こんにちは。北戸田coco歯科です。
「アレルギー性鼻炎だと虫歯になりやすいって本当?」
鼻の病気と虫歯はあまり関係がないように思うかもしれませんが、実はこれが大いに関係があるのです。
なぜなら、アレルギー性鼻炎によって引き起こされる「口呼吸」が虫歯になりやすい環境を作り出してしまうからです。
今回は、アレルギー性鼻炎による口呼吸と虫歯との関係や、慢性的な鼻炎を持つお子さんの虫歯を予防する方法を北戸田coco歯科の小児歯科担当医、田口世理奈医師が解説します。
- 【経歴】
- ・日本大学歯学部 卒業
- ・日本大学歯学部歯学研究科歯学専攻修了 博士号取得
ハウスダストや花粉症などがあるお子さんの参考になれば幸いです。
1. アレルギー性鼻炎での「口呼吸」が虫歯を引き起こす理由
アレルギー性鼻炎の子どもが虫歯になりやすいのは、口呼吸が大きく関係しています。
鼻炎で鼻がつまってしまうと、どうしても口で呼吸しますね。鼻腔が狭く、鼻が通りにくい子どもも同じです。
口呼吸が常になっていると虫歯になりやすいのは、以下の理由からです。
- ①お口の中の唾液が少なくなってしまうから
- ② 歯並びが悪くなり、磨き残しが出るから
1つずつ説明しますね。
1-1. 理由① お口の中の唾液が少なくなってしまうから
いつもお口を開けていると、口の中が乾きますね。お口の中が乾くというのは、唾液が少なくなっている状態です。
唾液の中には抗菌作用のある成分が含まれています。唾液はこの成分で、常に虫歯菌の活動を抑えてくれています。
しかし、唾液が少なくなると虫歯菌が活発になり、虫歯になりやすくなってしまうのです。
1-2. 理由その② 歯並びが悪くなり、磨き残しが出るから
口呼吸が癖になっていると歯並びが悪くなり、磨き残しから虫歯になりやすくなります。その理由は、口呼吸が常になると舌の位置が正しくなくなり歯並びが悪くなるからです。
舌の正常な位置は、上あごに軽く付いた状態です。しかし、口呼吸をしているとほほの筋肉がいつも緩んだ状態になり、舌が下あごの中に落ちてしまいます。
上あごの成長は舌に押されて自然に大きくなりますが、口呼吸の癖がついていると舌が上あごを押して成長を促すことができません。
すると、上あごが未発達となり、歯が並ぶスペースがなくなって重なって生えるなど歯並びが悪くなります。
こういった理由から、歯並びが悪くなると歯ブラシが十分に届かず、虫歯の原因となります。
2. 虫歯ではないのに歯が痛むこともある!
アレルギー性鼻炎の子どもは、虫歯ではないのに歯を痛がることもあります。その理由は、歯ぐきが炎症を起こしているからです。
口呼吸をしていると、口の中の唾液が少なくなってお口の中が乾燥しますね。
先程述べたように、唾液が少なくなると唾液の抗菌作用が減って歯ぐきに細菌が入り込み、炎症することがあります。
これは歯周病の一歩手前の歯肉炎という状態です。
驚くかもしれませんが、子どもでも歯肉炎になることがあるのです。
子どもの歯ぐきが腫れていたら、一度歯医者さんに診てもらいましょう。
ごく初期の段階ならブラッシングだけで元の健康な歯ぐきに戻りますよ。
3. アレルギー性鼻炎で虫歯になるのを防ぐための対策
アレルギー性鼻炎をもつ子どもを虫歯から守るためには、以下のような対応が必要です。
- ・耳鼻科でアレルギー性鼻炎を治す
- ・歯医者さんで矯正する
- ・毎日の歯みがきをしっかりと行う
- ・歯医者さんの定期検診を受ける
ひとつずつ詳しく説明していきますね。
3-1. 耳鼻科でアレルギー性鼻炎を治す
まずは鼻で呼吸ができるように、耳鼻科でアレルギー性鼻炎を治しましょう。
お口をポカンと開けるくせがあるお子さんは、鼻炎か鼻腔が狭い可能性があります。
