こんにちは。北戸田coco歯科です。
ふとした時、お子さんの1本だけ歯の色が違うのを見つけるとびっくりしますね。何かの病気ではないか、歯医者に行ったほうがいいのかと悩むことでしょう。
乳歯が変色するのには、大きく以下の5つの原因が考えられます。
- ・歯をぶつけたことによるトラブル
- ・虫歯が進行している
- ・食べ物や飲み物の着色汚れ
- ・タバコの受動喫煙によるもの
- ・エナメル質の形成不全
ここでは「原因の詳しい内容」と「歯医者さんに行くべきかどうか」を、北戸田coco歯科の小児歯科担当医、田口世理奈医師が詳しく説明します。
- 【経歴】
- ・日本大学歯学部 卒業
- ・日本大学歯学部歯学研究科歯学専攻修了 博士号取得
最後まで読めば、お子さんを歯医者さんに連れて行くべきかどうか判断できますよ。
1. 変色の原因
冒頭でもお伝えしたように、乳歯が変色するのは以下の5つの原因です。
- ・歯をぶつけたことによるトラブル
- ・虫歯が進行している
- ・食べ物や飲み物の着色汚れ
- ・タバコの受動喫煙によるもの
- ・エナメル質の形成不全
ひとつずつ詳しく説明していきますね。
1-1. 歯をぶつけたことによるトラブル
転んだりボールが当たったりして歯に大きな衝撃が加わるとグレーに変色します。これはいわゆる内出血で、歯の内部の歯髄というところが出血して歯の組織に浸透するとグレーに見えるからです。
強い衝撃によって神経が死んでしまうとグレーだけでなく茶色っぽく見えることもあります。
1-2. 虫歯が進行している
虫歯が進行すると、虫歯に侵されている歯の部分が徐々に茶色や黒っぽく見えてきます。
乳歯は大人の歯より柔らかく構造も浅いので、汚れが溜まったままの状態が続くと虫歯になりやすいのです。
加えて、進行も早くすぐに神経まで達してしまうため、なるべく早めに治療することが重要です。
1-3. 食べ物や飲み物の着色汚れ
食べ物や飲み物による着色汚れで歯が茶色く変色することもあります。
お茶類にはカテキンという着色しやすい成分が含まれています。毎日ウーロン茶や緑茶、紅茶などを飲む習慣があると歯が茶色くなっていきます。
その他、着色汚れが起きやすい食べ物・飲み物は以下のものです。
- ・お茶類(カテキン)
- ・チョコレート、ココア(ポリフェノール)
- ・イチゴ、ブルーベリーなどのベリー類(ポリフェノール)
- ・カレー、オムライス(ケチャップ)、ソース
- ・豆乳、納豆(イソフラボン)
1-4. タバコの受動喫煙によるもの
近くに頻繁にタバコを吸う大人がいると、副流煙で歯が茶色くなることがあります。タバコから出る煙は吸っている人の息だけでなく、ソファやカーテン、じゅうたんなどに付いて長く留まり、子どもの歯や歯ぐきを茶色くします。
怖いのは、着色汚れだけでなく虫歯や歯周病になってしまう可能性があるということです。
歯の病気以外では気管支喘息、中耳疾患、小児がん、注意欠陥・多動性障害などのリスクが高まることも分かっています(参考:厚生労働省「お口のことならなんでもわかるテーマパーク」)。
タバコに含まれるニコチンやタールは、子どもの発達のほか、妊娠中のお腹の赤ちゃんにも影響があります。
電子タバコもたくさんの有害物質が含まれているので、危険性は同じです。
1-5. エナメル質の形成不全
歯の表面にはエナメル質という硬い膜があり、歯を守っています。その下に象牙質という茶色っぽい層があるのですが、生まれつきエナメル質が薄いと象牙質が透けて見えるので変色したように見えます。
エナメル質が形成不全の歯はとても弱く、虫歯になりやすい・歯が欠けやすい・すり減りやすいなどの特徴があります。
2. 【症状別】子どもの歯の変色への対処法
ここまでで色々な変色の原因があることが分かりましたね。ただ、外側からは何が原因で変色しているのか分からないこともあります。そこで必要なのがレントゲン検査です。
レントゲンでは変色している歯の内部や歯ぐき、骨の異常がわかります。そのうえで、医師は治療が必要か、それとも様子を見るべきかなどの判断をします。
ここでは、以下のような症状別の対処法を解説していきますね。
