「子どもの歯がグラグラして抜けそうな時って抜いてもいいんですか?」
意外と多いのがこんな質問です。
生え変わり時期のグラグラの乳歯はお子さんにとって気になるもの。指や舌で頻繁に触っていることも多いと思います。
指などで触るとバイキンが入りそうだし、ごはんと一緒に飲み込んで喉を怪我したら…と心配される親御さんもいるでしょう。
今回は、生え変わりのグラグラ乳歯を抜くべきかどうかと自宅で抜くときの注意点について、北戸田coco歯科の小児歯科担当医、田口世理奈医師が詳しくご紹介していきます。
- 【経歴】
- ・日本大学歯学部 卒業
- ・日本大学歯学部歯学研究科歯学専攻修了 博士号取得
自分で抜かずに受診したほうがいい場合もあるので、ぜひ読んでみてくださいね。
1. 様々なグラグラ乳歯への対処法
生え変わりのグラグラした乳歯といっても、色々なパターンがあります。ここでは、以下のパターン別に対処法を説明しますね。
- ・抜けそうなのに抜けない時
- ・乳歯がぶら下がっている時
- ・乳歯が抜ける前に永久歯が出てきた時
ひとつずつ詳しく解説していきますね。
1-1. 抜けそうなのに抜けない時
ずっとグラグラしているのになかなか抜けない歯の場合は、無理に抜かず歯医者さんに行きましょう。歯の根が曲がっている、歯が埋没していてなかなか抜けないといった可能性があるからです。
乳歯は永久歯が下から生えてくると、それに押されて自然と抜け落ちるしくみです。しかし、永久歯が歯茎に深く埋まっていてなかなか生えてこないと、乳歯も抜け落ちません。特に奥歯は埋没歯になりやすいです。
グラグラしている歯が噛んだ時に痛む場合は虫歯になっている可能性もあるので、自分で抜くのは危険です。
歯医者さんが抜いたほうがいいと判断した場合は、歯医者さんでレントゲンで歯の状態を確認してから対処法を決めます。決して自分で抜かないようにしてください。
1-2. 乳歯がぶら下がっている時
乳歯が歯ぐきからほとんど外れていてぶら下がっているような場合は、自分で抜いても問題ありません。
抜く時は、手指を清潔にして指で引っ張ってくださいね。
ただし、引っ張ったときに痛みがあるようならもう少し様子を見ましょう。数日で自然に抜けるはずです。
乳歯を抜いた後出血することがあります。血が出た場合は、清潔なガーゼや脱脂綿を噛んで圧迫してください。5分程度で出血はおさまりますが、なかなか血が止まらない時は歯医者さんに診てもらってください。
1-3. 乳歯が抜ける前に永久歯が出てきた時
乳歯が抜ける前に永久歯が出てくることもあります。
通常は乳歯が抜け落ちてから永久歯が出てきますが、乳歯が残った状態で永久歯が出てくると、歯並びが悪くなる恐れがあります。
歯と歯が重なった部分は歯ブラシが届きづらいので、細菌が入って歯ぐきに炎症が起きたり虫歯になったりするケースも多いです。
もしも乳歯が抜けないうちに歯の裏や上、横から永久歯が生えてきた場合は、歯医者さんで診てもらいましょう。乳歯を抜歯しした方がいい場合もあります。
2. グラグラ乳歯は基本的に自然に任せるのが一番
グラグラ乳歯は、基本的には自然に抜けるのに任せるのが一番です。
乳歯は下から生えてくる永久歯に押されて、自然にポロッと抜け落ちるからです。
2-1. 乳歯が抜ける適齢期を知っておこう
乳歯は生えている場所によって、それぞれ抜ける時期が大体決まっています。
歯の位置 | 抜ける時期(目安) |
前歯(A) | 6~8歳 |
前歯の隣の歯(B) | 7〜9歳 |
犬歯(C) | 9〜12歳 |
手前の奥歯(D) | 10〜12歳 |
一番奥の歯(E) | 10〜12歳 |
ただし、子どもの歯の生え変わり時期には個人差があります。その差は最大1年以上。
ですから、上記の時期に抜けないからといっても、過剰に心配することはありません。
歯の生え変わりの適齢期から2〜3年経っても乳歯が抜けない場合には、先天性欠如歯の可能性がありますので、歯医者さんに診てもらいましょう。
【先天性欠如歯】
生えてくるべき歯が元からない状態のことです。先天性欠如歯の場合は乳歯を一生使うことになるため、徹底的なケアが必要です。
2-2. 適齢期以外でグラグラしている時は要注意!