お口をポカンと開けるのは呼吸が苦しいからで、繰り返し注意しても直るものではありません。
耳鼻科でよく診てもらい、鼻炎があれば治療してもらいましょう。
3-2. 歯医者さんで矯正する
アレルギー性鼻炎があって歯並びも悪い場合は、耳鼻科の治療と並行して歯医者さんで矯正治療をします。
10歳までのお子さんの矯正治療は、上あごを広げて歯がきちんと並ぶスペースを作ることが目的です。
上あごが広がると骨格が整って鼻腔も広くなる可能性があります。
鼻腔が広くなれば呼吸がしやすくなって、アレルギー性鼻炎も治りやすくなり、虫歯にもなりにくくなって一石三鳥ですね。
3-3. 毎日の歯みがきをしっかりと行う
毎日の歯みがきも欠かせません。虫歯予防の一番の方法は、なんといっても歯みがきだからです。
お子さんと一緒に正しい歯磨き方法をおさらいして、毎日寝る前にはしっかりと歯みがきをしましょう。
仕上げ磨きも忘れずに行ってくださいね。
▶子供の歯磨きの正しい方法!注意すべき3つのことや歯ブラシの選び方
3-4. 歯医者さんの定期検診を受ける
歯医者さんでは定期検診を行っています。
歯医者さんの定期検診を受けると、虫歯を初期の段階で発見することができるので、虫歯が大きくならないうちに対処できますよ。
定期検診は季節ごとの年4回程度受けるのがおすすめです。
虫歯のチェック以外にも、以下のようなことを教えてくれますよ。
- ・正しい歯磨きの仕方
- ・歯ぎしりのチェック
- ・噛み癖とその対策
ご希望があれば、フッ素塗布も行います。フッ素塗布をすると、歯磨きが苦手な小さなお子さんも簡単に虫歯から歯を守れます。
4. お口ポカンは虫歯以外の悪影響も
口呼吸でお口ポカンが習慣になっていると、虫歯以外にも以下のような悪影響があります。
- ・風邪を引きやすい
- ・インフルエンザや新型ウイルスにかかりやすい
- ・身体の免疫力が弱くなる
- ・集中力が低下する
- ・注意力が散漫になる
- ・いつもボーッとしているように見える
鼻は鼻毛や粘液がフィルターの役割をしていて、空気中の異物が入ってきても鼻水と一緒に外に出してくれます。
しかし、口で呼吸すると、空気中の異物がダイレクトにお口の中に入ってきてしまいます。そのため色々な病気にかかりやすくなってしまうのです。
また、口呼吸をすると脳に酸素が行きづらくなり、いつもぼんやりとした状態になってしまいます。
慢性的な鼻炎を治さない限り、いくら塾などに通わせても学力に良い結果が出ない可能性が考えられます。
5. まとめ
アレルギー性鼻炎があると、口呼吸になって虫歯になりやすくなるというお話をしました。
子どもは喉の奥にある扁桃が大きく、まれに扁桃肥大になる子どももいます。
扁桃肥大になると口での呼吸もしにくくなり、アレルギー性鼻炎を併発していると非常にやっかいです。
そうでなくても、今はマスクをしている時間が長いので、前よりも口呼吸しにくいですよね。
口呼吸は虫歯だけでなく、色々な弊害を引き起こすため、1日も早くアレルギー性鼻炎を治して鼻呼吸に戻してあげてくださいね。
北戸田coco小児歯科では、子どもの歯の専門家が歯の治療や相談に当たっています。困ったこと・気になることがあったらお気軽にご相談くださいね。
- ◆この記事のまとめ
- 1. アレルギー性鼻炎は口呼吸になる
- 2. 口呼吸になると唾液が少なくなり抗菌作用が減ってしまう
- 3. 口呼吸になると上あごの発達が遅れ歯並びが悪くなって虫歯になりやすい
- 4. 口呼吸になると歯肉炎になることがある
- 5. 虫歯予防をするには、耳鼻科でアレルギー性鼻炎を治療する
- 6. 歯医者さんで矯正治療を受け、歯並びを整える
- 7. 毎日の歯みがきをしっかりと行う
- 8. 歯医者さんの定期検診を受ける