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アレルギー性鼻炎の子どもの歯並びが悪くなる理由・予防法・改善方法

公開日:


こんにちは。北戸田coco歯科です。

 

アレルギー性鼻炎だと歯並びが悪くなるって聞いたけど、うちの子は大丈夫かしら?」

そんな不安を持っていませんか?

 

近年、子どものアレルギー性鼻炎が急増しています。

 

厚生労働省が行った調査によると、2005年ではアレルギー性鼻炎にかかっている小学生の割合は14.5%でしたが、2015年には18.6%にまで増えています(「日本のアレルギー疾患はどう変わりつつあるのか(アレルギー疾患対策に必要とされる大規模疫学研究に関する研究)」より)。

 

子どもの5人に1人が、アレルギー性鼻炎にかかっているということですね。

 

鼻炎と歯並びは一見すると関係がないように思いますが、お口の中は鼻とつながっています。

しかも、お口も鼻も呼吸するのに必要なもの。とても深い関係があるのです。

 

ここでは、アレルギー性鼻炎の子どもが歯並びが悪くなる理由予防法、改善方法について、北戸田coco歯科の小児歯科担当医、田口世理奈医師が詳しく説明します。

田口世理奈Dr.

  • 【経歴】
  • ・日本大学歯学部 卒業
  • ・日本大学歯学部歯学研究科歯学専攻修了 博士号取得

 

お子さんがアレルギー性鼻炎になっている方は、ぜひ読んでみてくださいね。

 

1. アレルギー性鼻炎の子どもは歯並びが悪くなる理由

 

アレルギー性鼻炎の子どもの歯並びが悪くなるのは、呼吸の仕方が原因です。

 

鼻がつまっていると、自然と口呼吸になりますね。口で呼吸すると、以下のような理由で歯並びが悪くなってしまうのです。

 

  • ・口で呼吸すると上顎が狭くなって乱杭歯になる
  • ・口で呼吸すると姿勢が悪くなって受け口になりやすい
  • ・口で呼吸すると舌で前歯を押して出っ歯になりやすい

 

ひとつずつ、詳しく説明していきますね。

 

1-1. 口で呼吸すると上顎が狭くなってガタガタの歯になる

 

口で呼吸をすると、ガタガタの歯並び、乱杭歯になる可能性が高いです。

 

正常な舌の位置上あごに付いた状態です。しかし、アレルギーで鼻がつまっていて常に口で呼吸をすると、舌は下あごの中に落ちてしまいます

 

上あごは舌の圧力などで広がって徐々に成長していきますが、舌が落ちた状態だと上あごがうまく成長できません。上あごが狭くなってしまいます。

 

そのため上の歯がきちんと並ぶスペースがなくなり、そこに無理に歯が生えようとするので、歯と歯が重なったり斜めを向いたりしてガタガタの歯並びになってしまうのです。

 

1-2. 口で呼吸すると姿勢が悪くなって受け口になりやすい

 

お口で呼吸をしている子どもを想像すると、お口をぽかんと開けて、上目遣いでテレビなどを見ていませんか?

 

お口を開けた状態を維持するためには、良い姿勢より猫背になるほうが楽なので、自然と姿勢が悪くなります。

 

お口を閉じるためには、頬や舌、唇の筋肉が働いています。しかし、お口を常に開けた状態だと、これらの筋肉が弱くなってきます。

 

お口周りの筋肉が弱いと、きれいな歯並びになるためのあごの成長を支えられません

特に、舌が落ちていて姿勢が悪い子どもは、受け口になりがちなのです。

 

1-3. 口で呼吸すると舌で前歯を押して出っ歯になりやすい

 

口呼吸をすると上あごが狭くなるとお伝えしましたが、上あごが狭いと出っ歯になる可能性もあります。

 

上あごが狭くて舌がうまく収まらないと、舌が前に出る形になります。すると、舌が上の前歯を常に押して出っ歯になってしまうのです。

 

そんなことで出っ歯になるの?と思うかもしれませんが、歯は微量な力でもずっと加え続けると、徐々に動いてしまうのです。

 

この力を利用したのが矯正治療です。

 

