腔炎は、鼻の横にある大きな空洞に膿がたまることをいいます。
副鼻腔炎になると口臭が起こるのは、鼻と口は中でつながっているため膿の臭いがお口から出てしまうからです。
副鼻腔炎になると口臭だけでなく、ひどい頭痛や顔の痛みなどもあります。
2-3. 扁桃炎
扁桃(へんとう)は喉の奥にあるゴミを見分けるフィルターの役割をしているものです。高熱の後などで扁桃が腫れると、扁桃にたまった膿が白い玉となって詰まります(いわゆる「におい玉」)。
口臭の原因は、この膿が潰れることです。膿の玉が潰れると、とても臭いにおいがします。
2-4. 自家中毒症(周期性嘔吐症)
自家中毒症とは、緊張のしすぎやストレスがたまりすぎると短い周期で嘔吐を繰り返してしまう症状のことです。
嘔吐すると、胃液が出るので酸っぱい臭いがします。頻繁に嘔吐すると、酸っぱいような口臭が出ることがあります。
幼稚園や学校、習い事などで緊張する場面やストレスがたまる状態が続くと起こることが多いです。
3. 子どもの口臭を改善するための4つの対策
子どもの口臭は、意外にも色々な原因があります。それに対しての対策は、以下のようになります。
原因 | 対策 |
口呼吸 | 歯並びや咬み合わせを矯正する |
虫歯 |
お口のケアを見直す |
腸内環境・副鼻腔炎・扁桃炎 | 体の病気を治す |
自家中毒症 | ストレスを発散させる |
それぞれの口臭の原因の対策を詳しく説明しますね。
3-1. 口呼吸|歯並びや咬み合わせを矯正する
口呼吸による口臭は、歯並びや咬み合わせを治すことで改善できます。なぜなら、口呼吸の大きな原因は歯並びや咬み合わせの悪さにあるからです。
歯並びや咬み合わせが悪いと、鼻の中の空気の通り道(鼻腔)が狭くなってうまく鼻で息をすることができません。すると、口で呼吸をせざるを得なくなってしまいますね。
歯列矯正や顎顔面矯正をして口呼吸から鼻呼吸に戻してあげることが重要です。子どもの歯並びや咬み合わせの多くは、ワイヤーを使わない矯正で治療することができますよ。
歯並びや咬み合わせが気になる場合は、一度歯医者さんに相談してみましょう。
3-2. 虫歯|お口のケアや生活習慣を見直す
■お口のケアを見直す
虫歯や歯肉炎による口臭は、お口のケアを見直すことで改善できます。お口のケアとは、主に歯みがきのやり方です。
食後はすぐに歯磨きをさせましょう。寝る前の歯磨きは特に重要です。
歯みがきの正しいやり方や仕上げ磨きの方法は、以下のページで詳しく紹介していますので、参考にしてくださいね。
▶子どもの歯磨きで気をつけることは?正しい方法や嫌がる時のアイデア
■決まった時間に食べる
決まった時間に食べると口臭を改善することができます。なぜなら、お口の中の衛生を保てるからです。
常に何かが口の中に入っている状態や間食をたくさんしていると、唾液の持つお口の中をきれいにする力がうまく働かず、不衛生になります。
【唾液がお口の中をきれいにするしくみ】
食事をする ↓ 歯の表面が食べ物の酸によって溶ける ↓ 唾液が溶けた部分を修復する ↓ 食事をする ・ |
唾液が溶けた部分を修復するのは、食後30分後くらいから次の食事までゆっくりと行われていきます。
でも、ダラダラ食べていると唾液の力が追いつかず虫歯になってしまうのです。
ダラダラ食べるのはやめて、食事やおやつの時間を決めてその時間だけに食べるようにしましょう。
3-3. 腸内環境・副鼻腔炎・扁桃炎|体の病気を治す
腸内環境や副鼻腔炎、扁桃炎などがある場合は、悪い部分を治すことが口臭改善につながります。
腸内環境が悪い場合は、食物繊維も一緒に摂るようにすると良いでしょう。食物繊維は根菜類やブロッコリーなどの野菜から摂るのが理想的です。
野菜が嫌いな場合は海藻類や寒天ゼリーなどからも採れるので、上手に利用してみてくださいね。
副鼻腔炎、扁桃炎の疑いがある場合は耳鼻咽喉科にかかりましょう。悪いところが治れば口臭も改善されるはずです。
3-4. 自家中毒症|ストレスを発散させる
幼稚園や学校などでひんぱんに吐いてしまう場合は、自家中毒症(周期性嘔吐症)の疑いがあります。
大人からみると「こんなことで緊張するわけない」「ストレスがたまるはずはない」と思っても、子どもにとっては緊張する場面であったりストレスが溜まってしまったりすることがあります。
様子を見てたくさん遊んであげる・大声で笑う場面を作るなど、ストレスを発散させてあげましょう。緊張する場面を減らすことも重要です。
子どもは先生や親の期待に答えようと、頑張りすぎてしまうことがあるため、できることよりも頑張ったことを褒めたり、昨日よりも今日できたことを褒めたりするのがおすすめです。
4. まとめ
子どもは相手を思いやるすべをまだ身につけていない分、残酷で無頓着な反面、一人ひとりはとても繊細だったりします。口臭はからかいの対象にもなりかねないため、ぜひ改善したいですね。
口臭は自分でも気にしていると思うので、ぜひ早めに原因をみつけて対処してあげてください。
北戸田coco小児歯科では、子どもの歯の専門家が歯の治療や相談に当たっています。困ったこと・気になることがあったらお気軽にご相談くださいね。
- ◆この記事のまとめ
- 1. 子どもの口臭の原因は口の中と体からの2種類
- 2. 口の中が原因の場合は口呼吸と虫歯・歯肉炎
- 3. 体の中が原因の場合は腸内環境、副鼻腔炎、扁桃炎など
- 4. 口呼吸は歯並びや咬み合わせを矯正すると治ることが多い
- 5. 虫歯や歯肉炎は、歯みがきや生活習慣を見直す
- 6. 副鼻腔炎や扁桃炎は耳鼻科で治す
- 7. 自家中毒症の場合は緊張やストレスを緩和する工夫を