こんにちは北戸田coco歯科です!
お口を開けて呼吸する口呼吸は、子供のお口の健康にさまざまな悪影響を及ぼします。
「子供がお口ポカンと開いている」「食べる際にクチャクチャと音を立てている」このような症状がある場合は、口呼吸になっている可能性があります。
そこで今回は、子供の呼吸とお口の健康の関係、子供の呼吸の改善方法などについて解説します。
◽️子供の呼吸がお口の健康に影響する?
正しい呼吸法は、鼻から息を吸って鼻から吐く「鼻呼吸」です。鼻呼吸は空気を湿らせ温め、鼻毛や粘膜によって浄化する役割があります。
しかし、口呼吸はこれらの役割が担われません。口から吸い込む空気は細菌やウイルスが直接喉の粘膜に触れるため、喉の痛みを引き起こしたり、風邪を引きやすくなったりとさまざまな問題を引き起こす可能性があります。
また、口呼吸が癖になると、お口の健康にも以下のような影響を及ぼします。
・歯並びが悪くなる
口呼吸が歯並びに悪影響を与える理由は、舌の位置です。
通常、舌は上あご全体に触れており、舌の先端は前歯の付け根近くにあるのが理想的な位置です。舌が正しい位置にあると上あごの成長が促進され、自然に歯並びが整います。しかし、口呼吸で口が開いた状態になると舌の位置も下がります。
舌が下がると上あごに刺激を与えることができず、上あごの骨の成長が妨げられる可能性が。特に子供の成長期に上あごの発達が不十分だと歯並びに悪影響を及ぼすことがあります。
さらに、舌が下の歯を押してしまい、受け口を引き起こす原因となります。受け口は下の前歯が上の前歯よりも前方に位置する状態のことです。発音や顎関節に影響を及ぼします。
・虫歯・歯肉炎になりやすい
唾液にはお口の中の細菌を洗い流し、清潔に保つ自浄作用があります。
しかし、口を開けて呼吸するとお口の中が乾燥しやすくなり、唾液の自浄作用も低下します。その結果、細菌が繁殖しやすい環境になり、虫歯や歯肉炎のリスクが高まるのです。さらに、口臭を引き起こしてしまう可能性もあります。
・発音に影響を及ぼす
口呼吸が癖になるとあごの成長に悪影響を及ぼし、発音に問題が生じることがあります。
特に口呼吸が原因で受け口になると、舌の動きが制限されて「タ」や「ナ」行の発音が難しくなることも。発音が不明瞭になるとコミュニケーションに問題が生じる可能性があります。
参考:日本病巣疾患研究会
◽️こんな子供の呼吸の仕方に注意
口呼吸はお口や身体にさまざまな悪影響を及ぼすため、早期に発見したいものです。
以下の症状が見られる場合、口呼吸の可能性があるので当てはまっているかチェックしてください。
- テレビを見たり、集中しているときに無意識に口を開けている
- いびきをかくことがある
- 鼻が詰まりやすい・鼻炎などがある
- 姿勢が悪い
- クチャクチャと音を立てて食べる癖がある
- 風邪をひきやすい
- 前歯に着色がつきやすい
- 唇が乾燥している
- 口臭がある
- 口内炎がよくできる
特に複数の症状が当てはまる場合は、口呼吸をしている可能性が高いです。お口の健康に悪影響を与えるため、早めに歯科医院に受診し、相談することをおすすめします。
◽️子供が口呼吸になる原因は?
