こんにちは。北戸田coco歯科です。
「子どもが嫌がって暴れて歯医者に連れ出せない」
「子どもが治診察室で暴れるので毎回申し訳なく思う…」
とお困りではありませんか?
お子さんの虫歯を治すために毎回苦労されていることと思います。嫌がるお子さんを無理に連れて行くのは、親御さんもいい気分ではないでしょう。
「子どもが歯医者さんを嫌がるのは痛いことをされるから」
と思っている大人が多いですが、実は少し違います。
この記事ではその理由と、歯医者を嫌がる子どもに対してどうケアするかを、北戸田coco歯科の小児歯科担当医、田口世理奈医師が詳しくお伝えします。
- 【経歴】
- ・日本大学歯学部 卒業
- ・日本大学歯学部歯学研究科歯学専攻修了 博士号取得
歯医者さんで行っていることの他にお家でできる対応についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてくださいね。
1. 子どもが歯医者で暴れる理由
お子さんが歯医者で暴れる一番の理由は「不安」です。人は不安を感じことに対して、自ら飛び込みたいとは思いません。特に子どもは、色々な不安が混ざって大きな不安があるのに、うまく言葉にすることができないので全身で拒否を表現しているのです。
その不安とは主に、
- ・治療への不安
- ・体の自由を奪われる不安
の2つです。
細かく説明しますね。
1-1. 治療への不安
1つ目は、歯医者さんで行う治療への不安です。何をされるか分からないという不安です。
口は食べ物を摂取し、生命を維持するために必要な大事な器官です。その口の中に金属や電気の通った大きな器具が入るというだけで、子どもは本能的に恐怖心や不安を感じます。
また、よくかかる内科などは体の外側から触る程度なのに、歯医者では歯を「削る(=傷つける)」ということをします。
歯を削るのは虫歯を改善するためですが、大人がいくら言葉で説明しても子どもは実感として納得できません。そのため恐怖心や不安に直結します。
歯医者では子どものそういった恐怖心や不安を取り除いてあげなければならないと考えています。
1-2. 体の自由を奪われる不安
もう1つの不安は、身体を自由に動かせないことへの不安です。台の上に寝かせられて自由を奪われてしまう恐怖です。
治療中は口を開けているので、しゃべることができません。また、動くと器具が口の中を傷つけてしまうことが分かっているので、動くことができませんね。子どもにもそのくらいのことは分かります。だからこそ、余計に不安や恐怖を感じるのです。
中には頭では悪い歯を治すことを理解しているお子さんもいます。しかし、多くの子どもは具体的に何をされるのか分からないまま自分の意志と関係なく「ただ受けるしかない」ような状況なのです。
そんな中で、よく分からない金属の動く器具が口の中に入り、盛大な音とともに体の一部を削るのですから、恐怖や不安が倍増するのも無理はないでしょう。
そんな子どもの不安を少しでも和らげて、怖くない、痛くないということを分かってもらうのが歯医者さんの役目です。
2. 歯医者が行う暴れる子どもへの対処法
では、実際歯医者さんはどうやって子どもの不安や恐怖心を和らげるのかというと、以下のようなことを行っています。
- 【歯医者さんが暴れる子どもに対して行う対処法の例】
- 今からやることを説明する
- 器具に触らせて安心してもらう
- 1回の削る時間を少なくする
- 保護者に抱きかかえてもらい治療する
その歯医者さん独自のやり方があるので、すべての歯医者さんで必ず全部行っているわけではありません。
ただ、一般歯科より小児歯科の方が、上記のような対応をとっていることが多いです。
では、1つずつ詳しく説明していきますね。
2-1. 今からやることを説明する
歯医者さんは子どもにも分かる言葉で、今からやる治療内容について説明します。
人は、分からないことに対して不安を感じます。それは子どもも同じです。
小さい子どもでも分かりやすく説明すれば、不安がなくなって落ち着いてきます。
また、極度に痛みに弱いお子さんには、痛くないお薬(表面麻酔)を使うこともよく説明します。
2-2. 器具に触らせて安心してもらう
使う器具をお子さんに実際に触ってもらい、安心してもらいます。
