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【乳歯の早期脱落】子供の歯を早い段階で失ってしまったら?放置するリスク

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「うちの子、乳歯が早く抜けちゃったけど、大丈夫…?」「乳歯が早く抜けると、どんな問題があるの?」「治療法はあるの?家庭でできることは?」

お子さんの乳歯が生え替わりの時期より早く抜けてしまうと、心配になりますよね。乳歯の早期脱落は、その後の永久歯の生え方や、お子さんの成長に様々な影響を与えることも。

そこで本記事では、乳歯の早期脱落の原因や弊害、治療法、家庭での予防法について解説します。

◽️乳歯が早期に脱落する原因


通常、個人差はありますが乳歯から永久歯に生え替わるのは6歳くらいからです。

しかし、何らかの原因で標準的な生え替わりの時期よりも早い、4歳頃までに抜け落ちてしまうことがあり、それを「乳歯の早期脱落と呼びます。

原因には、主に以下のものがあります。

・虫歯


重度の虫歯になってしまうと、抜歯が必要になる場合があります。乳歯は歯を覆っているエナメル質がまだやわらかいため、虫歯が早く進行します。

そのため、痛みがないからと放置してるうちに、神経まで虫歯が達してしまうことも珍しくありません。

乳歯でも虫歯が神経に達した場合は歯の神経を抜く「根管治療」が必要です。根管治療では、虫歯の細菌に感染した神経を取り除き、消毒を何度か繰り返していきます。

しかし、神経まで及んだ虫歯を放置すると神経が死んでしまい、歯の根っこしか残っていない状態になります。

ここまで進行した虫歯には治療法は無く、抜歯をしなければなりません。


・外傷


1〜3歳頃までは、転んで顔をぶつける、おもちゃやボールが当たるなどして、歯が欠けたり抜けたりしてしまうことが多く見られます。


・先天的な異常


低ホスファターゼ症」や「パピヨンルフェーブル症候群」などの遺伝性の疾患がある場合、乳歯の早期脱落が見られます。

低ホスファターゼ症は「アルカリホスファターゼ(ALP)」という酵素の異常により骨が弱くなる病気です。乳歯の早期脱落に加え、骨の形成不全、筋肉の弱化など全身症状が現れます。

