こんにちは。北戸田coco歯科です。
子どもの歯並びが悪いと気になりますね。
見た目はもちろんのこと、しゃべり方や全身などに影響があるのでは?と気に病む親御さんもいらっしゃるでしょう。
まさにそのとおりで、歯並びが悪いと虫歯にもなりやすくなります。
ここでは子どもの歯並びが悪くなる原因と身体への影響、歯並びを良くするための治療法などを、北戸田coco歯科の小児歯科担当医、田口世理奈医師が詳しく説明します。
- 【経歴】
- ・日本大学歯学部 卒業
- ・日本大学歯学部歯学研究科歯学専攻修了 博士号取得
成長途中の子どもなら、生活の改善で治すことができる歯並びもあるので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
1. 子どもの歯並びが悪くなる原因
子どもの歯並びが悪くなる原因は、以下の4つです。
- ・指しゃぶりや頬杖などの悪癖
- ・口呼吸が癖になっている
- ・姿勢が悪い
- ・柔らかいものばかり食べる
ひとつずつ詳しく説明していきますね。
1-1. 指しゃぶりや頬杖などの悪癖
指しゃぶりには、心を安定させる役割やあごを広げるといった役割があります。指しゃぶり自体は赤ちゃんの精神安定剤でもあり、決して悪いものではありません。
ただし、指しゃぶりの良い効果があるのは3歳くらいまで。
それ以降は以下のようなデメリットにつながります。
- ・出っ歯
- ・受け口
【出っ歯】
3歳を過ぎても指しゃぶりしている場合、出っ歯になる可能性があります。
しかし、親指で前歯を押し続けていると、前歯がだんだんと外側に向いていってしまうのです。
【受け口】
小さいお子さんでも頬杖をつくクセがある場合があります。小さい子どもが頬杖をつく仕草は可愛いものですが、クセになってしまっていたら要注意。
頬杖をつく癖があると、手で下あごを押す時間が長くなり、受け口になる可能性があるからです。
1-2. 口呼吸が癖になっている
口呼吸の癖があると、常に口を半開きにして舌が下あごの中に落ちている状態になります。
こういった状態が続くと、受け口になる可能性があります。
- ・受け口
- ・開咬(かいこう)
【受け口】
本来の舌の正しい位置は、上あごと下あごの中間に浮いている状態です。
しかし、舌が下あごに落ちていると、下あごが過剰に発達して受け口を招いてしまうのです。
【開咬】
開咬とは、奥歯を閉じても前歯がくっつかない状態のことです。
舌が舌あごに落ちていると、舌の重さで自然と頬の筋肉がゆるんでしまいます。本来、頬の筋肉が発達していれば、下あごを持ち上げて口を閉じるようになっています。
しかし、頬の筋肉が発達していないと下あごを持ち上げる力が育ちません。加えて舌が正しい位置にないと上の前歯と下の前歯から出て常に前歯に挟まる状態になり、開咬になってしまうのです。
1-3. 姿勢が悪い
姿勢が悪いと背中が丸くなりますね。姿勢が悪いと将来以下のような歯並びになる可能性があります。
- ・受け口
- ・出っ歯
- ・叢生(そうせい)
【受け口】
歩く時に背中が丸まると、前を見ようとしてあごが自然と突き出ます。
すると、首の前の筋肉が伸びて知らないうちに受け口気味になっていきます。
【出っ歯】
座っている時に背中を丸くすると、今度はうつむき加減になりますね。
食事などの時にうつむき加減に食べていると、前歯でばかり噛むようになるので出っ歯になる可能性があります。
【叢生】
叢生(そうせい)とはガタガタの歯並びのこと。背骨が曲がると体全体の左右のバランスが崩れがちです。左右のバランスは顔の骨、さらには歯並びにも影響します。
悪い姿勢はガタガタの歯並び(叢生)になってしまう元でもあるのです。
1-4. 柔らかいものばかり食べる
歯やあごの成長期に奥歯を使うことはとても重要です。奥歯を使うと唾液がたくさん出て舌を使って飲み込み、歯や舌、頬などお口の成長が促されます。
しかし、柔らかいものばかり食べていると、奥歯を使いません。奥歯で噛む前に飲み込んでしまうからです。すると、お口や歯並びが順調に発達せず、以下のような歯並びになる可能性があります。
- ・出っ歯
- ・叢生(そうせい)
柔らかいものばかり食べていると唾液が十分に出ず、あごや舌の筋肉が十分に成長できなくなり、出っ歯やガタガタの歯並び(叢生)になりやすくなるのです。
2. 悪い歯並びがもたらす悪影響
歯並びが悪いまま放っておくと、以下のような悪影響が出る可能性があります。
- ・虫歯や歯周病になりやすい
- ・咬み合わせが合わなくなる
- ・消化不良を起こす
- ・顎関節症を引き起こす
- ・滑舌が悪くなる
- ・あごや顔が歪む
- ・乳歯の場合は永久歯の歯並びが悪くなる
- ・体全体のバランスが崩れ病気になりやすい
- ・容姿のコンプレックスを持ち、性格に影響する
こんなにあるの?と驚かれたのではないでしょうか?
