こんにちは北戸田coco歯科です。
子供が爪を噛んでいるのが気になる保護者も多いのではないでしょうか?爪を噛む癖は成長とともに減少していくこともありますが、大人になっても続く場合があります。
爪を噛む癖は歯や体の健康に影響を及ぼす可能性があるため、早めに辞めさせてあげたいものです。そこで本記事では、なぜ子供が爪を噛むのか、その弊害と癖を改善する方法について解説します。
子供の爪を噛む癖の弊害とは
爪を噛む癖は無害に思えますが、実は子供の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。どのような弊害が引き起こされるのか詳しく見ていきましょう。
感染症や病気の原因になる
インフルエンザや風邪といった感染症は、飛沫感染だけでなくウイルスのついたものに触れ、その手で口や鼻に触れることで感染する接触感染もあります。
子供はさまざまな場所に触れるため手には細菌がつきやすいです。特に爪の下は細菌が溜まりやすく、爪を噛むことによってお口の中に細菌が体内に侵入すると感染症を引き起こすリスクが高まります。
また、爪を噛む癖がある子供は深爪になりやすく、出血をともなうこともあります。血管内に細菌が侵入すると、敗血症や骨髄炎などの病気を発症させてしまうリスクもあるため注意が必要なのです。
指先の変形
爪を頻繁に噛むと指先や爪にダメージを与え、指先の変形を引き起こす可能性があります。たとえば、指先が丸みを帯びた形状になる、爪自体が正常に成長しなくなる場合があります。
このような変形は見た目に問題が生じるだけではありません。指の機能に影響を及ぼすことがあります。
歯並びの悪化
後述で詳しく解説しますが、爪を噛む癖は歯並びを悪化させてしまう可能性があります。
特に乳歯から永久歯の生え変りの時期に爪を噛む癖があると、永久歯が正しい位置に生えません。歯並びを悪化させないためにも早めに癖を改善することが重要なのです。
爪を噛む癖はどうして起こる?
爪を噛む主な原因は心理的要因です。たとえば、ストレスにより不安が生じると、安心感を得るために爪を噛んでしまうことがあります。ここでは、爪を噛む癖がなぜ起こるのか3つの原因を紹介します。
環境の変化
子供は環境の変化に敏感です。保育園や幼稚園の入園、引っ越し、転校など、環境の変化によって不安を感じることがよくあります。
大人は経験からうまくストレスを解消する方法を身につけていますが、子供は爪を噛むことによって発散することがあるのです。
愛情不足
家庭内の環境が子供の心理状態に影響を与えることがあります。
たとえば、共働きによる両親の忙しさや下の子の出産、両親の仲が悪いなどの理由で子供とのコミュニケーションが減少すると、愛情が不足していると感じることがあります。
その結果、安心感を得るために爪を噛む行為に走ることも少なくありません。
ただの癖
爪を噛む行為は、精神的な理由以外にも見られることがあります。
たとえば、なんとなく爪を噛んでしまう、ささくれが気になる、ただの癖ということもあります。特に、爪が伸びていると無意識に気になり、噛んでしまう場合も珍しくありません。
このような場合、意識して癖を辞める努力が必要になります。また、子供の爪が伸びていないか週1回は保護者が確認してあげると良いでしょう。
爪を噛む癖を辞めさせるには?
