こんにちは。北戸田coco歯科です。
「子どもの永久歯が変な場所から生えてしまった!」
「変な場所から生えてきた歯はどうすればいいの?」
永久歯が変な場所から生えてくる原因は、あごの成長速度や歯が生える時期のバランスが崩れるからです。
これは意外とよくある現象で、意外と特別なことではありません。
ただし、子どもの永久歯が変な場所から生えてきた場合は、そのままにしておいてはいけません。
なぜなら、できるだけ早く対処しないと、その後の歯並びや咬み合わせに影響してしまうからです。
ここでは、北戸田coco歯科の小児歯科担当医、田口世理奈医師が、子どもの永久歯が変な場所から生えてきた場合の原因と対処法を詳しく解説します。
- 【経歴】
- ・日本大学歯学部 卒業
- ・日本大学歯学部歯学研究科歯学専攻修了 博士号取得
子どもの永久歯が変な場所から生えてきて心配な人は、ぜひ読み進めてくださいね。
1. 子どもの永久歯が変な場所から生えてくる原因
子どもの永久歯が変な場所から生えてくる原因は、大きく2つです。
- ・あごの成長速度が遅く、あごが小さい
- ・歯が生える順番によってスペースがなくなる
ひとつずつ説明しますね。
1-1.あごの成長速度が遅く、あごが小さい
永久歯が変な場所から出てくる原因は、あごの成長速度が遅くあごが小さいからです。
日本人のあごの骨格は、欧米人に比べて小さいです。
しかも、上あごは基本的に成長しにくい(劣成長)と言われています。
あごが小さいと、歯が並ぶためのスペースがなくなり別の場所を探して出てきます。
そのため、本来の場所からズレて生えてくることがあるのです。
1-2. 歯が生える順番によってスペースがなくなる
永久歯が変な場所から出てくる2つ目の原因は、歯が生える順番が異なり歯が生えるスペースがなくなるからです。
どういうことかというと、乳歯から永久歯への生え変わりはだいたい以下のような順番です。
- 1. 前歯
- 2. 前歯の隣
- 3. 奥歯
- 4. 犬歯
しかし、実は歯が生えてくる順番は人によってまちまち。順番通りに生えてくるとは限りません。
そのため、順番が前後すると後から生えてくる歯のスペースがなくって、元来生えてくる場所からズレて生えて来てしまうのです。
2. 永久歯が変な場所から生えてくるケースは大きく2つ
子どもの永久歯が通常とは違う変な場所から生えてくる場合、ほとんどは以下の2つのケースです。
- ・上の前歯の上に生えてくるケース
- ・乳歯の内側に生えてくるケース
それぞれについて詳しく説明していきますね。
2-1. 上の前歯の上に生えてくるケース
上の前歯の上に生えてくる状態とは、上の前歯の斜め上に先の尖った歯(犬歯)が生えてくる場合です。
最初は前歯の上がなんとなくこんもりしていて硬くなり、気づいたら生えているというケースが多いです。
左右どちらかに1本だけ生える場合もありますし、左右両方に生えてくる場合もあります。
2-2. 乳歯の内側に生えてくるケース
もう1つのケースは、乳歯が抜ける前から乳歯の内側に永久歯が生えてくるものです。
下の歯の前歯の内側に多く、他にも側面の歯や奥歯のあたりに生えてくる場合があります。
3. 子どもの永久歯が変な場所から生えてきた場合の対処法
永久歯が変な場所から生えてしまった場合、以下の2つのケースによって対処法が異なります。
- ・前歯の上に生えた場合→矯正や抜歯をする
- ・歯の内側に生えた場合→様子を見る
それぞれ詳しく説明していきますね。
3-1. 前歯の上に犬歯が生えてきた場合|矯正や抜歯をする
前歯の上に犬歯が生えた場合は、できるだけ早い段階で対処する必要があります。なぜなら、そのまま放置すると歯並びが悪いまま骨格が成長してしまうからです。
歯並びが悪いまま骨格が成長してしまうと、下あごが出たり出っ歯になったり、顔が歪んだりする恐れがあります。
前歯の上に犬歯が生えてきたときの対処方法には、
- ・矯正治療をする
- ・乳歯を抜く
の2つがあります。
■矯正治療をする
1つ目の方法は、矯正治療です。
犬歯が出てくるのは他の永久歯がほとんど生え変わった後なので、ふだんあまり使わない他の永久歯を抜いてスペースを作ります。
矯正治療をして歯が並ぶスペースを作れば、永久歯を抜かずにきれいに並べられる可能性が高いです。
■乳歯を抜く
1つ目は、乳歯を早めに抜くという方法です。
いずれ抜ける乳歯を早めに抜いてスペースを作ることで、きれいな歯並びにします。
抜く乳歯は、犬歯のすぐ下の歯です。