- ・虫歯で変色した歯から膿が出ている場合
- ・衝撃で変色した歯がグラグラする場合
- ・着色汚れで歯が変色している場合
- ・タバコの受動喫煙で歯が変色している場合
- ・エナメル質形成不全で歯が変色している場合
2-1. 虫歯で変色した歯から膿が出ている場合
歯に変色があり、その歯から膿が出ている場合は、すぐに治療が必要です。
膿が出ているのは、虫歯が進行して歯ぐきや歯の根などに細菌が入って炎症を起こし、膿が溜まっているからです。
そのままにしておくと神経が死んでしまったり、永久歯に影響をもたらす可能性があります。
そもそも膿が出るような状態では、相当痛いはずです。痛みを取り除くためにも、できるだけ早めに歯医者さんで治療しましょう。
2-2. 衝撃で変色した歯がグラグラする場合
転んだりぶつけたりして歯を強く打ってグラグラする場合は、そのまま生活を続けると歯が抜けてしまうというリスクがあります。
強い衝撃を受けて歯がグラついて抜けてしまう場合は、歯ぐきの内部にトラブルが起きていて永久歯にも影響がある可能性が高いです。
永久歯が正常に生えてくるためにも早めに歯医者さんに行きましょう。
歯医者さんに行くまでの間も、無理に動かさず、柔らかい食事にするなどして過ごしてくださいね。
2-3. 着色汚れで歯が変色している場合
食べ物や飲み物が原因で歯に色がついたといっても、特定の食べ物や飲み物をやめるのは難しいですよね。着色する食べ物や飲み物は意外に多いので、栄養面から考えてもすべてを止めることはできません。
飲食物の着色汚れを防ぐには、しっかりと歯みがきをするのが一番です。歯の表面だけでなく、歯の裏や歯と歯の間などもしっかり磨きましょう。
正しい歯磨きのやり方は、以下のページでも詳しくお伝えしているので、合わせてお読みくださいね。
2-4. タバコの受動喫煙歯が変色している場合
副流煙による歯の着色汚れは放置しておくと虫歯や歯周病になる恐れがあります。虫歯がひどくなるとこれから生えてくる永久歯にも影響します。できるだけ早く歯医者さんで治療を始めましょう。
家族に喫煙者がいる場合は、できるだけ部屋の外で吸ってもらうようにしてください。
2-5. エナメル質形成不全歯が変色している場合
エナメル質形成不全の歯の場合、他の歯よりすり減りが早く、象牙質がむき出しになると食べ物や空気が触れただけでも痛みを感じます。
虫歯にもなりやすいので、歯科用プラスチックなどでの詰め物や補修が必要です。
放置しておくと、神経を抜かなければならないなど状況が悪化してしまうので、変色に気づいたらなるべく早く受診しましょう。
3. 乳歯の変色は永久歯にも影響する?
乳歯の変色は元に戻すことはできません。しかし、永久歯に生え変わるときれいな白い歯になることがほとんどです。
ただし、歯の根や歯ぐきにまでダメージや虫歯が及んでいると、生えてくる永久歯の位置がおかしい、永久歯も変色してしまうなどの可能性があるので注意が必要です。
まとめ
乳歯の変色には色々な原因がありますが、原因が特定できないことも多いです。しかし、放置しておくと虫歯の悪化や永久歯に影響する可能性が高いので注意が必要です。
子どもが痛がっていない場合でも、歯の変色をみつけたらできるだけ早く歯医者さんを受診しましょう。
レントゲンを撮ってみないと分からないこともあります。もちろん、痛がっている場合はすぐに歯医者さんに連れて行ってくださいね。
北戸田coco小児歯科では、子どもの歯の専門家が歯の治療や相談に当たっています。困ったこと・気になることがあったらお気軽にご相談くださいね。
- ◆この記事のまとめ
- 1. 歯に強い衝撃が当たると歯ぐきの内出血で変色することがある
- 2. 歯に強い衝撃が当たると歯の神経が死んで変色することがある
- 3. 虫歯が進行すると歯が変色する
- 4. 飲食物の成分で歯が変色することがある
- 5. タバコの受動喫煙で歯ぐきや歯が変色することがある
- 6. 生まれつきエナメル質が薄い場合は象牙質が透けるので変色しているように見える
- 7. 歯の変色を見つけたら検査が必要