こんにちは北戸田coco歯科です!
あまり知られていないかも知れない「サホライド」というお薬。歯科医院でたまに使われる虫歯治療のお薬です。
このサホライドは歯を削らずに虫歯の進行を抑える効果が期待できますが、塗布した箇所が黒くなってしまうといったデメリットもあります。
今回は、サホライドの効果やメリット・デメリット、使用されるケース、治療後の注意点などを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
◽️子供の歯の治療で使う「サホライド」って?
サホライドとは、虫歯の進行を抑えるために用いられる、フッ化ジアミン銀を主成分とした薬です。
一般的には「サホライド」という商品名で知られています。フッ化ジアミン銀は簡単に言うと「フッ素」と「銀」が合わさった成分です。
サホライドを虫歯に塗ると、この「フッ素」が歯を強くし、「銀」が、虫歯菌の活動を抑え、進行を食い止めてくれます。
サホライドを使った治療は、虫歯の部分に薬を直接塗るだけで完了します。そのため、従来の「虫歯を削って詰める」治療と比べると、お子さんへの負担がとても少ないのです。
ただし、サホライド自体は無色透明の液体なのですが、虫歯に塗るとサホライドに含まれる銀イオンがタンパク質と化学反応を起こして、塗った部分が黒く変色します。
実は、サホライドは日本で開発された薬剤。近年では、その効果が改めて認められ、アメリカをはじめ、世界各国で注目されているようです。
よくフッ素と勘違いされやすいのですが、フッ素塗布によって歯が黒くなることはありません。
参考:日本小児歯科学会
◽️サホライドを使うメリットとデメリット
サホライド治療には、メリットとデメリットがあります。どちらもしっかり理解した上で、お子さんにとって最適な選択をすることが大切です。
◼️メリット
何と言っても、歯を削らなくていいことがサホライド治療の最大のメリットです。従来の虫歯治療のようにドリルで歯を削る必要がありません。
そのため、治療を怖がってしまうお子さんでもリラックスして処置を受けられる可能性が高いです。
また、虫歯の部分にサホライドを塗るだけなので、治療時間はあっという間です。何度も通院する必要もありません。
◼️デメリット
サホライド治療の最大のデメリットは、塗った部分が黒く変色してしまうことです。特に前歯などの目立つ部分に使用する場合は、見た目が気になるかもしれません。
また、 サホライドは乳歯の比較的小さな虫歯に使われます。大きな虫歯や神経まで達しているような進行した虫歯には使えません。
そしてサホライドは、あくまでも「虫歯の進行を抑える」ための処置です。
虫歯を完全に治すためには適切な時期に改めて、虫歯部分を削って詰めるといった根本的な治療が必要になります。
稀なケースですが、サホライドに含まれる成分に対してアレルギー反応が出る可能性があります。
過去に薬などでアレルギーが出たことがあるお子さんは、事前に歯科医師に相談しておくと安心です。
◽️サホライドはどんな時によく使われる?
サホライドは主に、以下のような場面で用いられることが多いです。
◼️初期虫歯
虫歯が小さく、歯の神経にまで達していない初期の段階は、サホライドが効果を発揮します。
この時期にサホライドで進行を抑えられれば、将来的に歯を削る治療を回避できる可能性もただし、穴が空いてしまっている場合には、サホライドだけでは対応できないこともあります。
その場合には、虫歯が大きくなる前に治療が必要になることも考えられます。
◼️治療を怖がるお子さんの応急処置
お子さんにとって歯を削る治療は大きなハードルです。歯を削る器具の「キィーン」という音や振動が苦手というお子さんも多いでしょう。
そのような場合、まずはサホライドで虫歯の進行を抑え、お子さんが歯医者さんの雰囲気に慣れてから、本格的な治療を始めることもあります。
◼️多くの虫歯がある場合
虫歯の数が多かったり、治療に時間がかかりそうだったりする場合は、一度にすべてを治療することが難しいこともあります。
そのような場合にサホライドで虫歯の進行を遅らせ、治療の優先順位をつけながら、段階的に治療を進めていくという方法がとられることもあります。
ただし、近年では、サホライドによる歯の黒ずみを気にする保護者が増えてきているのも事実です。そのため、以前ほど安易にサホライドが選択されることは少なくなってきています。
サホライドを使うかどうかは、虫歯の状態、お子さんの年齢や性格、歯科医師の方針など、様々な要素を考慮して決められます。
「乳歯はいずれ永久歯に生え変わるから」とは言え、見た目を気にするお子さんのお気持ちを十分に考慮して治療方法を選択しましょう。
◽️サホライド後の注意点
サホライド治療を受けた後は、薬の効果をしっかりと発揮させるために、いくつか気をつけてほしいポイントがあります。
ここでは、サホライド治療後の注意点を4つ紹介します。
◼️処置後飲食は30分控える
サホライドを塗った後、最低30分間は飲食を控えるようにしてください。これは、塗ったサホライドが、唾液と一緒に流れてしまうのを防ぐためです。
特に、小さなお子さんの場合、治療後すぐにお菓子やジュースを欲しがるかもしれません。
「あと少しだけ、がまんだよ」と優しく声をかけ、30分間は飲食をさせないようにしっかり見ていてあげてください。
グミやキャラメルなど、歯にくっつきやすい食べ物は1時間程度控えたほうが良いでしょう。
◼️歯磨きを怠らない
サホライド治療を受けたからといって、歯磨きをしなくていいわけではありません。むしろ、これまで以上に丁寧に歯を磨き、お口の中を清潔に保つことが大切です。
ただし、サホライドを塗った部分は、強くゴシゴシ磨きすぎないように注意しましょう。歯ブラシを小刻みに動かし、優しく丁寧に磨くようにしてください。
また、フッ素入りの歯磨き粉を併用すると、虫歯予防効果が高まるのでおすすめです。
◼️定期検診を受ける
サホライドは、虫歯の進行を抑える効果がありますが、塗っただけで虫歯が完全に治るわけではありません。
また、サホライドの効果がきちんと持続しているか、他の歯に虫歯ができていないかなどを確認するためにも、定期的に検診を受けることが大切です。
◼️メンタルケアを行う
サホライドを塗った部分は、どうしても黒く変色してしまいます。
特に、前歯などの目立つ部分が黒くなると、見た目を気にされる親御さんも多いでしょう。乳歯が抜けて永久歯が生えてくれば、黒ずみはなくなります。
とは言え、お子さん自身も気にすることがあるでしょう。
「どうして自分の歯だけ黒いの?」と不安に思ったり、周りの友達からからかわれたりして、傷ついてしまうかもしれません。
そんな時は、お子さんの気持ちに寄り添い、優しく丁寧に説明してあげることが大切です。
「これは虫歯をやっつけるお薬の色なんだよ。○○ちゃんの歯を、一生懸命守ってくれているんだよ」などと、お子さんが納得できる言葉で優しく説明してあげてください。
◽️まとめ
サホライドは、虫歯の部分に直接塗るだけで、進行を抑えてくれる薬です。
歯を削ったり、麻酔をかけたりする必要がないので、小さなお子さんでも安心して治療を受けられます。
しかし、サホライドは、塗った部分が黒く変色してしまうという特徴があるため、目立つ場所は気になるかもしれません。その場合は、歯科医師と相談しましょう。
サホライドを使用しなくても済むように、毎日の歯磨きとフッ素塗布といった予防処置を行って虫歯のリスクを減らすことが大切です。
サホライドは、お子さんの歯を守るための有効な手段の一つ。メリットとデメリットを理解した上で、お子さんに合った治療法を選択しましょう。
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