こんにちは、北戸田coco歯科医院です。
「うちの子、歯並びが悪い気がする…矯正をはじめたほうがいいのかな?」
「矯正は早いうちにはじめたほうがいいらしいけど、いつ頃からできるの?」
など、子どもの矯正については分からないことが多いですね。
子どもの矯正は早いほうが良いといっても、始めるべき時期は症状に応じて様々です。
そこで、今回は子どもの矯正治療について、北戸田coco歯科の小児歯科担当医師の田口世理奈が詳しくご紹介します。
- 【経歴】
- ・日本大学歯学部 卒業
- ・日本大学歯学部歯学研究科歯学専攻修了 博士号取得
費用や期間についても説明しますので、お子さんの歯並び矯正が気になっている方は、ぜひ最後までお読みくださいね。
1. 子どもの矯正時期は症状に応じて決まる
子どもの矯正は、以下の2つのケースがあります。
- ・就学前(3〜6歳)に始めたほうがいいケース
- ・永久歯が生え揃ってから(12〜14歳以降)始めたほうがいいケース
どちらにするかは、医師が診察して症状に応じて判断します。それぞれについて、1つずつ解説しますね。
2. 就学前(3〜6歳)に始めたほうがいいケース
就学前に始めたほうがいいケースは、
- ・受け口
- ・出っ歯
- ・叢生(そうせい)
の3つです。
なぜ就学前に始めたほうがいいのか、詳しく説明しますね。
2-1. 受け口
子どもの受け口は3〜4歳から治療を始めると、早い段階で改善することができます。なぜなら、あごの成長を利用して自然に治すことができるからです。
「あごの成長を利用した矯正」とは、頭の骨やあごの骨が大きくなるのに合わせてお口周りの筋肉を正しく使えるよう導く方法です。幼児の骨はまだ柔らかいので、舌・頬・唇などの筋肉が正しく使えるようになれば、受け口も自然に治っていきます。
「そんな小さな子にあの矯正装置をつけるの?」と思う方もいるかもしれませんね。想像しているのは、おそらくワイヤー矯正のことでしょう。
しかし、ご安心ください。3〜4歳の歯の矯正は、夜間だけにとりつけるマウスピースで、痛みもなく取り外しも自由にできます。
この矯正装置は、お口周りの筋肉をトレーニングするもので、舌の位置や正しい使い方を矯正してお口全体のバランスを整えます。
2-2. 出っ歯
子どもの出っ歯の矯正は、6歳ころから始めるのがおすすめです。
出っ歯になる原因のほとんどは、あごが小さく歯がはえるスペースが足りないことです。(ほとんどの場合、上あごの小ささが原因です。)そのため、あごの大きさを少しずつ広げる床矯正(しょうきょうせい)という装置を使って治療をしていきます。
装置中央についているネジを医師の指示にしたがって調整することで、少しずつ上あごを広げていきます。これはママやパパがやってあげてください。床矯正も自分で取り外しができ、痛みもほとんどありません。
2-3. 叢生
子どものガチャガチャの歯並び「叢生(そうせい)」は、6歳ころから矯正を始めるのがおすすめです。叢生も、あごが小さく歯が生えるスペースが足りないことが原因だからです。
叢生の矯正は床矯正によって改善することが可能です。上あごを成長に合わせて徐々に広げることによって、重なってい生えている乳歯を正しい向きに修正していき、歯の生え変わりの時には永久歯が正しい位置で生えるようにしていきます。
3. 永久歯が生え揃ってから(12〜14歳)矯正したほうがいいケース
永久歯が生え揃うまで待ってから矯正したほうがいいケースは、以下のような場合です。
- 乳歯で矯正をした仕上げとして矯正する場合
- 叢生でも歯の重なりが大きい場合
1つずつ説明しますね。
3-1. 乳歯で矯正をした仕上げとして矯正する場合
乳歯を矯正した場合でも、微調整など仕上げの矯正が必要な場合もあります。そのような場合は、大人と同じようにワイヤー矯正などを行います。
ただ、乳歯で矯正をしている場合は永久歯の矯正でも抜歯せずに矯正できることがほとんどです。
3-2. 叢生で歯の重なりが大きい場合
叢生でも特に歯の重なりが大きい場合には、永久歯が生え揃ってから矯正治療をした方がきれいに並ぶことがあります。そのため、永久歯が生え揃う12〜14歳頃から始めます。
4. 子どもの矯正には第一期治療と第二期治療がある
なぜ、子どもの矯正は2つの時期に分けて考えたほうがいいかは、ここまでの説明で分かりましたね。ここではもう少し専門的なお話をしますね。
子どもの矯正は、「乳歯から永久歯が生え変わるまで」と「永久歯に生揃ってから」の2段階と考え、以下の2種類に分類されています。
第一期治療 | 5〜12歳頃(乳歯から永久歯が生え変わるまで) |
第二期治療 | 12歳頃〜成人(永久歯に生揃ってから) |
