こんにちは北戸田coco歯科です!
「乳歯のむし歯、神経までいってたらどんな治療が必要なの?」「乳歯の神経の治療って、どんなことをするの?」
お子さまのむし歯を心配した時にこのような疑問はありませんか?
乳歯のむし歯を「どうせ抜けるから」と放置するのは間違いで、後に続く永久歯の歯並びや発育に悪影響を及ぼす可能性があります。
乳歯であっても、むし歯が神経まで達すると、大人と同じような神経の治療(根管治療)が必要です。
そこで本記事では、乳歯の神経治療が必要なケース、治療法、治療の流れなどについて解説します。
◽乳歯がむし歯になったら神経の治療は必要?

歯の神経は、専門用語で「歯髄(しずい)」と呼ばれており、歯の内部の「根管(こんかん)」という場所に入っています。
根管治療は、むし歯の細菌に感染した神経を取り出し、根管内を消毒する治療です。乳歯であっても、むし歯が神経まで及んでいる場合は神経治療が必要です。
◼️神経治療をしないとどうなるの?
神経がむし歯の細菌に侵食されると、歯髄炎(しずいえん)を起こし、激しい痛みを伴います。
そのまま放置すると「歯髄壊死」という症状が起き、神経機能が失われてしまう可能性が。それにより、一時的に痛みを感じなくなりますが、治ったわけではありません。
むし歯の細菌がまだ歯の中に残っているため、さらに感染が進んでいきます。
その結果、歯の内部のむし歯菌が血流に乗って全身に広がり、敗血症といった症状を引き起こす恐れもあるため、非常に危険です。
「乳歯はどうせ抜けるから、むし歯になっても問題ない」は間違い!
「乳歯はいずれ永久歯に生え変わるから、むし歯になっても問題ない」という考えは大きな間違いです。
乳歯のむし歯を放置すると、永久歯の歯並びや発育に悪影響を及ぼしたり、永久歯もむし歯になりやすくなったりする可能性があります。
神経まで達したむし歯は自然治癒が望めないため、歯に痛みや違和感を感じたら、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
◽乳歯の神経の治療法

神経の治療には大きく「抜髄(ばつずい)」と「感染根管治療」の2つの治療法があります。
◼️抜髄
抜髄とは、炎症を起こしてしまった神経を取り除く治療法です。
むし歯が進行し、神経まで到達して強い痛みを引き起こしている場合に行われます。この治療によって、痛みのもととなる神経を取り除くことで、症状の緩和を目指します。
◼️感染根管治療
感染根管治療は、神経が死んでしまった(歯髄壊死)歯や、過去に神経治療を行ったものの再び感染してしまった場合に選択される治療法です。
感染した神経や組織を徹底的に除去し、根管内を消毒することで再感染を防ぎます。
神経治療は、お子様への負担も大きく、再発のリスクも伴うため、可能な限り避けることが望ましい治療です。そのためには、むし歯を予防することが何よりも大切になります。
また、痛みがないからといって油断は禁物で、むし歯は知らないうちに進行していることがあります。
定期的な歯科検診を受けることで、むし歯を早期に発見し、早期に治療を開始することができますよ。
◽️神経治療は何歳からできるの?

お子様の歯の神経治療は、年齢によって受けやすさが変わってきますが、診療台で落ち着いて横になっていられることが一つの目安となります。
そのため、4歳くらいになると比較的スムーズに治療を受けられるようになることが多いです。
しかし、もしも、お子様が治療を嫌がり、どうしても動いてしまう場合には、大きな病院で全身麻酔を使った治療を選択することもあります。
全身麻酔は、お子様が眠っている間に治療を行うことができるため、確実な治療が可能になります。ただし、全身麻酔は体への負担も大きいため、慎重に検討する必要があるでしょう。
また、歯科医院に対して恐怖心を持っているお子様も少なくありません。そのような場合には、すぐに治療を始めるのではなく、歯科医院の雰囲気に慣れるためのトレーニングを行うこともあります。
お子様のペースに合わせて、無理なく治療を進めることが大切です。
◽️乳歯の神経の治療の流れ