2. 子どもの歯並びの悪さを予防・改善するには

 

では、どうしたら歯並びの悪さを予防、あるいは改善できるのかというと、以下の方法があります。

 

  • ・まずは耳鼻科で治療を受ける
  • ・同時に歯科で口周りを鍛えるトレーニングを受ける

 

「耳鼻科はわかるとしても、口周りを鍛えるトレーニングって?」という声が聞こえてきそうなので、くわしく説明しますね。

 

2-1. まずは耳鼻科で治療を受ける

 

まずはアレルギー性鼻炎を治すことです。

口呼吸はくせではないので、鼻を治さない限り口呼吸も治ることはありません

 

いつもお口をぽかんと開けている子どもは、慢性鼻炎になっている可能性があります。

 

鼻呼吸ができないと、集中力が低下して落ち着きがなくなったり、勉強に集中できなくなったりします。

 

空気中のウイルスなども口から直接身体の中に入ってしまうため、健康にもよくありませんね。

 

歯並びはもちろんのこと、将来の健康を考えても、早めに耳鼻科を受診してアレルギー性鼻炎の治療をしましょう。

 

2-1. 同時に歯科で口周りを鍛えるトレーニングを受ける

 

お口周りの筋肉とは、先程お伝えしたように「舌・唇・頬」などです。

 

小児科のあるほとんどの歯医者さんでは、このお口周りをトレーニングする「MFT(口腔筋機能療法)」を行っています。

 

具体的には、手鏡を見ながら舌を正しい位置に戻す練習をしたり、小児用のマウスピースを使って寝ている間に矯正を行ったりします。

MFTのひとつである、ポッピングをご紹介しますね。

 

●ポッピング(舌を持ち上げる練習)

①舌全体を上あごに吸い付けて、そのままの状態をキープして口を大きく開けます。

②舌を離して「ポン!」という音を立てます。

これを15〜20回程度繰り返します。

 

ポイントは、舌の先が正しい位置(スポット)にあること、舌の裏のヒモ(舌小帯)を伸ばすことです。

 

トレーニングを続けるうちに、だんだん舌の位置が正常な場所に収まるようになります。

 

詳しく知りたい方は、お気軽にお聞きくださいね。

 

3. 矯正で慢性鼻炎が治ることも

 

あごが狭くなると、酸素を取り込む鼻腔も狭くなって、ますます鼻が詰まりやすくなってしまうのですが、反対のこともいえます。

 

あごを広くすれば、鼻腔が広くなって鼻炎が治る可能性があることです。

 

必ずしも治るわけではありませんが、あごを広げる矯正装置を使って歯並びを治したら、慢性鼻炎も治ったという事例があります。

 

耳鼻科にかかったとしても、鼻腔が狭ければ鼻炎も治りにくいでしょう。

 

あごを広げる矯正装置は、「床矯正(しょうきょうせい)」といいます。

ネジで少しずつ上あごを広げ、歯が並ぶスペースを確保するためのものです。

 

歯並びが治ると同時に鼻づまりもなくなれば、お子さんもとても過ごしやすくなりますよ。

 

4. まとめ

ハウスダストや花粉、動物の毛などによるアレルギー性鼻炎は、鼻で呼吸できず口呼吸せざるをえません

 

そして、口呼吸は上あごの発達を邪魔して歯並びを悪くする原因です。

 

大事なお子さんの歯並びがきれいになるかどうかは、幼少期の対応が大切です。お口をポカンと開けていることが多かったり、鼻がいつもつまっていたりするようであれば、できるだけ早く対応しましょう。

 

北戸田coco小児歯科では、子どもの歯の専門家が歯の治療や相談に当たっています。困ったこと・気になることがあったらお気軽にご相談くださいね。

◆この記事のまとめ
1. 口で呼吸すると上顎が狭くなって乱杭歯になる
2. 口で呼吸すると姿勢が悪くなって受け口になりやすい
3. 口で呼吸すると舌で前歯を押して出っ歯になりやすい
4. 歯並びをよくするには、まずは耳鼻科で治療を受ける
5. 同時に歯科で口周りを鍛えるトレーニングを受ける