抜歯直後は一時的にすきっ歯のようになりますが、犬歯がだんだん下に降りてきて通常の歯並びになります。
※もしも思い通りに歯が並ばない場合には、矯正で歯を誘導することもあります。
どちらの方法にするかは、上あごの大きさや歯の状態などを見て歯医者さんが判断します。
このように、歯医者さんの判断によって対処法が変わってくるので、前歯の上から犬歯が生えてしまった場合は早めに歯医者さんに相談するのがおすすめです。
3-2. 乳歯の内側に生えてきた場合は様子を見る
乳歯の内側に永久歯が生えてきた場合は、ひとまず様子を見ます。なぜなら、乳歯が自然に抜ければ正しい歯並びになる可能性があるからです。
乳歯の内側に歯が生えると、乳歯が永久歯の邪魔をしていると思いがちです。
でも、永久歯は生えるスペースがないので生えやすい場所に生えてきただけです。
永久歯が大きくなると乳歯の根っこに触れるのですが、根っこに触れると永久歯は乳歯を吸収し、乳歯はグラグラして自然に抜けるようになります。
歯は意外と動くので、最初は内側に生えていた永久歯も成長に伴って前に出てくるので心配いりませんよ。
もしも、いつまでたっても乳歯が抜けない場合は歯医者さんに一度相談しましょう。
いつまでも乳歯が抜けないと虫歯になる可能性があり、対処が必要だからです。
4.【危険】変な場所から生えてきた永久歯を放置するリスク
基本的には変な場所から生えてきた永久歯は、すぐに対処しなければならないというものではありません。
しかし、「八重歯はかわいいから」「乳歯は自然に抜けるから」と自己判断で放置しておくと危険です。
なぜなら、放置しておくと、以下のようなリスクがあるからです。
- ・歯ブラシが届きにくく、虫歯になりやすい
- ・歯並びや咬み合わせがズレることがある
- ・八重歯は笑うと上唇が下がらなくなる
- ・咬み合わせがズレると全身にも影響を及ぼす
1つずつ説明しますね。
4-1. 歯ブラシが届きにくく、虫歯になりやすい
内側に永久歯が生えると、歯と歯との間に隙間ができて歯ブラシが届きにくくなります。
そこに食べカスや歯垢がたまると虫歯になりやすくなるので、注意が必要です。
歯医者さんに相談すると、乳歯を抜くのか、ブラッシングに注意して様子を見るのか判断してくれますよ。
個人に合ったブラッシング方法も教えてくれるので、一度相談するのがおすすめです。
4-2. 歯並びや咬み合わせがズレることがある
永久歯が変な場所から生えたままにしておくと、乳歯がなかなか抜けずに歯並びがガチャガチャになってしまうことがあります。
子どもの歯を時々じっくりと見て、歯並びが乱れてきたと思ったら歯医者さんに相談しましょう。
4-3. 八重歯は笑うと上唇が下がらなくなる
八重歯は一見かわいいですが、大きな口を開けて笑うと上唇がひっかかって下がらなくなることがあります。
前歯の上に八重歯があると、人によっては口元がこんもりすることもあります。
それらがコンプレックスになって明るかった子が内気な性格になったりすることもあるので、八重歯は歯医者さんできちんと対処するのがおすすめです。
4-4. 咬み合わせがズレると全身にも影響を及ぼす
咬み合わせがズレると全身にも影響を及ぼします。
なぜなら、咬み合わせがズレていると咀嚼がうまくできないので消化しきれず、栄養の吸収が悪くなるからです。
咬み合わせがズレていると背骨も歪んでしまい、体全体の左右バランスも乱れてしまいます。
背骨の左右のバランスが乱れると以下のようなリスクがあるので注意が必要です。
- ・姿勢が悪くなる
- ・頭痛、肩こり、腰痛
- ・顔が歪む
- ・歯並びが悪くなる
- ・受け口になる可能性がある
- ・運動機能の低下
- ・消化機能の低下
5. まとめ
結論として、子どもの永久歯が変な場所から生えてきた場合は、一度歯医者さんに相談するのがおすすめです。
永久歯の位置や全体の歯の状態を見て、様子を見るか矯正が必要かなどを判断してくれますよ。
北戸田coco小児歯科では、子どもの歯の専門家が歯の治療や相談に当たっています。困ったこと・気になることがあったらお気軽にご相談くださいね。
- ◆この記事のまとめ
- 1. 上の前歯の上に八重歯が生えてきた場合は矯正か乳歯の抜歯をする
- 2. 乳歯の内側に生えてきた場合は様子を見る
- 3. 自己判断で放置すると以下のようなリスクがある
- ・歯ブラシが届きにくく虫歯になりやすい
- ・歯並びや咬み合わせがズレることがある
- ・笑うと上唇が下がらなくなる
- ・咬み合わせがズレると全身にも影響を及ぼす