成長とともに爪を噛む癖が直ることもありますが、弊害が起こる前にできれば辞めさせるのがベストです。
ただし、爪を噛む癖はすぐには直りません。以下の方法を試してみて、少しずつ回数を減らしていきましょう。
子供が抱えている不安を把握する
子供は自分が抱えている不安や悩みを言葉にするのは困難です。
まずはどのようなときに爪を噛むのか把握し、保護者が子供に寄り添いながら何に不安を感じているのか理解することが大切です。
たとえば、「○○したとき、悲しかった?」と優しく質問することで、子供が感じている気持ちを理解しやすくなります。
子供と向き合う時間をつくる
共働きや下の子が生まれて子供とのコミュニケーションが十分に取れていない場合に、爪を噛む癖が生じやすい傾向にあります。
そのため、一緒に遊ぶ時間や、本の読み聞かせなど、親子でコミュニケーションが取れる時間を意識的につくりましょう。
1日5分でもいいので子供としっかりと向き合うことが大切です。
気づかせる
無意識に爪を噛んでいることが多いため、まずは気づかせてあげることが大切です。
その際に「ダメ!」と叱るのではなく、優しく指摘し、指を口から離してあげましょう。
また、言葉を十分に理解できる年齢であれば、なぜ爪を噛んだらいけないのかを分かりやすく伝えてあげると行動の変化が期待できます。
爪を噛むことで歯に起こる悪影響
爪を噛む癖は継続的に強い力が歯に加わるため、以下のような歯並びの悪化を招く可能性があります。
出っ歯
出っ歯とは上の前歯が前方に突出した状態のことです。
爪を噛む癖は、前歯を前方に押し出す力が継続的にかかるため、出っ歯を引き起こす可能性があるのです。また、前歯の摩耗(すり減り)や、歯根が短くなる「歯根吸収」の原因にもなります。
受け口
上の前歯が下の前歯よりも若干前に位置するのが通常です。
しかし、爪を噛むという癖があると、思わぬ副作用を生じることがあります。過度な力が下あごに加わると、普段とは異なる形で成長が進んでしまうことがあります。
その結果、上あごよりも下あごが前に突出してしまう「受け口」を引き起こすリスクが高まるのです。受け口になると見た目の問題だけでなく、噛み合わせの悪化や顎関節症などの原因にもなるため注意が必要です。
すきっ歯
前歯と前歯の間に爪を差し込むような噛み方をすると、時間が経つにつれて歯と歯の間に間隔が開いてしまう「すきっ歯」を引き起こす可能性があります。
すきっ歯は見た目への影響や発音障害、咀嚼(そしゃく)機能の低下にもつながることがあります。また、食べかすが歯間に挟まりやすくなるなど、お口の中が不衛生になりやすいため注意が必要です。
開咬
開咬(かいこう)とは、奥歯で噛んだときに前歯が噛み合わない状態のことです。
爪を噛む癖によって通常とは異なる力のかかり方で前歯を使うと生じることがあります。発音障害や食事の際に不便さを強いられる可能性があります。
参考:SUMMIT DENTAL HEALTH
MFTについて
MFT(口腔筋機能療法)とは、お口周りの機能を正常化させる目的として行われる治療法です。歯並びや噛み合わせ、舌の癖、口呼吸の改善などを行います。
爪を噛む癖は自宅での注意や対策だけでは改善が難しい場合があります。特に無意識に爪を噛む癖が出てしまう場合や、癖が長期間にわたって続いている場合はMFTが有効です。
MFTは舌や唇の位置を正しく保てるようにお口周りの筋肉を鍛えるトレーニングを行います。
歯科医院でのトレーニングだけでは改善が難しいので、自宅でも継続することが大切です。矯正治療と連携して行うことが多く、歯並びの問題が改善された後の再発予防にも効果が期待できます。
関連記事:MFT(口腔筋機能療法)とは?効果やトレーニング方法を詳しく解説!
まとめ
子供の爪を噛む癖は放置すると、感染症のリスクが高まったり歯並びに悪影響を与えるため早期に改善することが大切です。
爪を噛む癖を直すのは簡単ではありません。心理的な要因、家庭環境、お口の健康状態など、さまざまな面からのサポートが必要となります。
子供の行動を見守り、必要に応じて歯科医院でのMFTを受けて改善していきましょう。
北戸田coco歯科ではお子様の虫歯だけでなく、お口の癖や歯並びについてのご相談も承っております。お気軽にご相談くださいね!
こちらの記事もおすすめ:子供の歯並びは食べ物に影響される?歯並びに良い・悪い食べ物