虫歯や歯周病になるのは、歯並びが悪いと、歯と歯が重なった部分がよく磨けないせいです。歯並びが悪いと咬み合わせも悪くなります。咬み合わせが合わないと食べ物をよく噛めないため消化不良を起こし、胃腸を傷める原因になります。咬み合わせが合わないと左右のあごのバランスが悪くなって、噛むとあごがカクカクなったり傷んだりする顎関節症を引き起こすこともあります。
乳歯の歯並びが悪い場合は、その後から生えてくる永久歯の歯並びも悪くなります。永久歯は乳歯よりサイズが大きいですが、乳歯が斜めを向いて映えている場合、乳歯が抜けた後のスペースが狭くなり永久歯も正しい向きに生えることができません。
歯並びが悪いと体全体のバランスが崩れて病気にもなりやすくなります。あご骨の左右のバランスが乱れると、骨についている筋肉などにも影響し、内臓疾患や関節の疾患などを招く元にもなるからです。
歯並びの悪さは見た目のコンプレックスに直結するので悩む人も多く、それが原因で性格も引っ込み思案になってしまうことがあります。
このように、歯並びが悪いのを放っておくと、心身のあらゆる健康に悪影響を及ぼし、ひとつもいいことがありません。歯並びは早めに治療すれば短い期間で改善することができます。
3. 歯並びの治療法
子どもの歯並びの悪さは、成長段階で改善すれば歯を抜かずに改善することも多いです。
ここでは原因別に、きれいな歯並びになるためのアプローチを紹介します。
- ・悪癖が原因 → 悪癖を治す
- ・鼻が原因 → 鼻の治療をする
- ・歯や舌などお口が原因 → 矯正治療をする
1つずつ説明しますね。
2-1. 悪癖を治す
指しゃぶりや頬杖、悪い姿勢は、意識することで改善することができます。
といっても、ただ「ダメ!」と叱だけでは癖はなかなか改善しません。
しかし、子ども本人が意識すると早めに改善できますよ。
まずは、その癖を続けると歯並びが悪くなってしまうことを、よく説明してあげてください。
「○○ちゃんはこんなふうになったらイヤだよね」と歯並びの悪い画像や動画などを見せてあげるのもいいでしょう。
2-2. 鼻の治療をする
口呼吸が癖になっている場合は、鼻呼吸ができていない可能性があります。
鼻呼吸がうまくできないのは、アレルギー性鼻炎や慢性的な鼻炎が原因であることが多いので、耳鼻科で一度見てもらいましょう。
2-3. 矯正治療をする
色々やっても治らない時は、歯医者さんで矯正治療をします。
歯並びが治ったせいで、姿勢が良くなる例もありますよ。
子どもの歯の矯正は、乳歯だけの場合は第一期治療、乳歯と永久歯が混ざっている場合は第二期治療になります。
●第一期治療
8歳〜10歳までの乳歯と永久歯が混合しているお口の矯正は、第一期治療といいます。
具体的な治療は、基本的にワイヤーを使った矯正は行いません。以下のような治療を行います。
- ・口腔筋機能療法
- ・床矯正
口腔筋機能療法とは、舌やお口周りの筋肉の正しい使い方などをトレーニングする方法です。
床矯正とは、あごを少しずつ広げて歯がきれいに並ぶようにスペースを開ける治療法です。
口腔筋機能療法と床矯正では、使う装置が異なります。詳しくは、お気軽にお聞きくださいね。
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●第二期治療
11歳から成人するまでの永久歯が生え揃ったお口の矯正は、第二期治療です。
矯正方法は大人の矯正治療と同じで、歯が並ぶためのスペースを作り、全体の歯を少しずつ動かしてきれいに並べます。
4. まとめ
子どもの歯並びは、将来色々な悪影響を及ぼします。できれば気づいた時点で治してあげたいですね。
改善方法がわからない場合は、歯医者さんに気軽に相談してくださいね。
お子さんの症状に合った改善方法を一緒に考え、専門家の知識と経験を生かして適切なご提案をします。
- ◆この記事のまとめ
- 1. 指しゃぶりや頬杖などの悪癖は歯並びを悪くする
- 2. 常に口呼吸だと歯並びを悪くする
- 3. 姿勢が悪いと歯並びを悪くする
- 4. 柔らかいものばかり食べていると歯並びを悪くする
- 5. 悪癖を治すには理由を説明して自覚させることから
- 6. 口呼吸の場合は鼻の病気を疑う
- 7. それでもダメなら歯医者さんで矯正をする