上記のような適齢期以外で乳歯がグラグラしている場合は、虫歯になっているか、乳歯を強くぶつけたりした衝撃でグラグラしている可能性があります。
こういった場合は歯医者さんでの処置が必要なので、早めに歯医者さんを受診しましょう。
3. グラグラ乳歯を指や舌で揺らしてもいい?
歯がグラグラしていると、子どもはどうしても気になって指や舌で触ってしまいますね。
子供の頃、「自然に抜けるから触らないように」と親から注意されたことがある方も多いと思います。
しかし、実はある程度なら、揺らしても大丈夫です。むしろ、少しずつ揺らすことで、自然に抜けるのを促進することになります。
自然に抜ければ他の歯への負担も減りますし、歯周トラブルが起こるリスクも少なくなります。
ただし、汚れた手で触るとバイキンが入ってしまうので、石鹸などで洗った清潔な指で触ることが重要です。
また、あまり強い力で揺らしすぎると出血や痛みが起こることがあるので注意してくださいね。
4.乳歯のQ&A
ここでは、乳歯に関してのよくある質問についてお答えしますね。
4-1. もう片方がなかなか生えてこない
片方の乳歯は抜けたのに、反対側の同じ場所の乳歯がなかなか抜けないという場合には、歯医者さんに一度診てもらいましょう。
歯は左右対称で生え替わりますが、片方だけ生え変わらない場合はなんらかのトラブルが起きている可能性があります。
4-2. 乳歯が抜けたのに永久歯が出てこない
乳歯が抜けたのにその後なかなか永久歯が生えてこないという場合もあります。
一旦は様子を見ますが、2〜3年以上しても歯が生えてこない場合は歯茎を小さく切って永久歯を引っ張り出してあげる必要があります。
4-3. 歯が抜けたところが痛む
これは特に奥歯に多いのですが、歯の生え始めには歯が抜けたところが痛むことがあります。
永久歯の頭だけがちょこんと出ている状態では、盛り上がった歯ぐきに圧迫されて痛みが出ることもあるのです。
完全に歯が生えきってしまえば痛みはなくなるので、しばらくは様子を見ましょう。
また、清潔を保つことは重要ですが、歯ブラシで歯ぐきをこすりすぎないようにしましょう。
歯ぐきが傷ついて痛みが起きている場合もあります。
4-4. グラグラ乳歯の虫歯がひどくて揺らすことができない
乳歯がグラグラしているけれど、虫歯が痛くて揺らすことができないという場合は、歯医者さんで診てもらいましょう。
無理に自分で引き抜こうとすると痛いですし、歯が途中から折れて歯の根が歯ぐきの中に残ってしまう可能性もあります。
5. まとめ
乳歯は生え変わるのに適切なタイミングがあります。通常はその時期に自然に抜けますが、なかなか抜けない場合や虫歯がひどい場合には、歯医者さんに診てもらってください。
北戸田coco小児歯科では、子どもの歯の専門家が歯の治療や相談に当たっています。困ったこと・気になることがあったらお気軽にご相談くださいね。
- ◆この記事のまとめ
- 1. 抜けそうなのに抜けない場合は歯医者さんを受診する
- 2. 乳歯がぶら下がっている場合は清潔な指で抜く
- 3. 乳歯が抜ける前に永久歯が出てきた場合は歯医者さんへ
- 4. 出血したら清潔なガーゼなどで圧迫して止血する
- 5. 歯をぶつけてグラグラした場合はい歯医者さんを受診する
- 6. 抜ける時期でもないのにグラグラしたら歯医者さんを受診する