神経の治療は、子供も大人も基本的な手順は変わりません。ここでは、神経の治療方法を解説します。
①麻酔
痛みを抑えるために、治療する歯の歯茎に局所麻酔を注射します。注射の痛みを抑えるために、歯茎に表面麻酔を塗布することもあります。
②ラバーダム防湿
ラバーダムとは、神経治療を行うときに歯に装着するゴムのことです。口全体を覆って治療する歯だけを出すことで、唾液や細菌が入るのを防ぎます。
ラテックスアレルギーがある場合はノンラテックスのラバーダムを使用する必要があるため、先に歯科医に伝えておきましょう。
③むし歯の除去
むし歯になっている部分を除去し、形を整えます。むし歯が残っていると神経に細菌が繁殖してしまうため、丁寧に削り取ります。
④神経の除去
細い針のような専用の器具を使い、むし歯菌に感染した神経や血管を取り除きます。
⑤根管内の清掃・消毒
神経を取り除いた後も細菌が残っているので、空洞になった根管内に専用の薬液を入れて殺菌します。
消毒後、根管内に薬剤を入れて仮蓋をし、次の洗浄を行う日までそのままにします。
⑥根管充填
①〜⑤の作業を繰り返し、根管内が十分きれいになったら根管に専用の薬剤を詰めます。
⑦被せ物
治療が完了した後、歯の機能を回復させるために被せ物や詰め物を入れます。
虫歯が神経に達していない場合は「コンポジットレジン充填」などの比較的簡単な処置で対応でき、一度の通院で終了します。
それに対し、神経の治療は何度も通院する必要があるので、子供にも保護者にも根気が必要です。
子供の場合、一度の治療にかけられる時間は15分程度が限度になるため、大人よりも治療の回数が多くなります。
途中でやめてしまいたくなっても自己判断で通院をやめるのは危険です。
痛みがないからと治療せずに放置すると、むし歯が進行してしまい、最悪の場合抜歯しなければならなくなります。
子供に歯の大切さをきちんと伝えて、最後まで治療を続けましょう。
◽️乳歯の神経の治療後の注意点

神経の治療は、麻酔や仮蓋などを使用するため、いくつか注意点があります。主な注意点は以下の通りです。
◼️麻酔が切れるまでは飲食を控える
麻酔を使用した後の歯茎や口元は、麻痺した状態になっています。
熱いものを口にしても温度感覚がわからずやけどしてしまったり、口や舌がうまくうごかせず、舌や口の中を噛んでしまいます。
食事は麻酔の効果が切れてからにしましょう。
◼️硬い食べ物は避ける
仮蓋が取れないように、硬いものやキャラメルなどの歯につきやすいものは控えましょう。こういったものを食べる場合は、反対側の歯で噛むようにします。
◼️治療した歯を強く噛みしめない
神経治療後に強く噛むと、痛みが生じることがあります。
◼️痛みや腫れが続く場合は歯科医院に連絡
治療後に痛みや腫れがある、仮蓋が取れてしまったなどの症状が出た場合は、歯科医院に連絡してください。
受診するまでむやみに指や舌でいじったりせず、できるだけ清潔な状態を保ちましょう。
◼️定期検診の経過観察が重要
治療後も数ヶ月間は歯科医院で確認してもらい、再発を防ぎましょう。
治療した歯が再度むし歯にならないように、フッ素塗布することも忘れてはいけません。
◽️まとめ
乳歯であっても、むし歯が神経まで達している場合は、神経の治療(根管治療)が必要です。治療には根気が必要ですが、途中で中断せず最後まで通院することが大切になります。
また、お子さんの将来の歯の健康のためにも、日頃の歯磨き習慣や定期的な歯科検診を欠かさず、むし歯の予防を心がけましょう。
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