1つずつ解説しますね。
4-1. 第一期治療
第一期治療は5〜12歳です。なぜこの時期かというと、あごの成長を利用して歯並びを整えられるからです。
歯の生え変わり時期には個人差がありますが、大体このくらいの時期に乳歯と永久歯が生え変わります。
あごの成長を利用して歯並びを整ると、永久歯がきれいに生えるようにしていくことができます。骨格が原因の受け口や出っ歯、叢生などにも有効です。
この時期はまだ、あごの成長を利用してきれいに並べることができるので、歯を抜かないで矯正することができます。
- ■第一期治療の内容
- ・歯並びに影響がある悪いクセを改善する
- ・あごのゆがみや大きさを整える
- ・永久歯がきれいに並ぶように導く
- ■使う矯正装置の種類
- ・子ども用マウスピース
- ・床矯正
4-1-1. 第一期治療のメリット
第一期治療をするメリットは、お子さんに負担をかけずに済むということです。痛みもなく、自宅にいる時間や寝ている間だけ矯正装置をつければいいので、保育園や幼稚園でストレスを感じることもありません。
あごのサイズや歪みが整うので、第二期治療が必要なくなるお子さんも多いです。
- ■第一期治療のメリット
- ・痛みがほとんどない
- ・日常生活に影響しない
- ・歯を抜かないで歯並びをきれいにすることができる
- ・治療期間が短くて済む
- ・第二期治療が不要になる可能性が高い
- ・虫歯になりにくくなる
4-1-2. 第一期治療の期間・費用目安
第一期治療でかかる期間と費用の目安は以下の通りです。
期間 | 1〜3年程度 |
---|---|
費用 | 20〜40万円程度 |
第一期治療で十分な効果が得られなかった場合には、ひきつづき第二期治療も行うことがあります。
4-2. 第二期治療
第二期治療は12歳頃から成人になるまでです。この時期には永久歯がほとんど生え揃っていてあごの成長もほぼ完成するので、大人と同じ内容の矯正治療を行います。
第二期治療の目的は、歯の咬み合わせの改善や歯並びを整えることです。
あごの成長が止まっているため、歯が並ぶスペースが足りなくて歯並びが悪くなっている場合は、歯を抜いてスペースを作ります。
ただ、歯を抜くと言っても噛むのに支障のない歯を抜くので、安心してくださいね。
- ■第二期治療の内容
- ・永久歯がきれいに並ぶようにスペースを確保する
- ・咬み合わせや歯のゆがみを整える
- ■使う矯正装置の種類
- ・ワイヤー矯正
- ・舌裏矯正
- ・マウスピース
4-2-1. 第二期治療のメリット
第二期治療のメリットは、自覚をもってしっかりと矯正治療を行えることです。
この時期はちょうど思春期真っ只中。この時期に矯正を行うと、容姿へのコンプレックスなどが解消され、はつらつとした明るい性格になる人も多いです。
- ■第二期治療のメリット
- ・矯正治療の目的をしっかりと理解できる
- ・虫歯になりにくくなる
- ・容姿のコンプレックスがなくなる
- ・外交的な性格になることが多い
4-2-2. 第二期治療の期間・費用目安
第二期治療でかかる期間と費用の目安は以下の通りです。
期間 | 1〜2年程度 |
---|---|
費用 | 25〜70万円程度 |
大人の矯正治療は、後戻りを防ぐために矯正治療と同じ期間の保定期間が必要です。歯は常に動いていて、きちんと固定してあげないと元の歯並びに戻りたがるからです。
保定期間にはマウスピースのような簡易的な装置を使うので、痛みなどはほとんどありません。
ただし、指示通りにきちんと使わないと歯並びが後戻りし、せっかくの矯正が台無しになってしまう恐れがあるので、重要な期間です。
5. まとめ
子どもの歯の矯正は、骨格が原因の受け口や出っ歯、叢生なら就学前から始めるのがベストです。あごの成長を利用して矯正すれば、お子さんの負担も少なく、将来永久歯を矯正しなくて済む可能性も高くなります。
それ以外でも、歯並びが気になるようであれば、7〜8歳ころには始めるのが良いでしょう。永久歯が生え揃ってからでは、あごの成長も止まり、矯正期間も長くなります。
北戸田coco小児歯科では、子どもの歯の専門家が歯の治療や相談に当たっています。困ったこと・気になることがあったらお気軽にご相談くださいね。
- ◆この記事のまとめ
- 1. 受け口は3〜4歳に矯正を始めるのがベスト
- 2. 出っ歯、叢生は6歳までに矯正を始めるのがベスト
- 3. 子どもの矯正は第一期治療と第二期治療の2段階
- 4. 第一期治療はあごの成長促進と永久歯をきれいに生えさせるのが目的
- 5. 第二期治療は咬み合わせや歯並びを整えることが目的