パピヨンルフェーブル症候群は、乳幼児期から歯肉炎や歯槽骨の破壊が起こることにより、乳歯が早期脱落します。

それ以外に、手足の異常角化などの全身症状が現れるのが特徴です。

どちらの疾患も乳歯の早期脱落がきっかけで判明することが多く、正確な診断を受けるには大きな病院での検査が必要です。

◽️乳歯の早期脱落による弊害


乳歯が早期に脱落すると、様々な弊害が生じます。ここでは、乳歯の早期脱落が子供の成長や生活にどのような影響を及ぼすのか詳しく解説します。

・咀嚼機能の低下


食事の際によく噛むことは、消化を助ける重要な役割があります。

効率良く咀嚼できるかを示す指標を「咀嚼効率」といい、奥歯が1本抜けただけでも咀嚼効率は50%まで低下してしまいます。

そのため、歯が抜けてしまうと消化不良を引き起こし、腹痛や下痢、便秘などの不調を引き起こしてしまうのです。

また、栄養の吸収にも影響を及ぼす可能性があるため、子供が成長に必要な栄養素が不足してしまう恐れがあります。

・発音への影響


歯が抜けると、隙間から空気が漏れてしまうため、サ行などの舌が歯に触れて出る音や、タ行のような発音がしにくくなります。

聞き取りづらい発音になってしまうと、コミュニケーションが取りづらくなるだけでなく、言語の習得にも悪影響を与える恐れがあります。

・永久歯の歯並びへの影響


歯が抜けたまま放置すると、噛み合わせや歯並びにも悪影響があるので要注意です。

歯と歯は互いに力がかかり合うことで位置が保たれていますが、歯が抜けてスペースができると、両隣の歯に力がかからなくなることで傾いてきます。

永久歯が正しく生えるスペースがなくなり、永久歯が生えるのが遅くなったり、位置異常につながったりする可能性もあります。

・心理的な影響


乳歯を早期に失うことは、見た目の変化だけでなく、子供の心理面にも大きな影響を与えます。

歯が抜けたことを気にして笑うのをためらったり、友達の視線を意識してしまったりすることで、自己肯定感が低下することも少なくありません。

周囲からのからかいやいじめの原因になることもあり、その結果、子供が自信を失い、積極的に人と関わることを避けるようになる可能性も。

歯は、きちんと生え揃っていることで全体のバランスが保たれてます。

そのため、早期脱落により歯が失われることで、口の中の環境に悪影響を与えます。

子供が不便を感じている様子がなくても、早めに歯科医院で治療してもらいましょう。

◽️子供の歯を早くに失ってしまった場合の治療法


乳歯の早期脱落が起きたときは、以下の治療法があります。

・経過観察する


乳歯が抜けた後に生えてくる永久歯を後継永久歯(こうけいえいきゅうし)といいます。

早期脱落しても、レントゲンで後継永久歯が出てきそうなことが確認出来た場合は、経過観察で問題ありません。

歯並びや噛み合わせに問題が起きてないかなど、歯科医院で定期的にチェックしてもらいましょう。

・保隙装置(ほげきそうち)を使用する


保隙装置は、歯が抜けたスペースを維持するための装置です。

乳歯が早期脱落すると、両隣の歯が傾いてしまい、永久歯が生えてくるスペースが失われる恐れがあります。

そのため、保隙装置を使用し、永久歯が生えるのをサポートする必要があります。

保隙装置は、取り外しができない固定式タイプと、取り外しが可能な可撤式(かてつしき)タイプの2種類です。主な保隙装置は以下の通りです。


・固定式保隙装置

バンドループ

参考:PORTLAND BLACES

 

 

  • バンドループ: 抜けた部分の隣の歯にバンドを装着し、そのバンドにループを付けてスペースを保持します。比較的取り外しが容易で、メンテナンスがしやすい構造になっています。


  • クラウンループ: 抜けた部分の隣の歯にクラウンをかぶせ、そのクラウンにループを付けてスペースを保持します。仕組みは、バンドループと同様です。クラウンがしっかり固定されるため、バンドループよりも安定感があります。

  • リンガルアーチ: 左右の奥歯にバンドを取り付け、歯の後ろ側のアーチに沿ってワイヤーを固定する装置です。ワイヤーの弾力で、バンドを付けた奥歯が移動するのを防ぐことができます。ワイヤーが歯の裏側にあるので目立ちにくい反面、装置が舌に触れることが多いので、慣れるまで時間がかかることがあります。

  • ディスタルシュー:6歳臼歯が正常に生えるようにする装置です。つっかえ棒がついているクラウンを被せ、スペースを確保します

・可撤式保隙装置


可撤式保隙装置には、小児用義歯があります。

これは、子供用の入れ歯です。大人用の入れ歯同様、全体用だけでなく部分用のものもあり、3〜4歳以降の子供が使用可能です。

抜けた部分のスペースを保持し、将来的な歯並びの乱れを防ぐことができます。また、義歯があるので発音や咀嚼がしやすくなる、見た目が気にならなくなるといったメリットも。

簡単に装着可能ですが、手入れや紛失の予防など、保護者の管理が必要です。

・矯正治療


乳歯の早期脱落によって両隣の歯が傾いてしまったり、歯並びや噛み合わせが乱れてしまった場合は、矯正治療が効果的です。

特に、成長期の子どもは骨が柔らかくて動かしやすく、顎の発育を活かした治療ができるというメリットがあります。

そのため、ワイヤーや拡大床などの矯正装置を用いることで、効果的に歯並びを整えられます。

乳歯の早期脱落は、放置する時間が長くなると、より複雑な治療が必要です。早めに治療を受け、症状の悪化を防ぐことが大切です。

また、保隙装置や矯正装置をつけたところは汚れがたまりやすくなります。丁寧なブラッシングを心がけましょう。

◽️子供の歯を守るためにできること


子どもの歯を守るためには、毎日のケアや日頃のちょっとした工夫が大切です。ここでは、家庭でできるケアや予防策を紹介します。

・正しいデンタルケアを心がける


子どもの歯を健康に保つためには、日々のケアがとても大切です。正しい歯磨きの習慣を身につけ、親子で虫歯予防を徹底させましょう。

歯磨きは、優しく丁寧に磨くことを心がけ、歯の隅々までしっかりとブラシを当てます。

仕上げ磨きの際には、磨き残しがないか確認しながら行い、フロスや歯間ブラシも活用しながらしっかり汚れを落とすのがポイントです。

歯磨き粉は、歯を強くするフッ素入りのものを使うと歯が強くなり、虫歯になりにくくなりますよ。

・歯と口の安全対策をしっかりと


子どもの歯を守るためには、転倒や衝突を防ぐことが大切です。

つまずかないように床に物を置かないようにする、机にコーナーガードをつける、公園や遊び場では遊ぶ場所に注意を払うなど、日常でできる対策をして、安全な環境づくりを心がけましょう。

・定期的に検診を受ける


3〜6ヶ月に一度は、歯科検診を受けるようにしましょう。

虫歯は、自覚症状がないまま進行してしまうことがあります。定期的に歯科検診を受けることで、小さな異常も見逃さず、早い段階で対処することができます。

◽️まとめ


乳歯の早期脱落は、虫歯や外傷、先天的な異常など、様々な原因で起こります。

早期脱落によって咀嚼機能の低下や発音への影響、永久歯の歯並びへの影響など弊害が生じる可能性があります。

乳歯の早期脱落が起きた場合は、歯科医院で適切な治療を受けることが大切です。

また、日頃から正しいデンタルケアを心がけ、歯と口の安全対策をしっかりと行い、定期的に歯科検診を受けるようにしましょう。