口の中に入るものが良く分からないと、大人だって不安ですよね。器具の先端を触ってもらい、「尖ってないから痛くないよ」「これでつばを吸うんだよ」と丁寧に説明すれば、子どもの不安も消えていきます。
2-3. 1回の削る時間を少なくする
1回に削る時間を3秒などと決めてお子さんと約束し、「1、2、3」と数えながら治療します。
こうすることによって歯医者さんへの信頼感が生まれ、安心して治療を受けてくれます。
子どもが堪えられる秒数を決めて少しずつ治療を進めるので、子どもも納得して頑張れるのです。
2-4. 保護者に抱きかかえてもらい治療する
ママやパパがまず診察台に座り、その上にお子さんを抱きかかえてもらって治療することもあります。なにかあってもママやパパがいるから安心だという気持ちが生まれます。
3. お家でできる対処法
歯医者さんで暴れないように、お家でもできることがあります。ぜひ実践してみてくださいね。
3-1. 絵本を使って説明する
歯の治療の絵本はたくさん出ているので、そういった絵本を利用して分かりやすく説明します。いうなれば、イメージトレーニングですね。
どんな治療をするのか事前に分かっていれば、怖くありません。
中には歯医者は怖いものという内容の絵本もあるので、絵本選びも重要ですよ。
3-2. 日頃から定期検診に通って慣れさせる
虫歯がなくても日頃から定期検診に通っていれば、いざ治療が必要になっても歯医者さんが怖くありません。
定期検診では痛い治療をしませんし、歯医者さんも顔なじみの先生なので安心感が違います。また、定期検診では虫歯の早期発見ができるので、ごく小さな治療で済ますことができますよ。
3-3. 治療が終わったらたくさんほめる
治療が終わったら、お子さんの頑張りを目一杯褒めてあげましょう。
「頑張ったね、すごいね!」「大人みたいに上手に受けられたね」
などの声かけをして、子どもの自尊心や褒められたい気持ちを満たすと、次回診察のモチベーションにつながります。
治療の日の夜ごはんは、子どもの好きなメニューにするなどのご褒美を用意するのもおすすすめですよ。
4. これをやったら逆効果!やってはいけないこと
歯医者嫌いの子どもに対してやってはいけないのは以下の2つです。
- ・「歯医者」を使って子どもを叱る・脅す
- ・騙して連れて行く
くれぐれもやらないように注意しましょう。
4-1. 「歯医者」を使って子どもを叱る・脅す
日常で子どもを叱るときに「そんなことすると歯医者さんに連れて行くからね!」「歯医者さんで痛い痛いしてもらおうか?」など、歯医者さんを言うことを聞かせるための材料に使うのはやめましょう。
歯医者へのマイナスイメージを植え付けることになり逆効果です。本当に歯の治療が必要になった時に、怖がって暴れてしまいます。
4-2. 騙して連れて行く
歯医者に行くのを嫌がっている子どもに対して「歯医者さんには行かないよ」と騙して連れて行くのはやめましょう。
子どもは「騙された、裏切られた」と傷つきます。次回歯医者に行く時も騙された体験や傷ついた感情が思い出されて、「歯医者はイヤなもの」という記憶に結びついてしまいます。
5. まとめ
子どもが歯医者に不安を感じるのは当たり前のこと。動いてはいけない上に、未知の器具で歯を削られたりするからです。
でも、ひとつずつ不安を解いていってあげれば、暴れなくなります。今回ご紹介したような内容を参考に、ぜひトライしてくださいね。
また、極度に音や光、痛みに敏感なお子さんは、事前にお伝え下さい。慎重に対応いたします。
北戸田coco小児歯科では、子どもの歯の専門家が歯の治療や相談に当たっています。困ったこと・気になることがあったらお気軽にご相談くださいね。
- ◆この記事のまとめ
- 1. 今からやることを説明して不安を取り除く
- 2. 器具に触らせて安心してもらう
- 3. 1回の削る時間を少なくして納得・信頼してもらう
- 4. 保護者に抱きかかえてもらい治療することもある
- 5. 絵本を利用して事前に説明する
- 6. 治療後は褒めたりご褒美を用意したりする
- 7. 歯医者のマイナスイメージを植え付けるのはNG
- 8. 子どもを騙して歯医者に連れて行くのはNG