「歯医者さんでする歯のクリーニングとPMTCとかエアフローって違うものなの?」
歯医者さんで行うクリーニングには、PMTC、エアフロー、スケーリングがあります。そうです、どれも歯のクリーニングのことです。
ただ、それぞれ使う器具や目的とする効果が違います。
歯医者さんがお子さんの歯を調べて「歯のお掃除(クリーニング)をしましょう」と言った時、何をするのかをはっきり分かっていると安心ですね。
そこで、ここではPMTC、エアフロー、スケーリングの違いをくわしく説明します。
1. PMTCとは
PMTCは歯科医師や歯科衛生士などプロ(Professional)による機械(Mechanical)を用いた歯(Tooth)のクリーニング(Cleaning)のことです。
歯の表面や歯と歯の隙間には、虫歯の原因になるプラーク(白くネバネバとした歯垢)やバイオフィルム(ヌルヌルした膜)があります(どちらも中身は同じ細菌です)。
そのままにしておくと虫歯になってしまいます。そこで、歯科専用の機械や薬剤を使って、家庭で行う歯磨きでは取り切れない汚れまで、すっきりときれいにお掃除するのがPMTCなのです。
PMTCは機械を使って歯をクリーニングする総称のため、エアフローやスケーリングも含めてPMTCと呼ぶ歯医者さんもあります。
1-1. PMTCでは歯の染め出しを行います
PMTCを行う前には、歯の汚れだけがピンク色に見える薬剤を塗布する「染め出し」を行います。
染め出しによって汚れを浮き立たせ、徹底的にクリーニングするのです。
染め出し液はクリーニング後に水と一緒に洗い流すので、お口の中がピンク色のままということはないので安心してくださいね。
1-2. PMTCのメリットとデメリット
PMTCのメリットとデメリットは以下のものです。
- メリット
- ・歯磨きでは落とせない汚れまで落とす
- ・虫歯予防になる
- ・歯の着色汚れを落とす
- ・痛みがない
- デメリット
- ・染め出しをする
- ・汚れが多いと時間がかかる
PMTCはブラシやシリコンゴムなどで歯の表面を磨きます。痛みなどもないため、お子さんでも安心して受けることができますよ。
2. エアフローとは
エアフローとは、水と超粒子を混ぜたものを歯の表面に吹き付けて、ジェットの力で汚れを吹き飛ばすクリーニング方法です。ジェットクリーニングとも呼ばれます。
歯磨きでは落とせない歯周ポケットの内側や、取り外しのできないブリッジやインプラント付近の汚れを落とすことができる、最近開発された方法です。
2-1. エアフローは天然由来成分を使用します
エアフローの水に混ぜて使うのは、アミノ酸由来の成分や炭酸水素ナトリウム、エリトリトール(糖アルコールの一種)などです。
どれも人体に害のない優しい成分のうえ、エリトリトールはフルーツの味などお子さんも受け入れやすい種類があります。
エアフローは直接触れることのできない場所の汚れでも落とすことが可能です。そのため、ブリッジいやインプラントなど取り外せない義歯を使っているような人にも有効です。
2-2. エアフローのメリットとデメリット
エアフローのメリットとデメリットは以下のものです。
- メリット
- ・人体に優しい
- ・歯や歯ぐきを傷めない
- ・色素沈着を除去する
- ・PMTCをする前に施術することで虫歯予防の効果をより高める
- デメリット
- ・ジェット噴射の刺激が強いと痛みに感じる人がいる
ジェット噴射はかなり強力です。面白がって受けるお子さんがいる一方で、中にはビックリしてしまうお子さんもいます。
お子さんがジェット噴射を苦手な場合は、申し出ればPMTCなど別のクリーニング方法を行ってくれます。
気兼ねせずに申し出ましょう。
3. スケーリングとは
スケーリングとは、先の細い器具で歯石を削り取る施術のことです。
歯石はプラークが石化して固くなったもの。ただ、細菌は歯石の中でも生きているので、放っておくと虫歯になってしまいます。
歯石がたまると歯並びにも影響が出るので、たくさんたまってしまう前にスケーリングで取り除きます。PMTCを行う中でも、必要ならスケーリングを行うことがあります。
3-1. スケーリングは固くなった歯石を取り除けます
スケーリングは器具の先を歯石に直接当てて、歯石を削り取ります。スケーリングには手動の種類と機械の種類があり、いずれも効果は同じです。
歯石は放置しておくと大きくなっていったり黒ずんでいったりして、虫歯菌の温床になってしまいます。
子どもの歯は大人よりも柔らかいです。特に、乳歯や永久歯が生え変わる子どものお口の場合、歯石がたまると歯が押されて歯並びが悪くなる可能性も考えられます。そうなる前に、歯石を取り除いて正常に歯が生える用意をする必要があるのです。
3-2. スケーリングのメリットとデメリット
スケーリングのメリットとデメリットは以下のものです。
- メリット
- ・エアフローでは取り除けないこびりついた歯石を除去する
- デメリット
- ・歯石が多いと出血することがある
- ・歯石が多いと痛みを感じることがある
歯石ができるのは、主に歯と歯茎の境目などです。そこを細い金属の器具で削るため、歯石が多いとたくさんガリガリやるので、場合によっては出血や痛みが生じることもあります。
ただし、子どもの場合は大人と違って何十年も歯石がたまっているわけではありません。出血や痛みが出るほど削ることはそうそうないでしょう。
4. PMTC、エアフロー、スケーリングがおすすめな子ども
PMTC、エアフロー、スケーリングのそれぞれがおすすめなのは、以下のような症状のお子さんです。
- PMTC
- ・歯磨き(仕上げ磨き)が苦手
- ・磨き残しのクセを知りたい
- ・定期的に行ってしっかりと虫歯予防をしたい
- エアフロー
- ・短期間に汚れを一掃したい
- ・甘い味を使って安心させたい
- スケーリング
- ・ガンコな歯石を取りたい
- ・歯磨きでは取れない歯石を取りたい
何が必要かを判断するのは、基本的に歯医者さんです。具体的に、何のために何をするのか聞いてみると良いでしょう。
5. まとめ
PMTCは歯科医師や歯科衛生士が機械を使って行う歯のクリーニングの総称ですが、細かく分けるとエアフローやスケーリングも含まれると考えて良いでしょう。
それぞれの施術で落とせる汚れが異なります。不安や疑問があったら、遠慮なくお聞きくださいね。
- ◆この記事のまとめ
- 1. PMTCは機械にブラシやシリコンゴムの先を取り付けて歯全体を掃除する
- 2. PMTCは歯磨きでは取れない汚れを落として虫歯予防を行う
- 3. エアフローは水と掃除成分の微粒子をジェット噴射で吹きかけて歯を掃除する
- 4. エアフローは歯周ポケットや機械で届かない場所の汚れも落とす
- 5. スケーリングはこびりついたガンコな歯石をこそげ落とす