子供が口呼吸になる原因は、以下のようなことが挙げられます。また、原因が一つであれば重なり合っていることもあります。
・鼻炎や花粉症など疾患を持っている
花粉症やアレルギー性鼻炎などの疾患は、鼻の通りが悪くなるため、口呼吸を引き起こす原因となります。
長期間にわたって症状が続く場合は、口呼吸が無意識のうちに習慣となりやすく注意が必要です。鼻詰まりが継続する場合は、耳鼻咽喉科を受診し適切な治療を受けましょう。
・お口の周りの筋力が低下している
お口の周りの筋肉には、下あごを持ち上げる筋肉・唇を閉じる筋肉・舌の筋肉などがあります。
これらの筋肉は噛むことや話すことによって鍛えられるものです。しかし、食生活の欧米化により、やわらかい食べ物の摂取が増えています。よく噛んで食べる習慣が減少するとお口周りの筋力が低下し、口呼吸を引き起こします。
・歯並びが悪い
上述で口呼吸になると歯並びが悪くなると解説しましたが、歯並びが悪いことで口呼吸を引き起こすことがあります。
たとえば、出っ歯や受け口といった歯並びは、前歯が邪魔になって唇が閉じづらくなることがあります。無意識に口を開けた状態で呼吸することが多くなり、口呼吸の癖がついてしまうのです。
◽️子供の呼吸の改善方法
口呼吸を改善するためには原因を特定し、適切な治療を受けることです。ここでは改善方法を4つ紹介します。
・鼻呼吸を意識する
まずは鼻呼吸を意識してみましょう。口を閉じる時間を増やすことで、お口周りの筋肉が鍛えられます。
子供がテレビを見ているときなどに口が開いている場合は、お口を閉じてもらうようにやさしく声をかけてあげましょう。その際に、なぜ口呼吸をしてはいけないのか、子供に理解してもらうことが大切です。
・医師の診断を受ける
アレルギー鼻炎や花粉症など鼻詰まりを引き起こしている場合は、まずは耳鼻科や小児歯科に相談しましょう。原因に合った適切な治療を受けることで鼻の通りが改善されて口呼吸の問題も解決に向かうことが期待できます。
・鼻呼吸テープを口に貼る
寝ている間の口呼吸を防ぐなら、ドラッグストアなどで販売されている鼻呼吸テープを使用するのも有効です。
テープは口を閉じるのに十分な粘着力を持ちつつ、もし鼻が詰まった場合などには無理なく取れる程度の粘着力で設計されているので、安心して使用できます。
ただし、使用前には製品の説明をよく読み、必要に応じて歯科医師に相談することが重要です。
・お口周りの筋肉を鍛える遊びをする
以下のようなお口周りの筋肉を鍛える遊びは、子供が楽しみながら口呼吸の改善に取り組めます。
- 風船を膨らます
- シャボン玉を吹く
- ハーモニカを吹く
これらは、頬や唇の筋肉を鍛えるのに有効です。安全に注意しながらさまざまな遊びを取り入れてみましょう。
・歯列矯正を受ける
口呼吸が習慣化し、歯並びが悪くなっている場合は、歯列矯正を検討しましょう。
子供の矯正はあごの成長をコントロールし、歯並びを整えます。また、お口周りの筋肉を鍛えることも可能で、口呼吸などのお口周りに生じる悪い癖の改善が期待できます。
歯列矯正はお口の中の状態に合わせて適切な時期に開始することが重要なので、子供の歯並びが気になる場合は早めに歯科医師に相談しましょう。
◽️MFTについて
MFT(口腔筋機能療法)とは、お口周りの筋肉トレーニングを行い、舌を出す癖や指しゃぶり、頬杖、口呼吸を改善し、歯並びを整えるためのプログラムです。
トレーニングを通じて舌の正しい位置を学び、嚥下(飲み込み)の方法を修正し、口呼吸の習慣を改善することを目的としています。MFTは矯正治療と並行して行われます。
毎日トレーニングを続けることが重要なので、保護者の方がしっかりとサポートしてあげましょう。
関連記事:MFT(口腔筋機能療法)とは?効果やトレーニング方法を詳しく解説!
◽️まとめ
口呼吸は、歯並びや口腔衛生の悪化、発音など、お口の健康にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
このため、口呼吸の早期発見と改善が重要です。鼻呼吸を意識し、口周りの筋肉を鍛える遊びを取り入れてみましょう。
もし、改善が難しい場合は、歯科医院に受診し、歯列矯正やMFTを受けることをおすすめします。子供の矯正治療はあごの成長を利用するため、期間が限定されています。子供の口呼吸が気になる場合は、早めに歯科医師に相談しましょう。
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